IoT関連記事一覧 その2


「IoT」の定義

 IoTのイメージをなかなか掴めていない方も多いのではないでしょうか。本来IoTとは、「膨大なデータを収集するための手段」です。IoTによって集められたデータを素にして、新たな価値を生み出すためのひとつの道具でしかありません。「IoT向けにこんな製品を出そう!」といった単発的な考え方は、危険ということだけは覚えておいてください。IoTを導入する上での注意点として、サーバーや専用アプリのコストがかかるということ、それに伴って必然的にユーザーへの負担が増えることを踏まえると、まずは、IoTを活用するとどんなデータが得られるのか、それがどんな形で新たな価値を生み出すことができるのか、を考えることが重要なのかもしれません。また、IoTは、「インターネット」と繋がったモノだけではなく、「スマートフォン」と連動するモノもIoTと呼ばれていることをご存知でしょうか。スマートフォンがエッジデバイスになっている中で、モノとスマートフォンが連動することが当たりになっています。


第299版 日本は「移動するIOT」をどう考えるべきか?

 ドローンは、移動しながらインターネットにつながるロボットであり、「移動するIoT」と呼べる。 今回は、ドローンを「移動するIoT」と捉えつつ、さまざまな角度から考察していく。  組込みシステム技術協会(JASAIoT技術高度化委員会 ドローンワーキンググループでは、経済産業省の「新産業構想ビジョン『移動する』(ヒトの移動、モノの移動)」に応えるべく、ドローンをテーマに活動している。JASAはドローンを移動しながらインターネットにつながるロボットと考えており、それはまさに「移動するIoT」の実現だ。今回は、ドローンをテーマに「移動するIoT」を考える。


第320版 CEATEC JAPAN 2017からの最新レポート

「サイバーフィジカルシステム(CPS)とIoTの展示会」と銘打ち、大きく展示内容が変化した「CEATEC JAPAN 2017」が  幕張メッセで開催中だ(20171036日)。Society5.0」を柱にセンシングデバイスから社会問題解決ソリューションまで幅広く展示する今回は、出展者667/団体のうち約半数が新規出展となっている。


第361版 シャープ、「8K」普及は誰のためか

世界最大のEMS(電子機器の受託製造サービス)である台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)傘下入りから13カ月、シャープの業績回復が鮮明になってきた。1027日に発表した201749月期の連結最終損益は347億円の黒字(前年同期は454億円の赤字)となり、リーマンショック以前の水準に回復。183月期の最終損益見通しも90億円の黒字(前期は248億円の赤字)と、従来予想から100億円引き上げた。 


第366版 IoTの三層構造について

インターネットにつながるデバイスは、自動車や家電製品、ビルの設備や日用品にまで拡がり、そこに組み込まれたコンピュータとセンサーが大量のデータを送り出すようになろうとしています。  

 

IoTの仕組みは、クラウド、エッジ、デバイスの3階層にコンピュータを配置する構成を取ることになります。言うなれば、超分散コンピューティングを生みだそうとしているとも言えそうです。

 

 

 

IoTは、データを収拾してネットワークに送り出す「デバイス(=モノ)」、そのデータを収拾・集約しクラウドにデータを送ったり、すぐに結果を返さなければならない処理を行ったりする「エッジ・コンピューティング/フォグ・コンピューティング層」、集められた膨大データを解析し、アプリケーションを実行、再びモノへとフィードバックする「クラウド・コンピューティング層」に大別することができます。デバイス層」は、センサーや外部機器をつなぐためのインターフェイス、ネットワークにデータを送り出す通信機能、 それらを制御するための処理機能が組み込まれたモノのことです。

 

ここで、モノ自身から生みだされるデータや周辺のデータ、さらには接続された外部機器からのデータを受け取り、  それをネットワークに送り出します。それらデータが直接クラウドに送り出される場合もありますが、モノの周辺でデータを一旦受け取り、すぐに処理して フィードバックする、あるいは集約して必要なデータのみをインターネットを介してクラウドに送り込む仕組みが介在  する場合があります。「エッジ・コンピューティング層」と呼ばれています。

 


第423版 IoT普及に立ちはだかる旧来システムの呪縛

  一つの異常が全体に波及しないために

安倍晋三政権が2018年度の重点政策としている「生産性革命」。その中核はIoTだ。「Internet of Things」の略で、よくある解説の言葉を借りれば「モノのインターネット」と訳される。パソコンやスマートフォンだけではなく、家電、自動車、ロボット、施設などの「モノ」がインターネットにつながるようになった。機械や装置に組み込まれたセンサーやマイクロプロセッサー(MPU)がインターネットにつながって、信号やデータをやり取りする。 

最も早くから普及しているのは建物の自動ドアだ。ドアの前床に設置された重量センサーが一定以上の重さを検知したり、ドア枠の赤外線センサーが遮蔽物を検出したりすると、それがトリガーとなってモーターを起動させる。   


第429版 何故、デジタル化するのか? 戦略なきIOT活用では競争に勝てない

        日本が目指すべきはボトムアップのIoT~現場力を高めるためのデータ活用

ドイツの「インダストリー4.0」が話題となり、私が日本の製造業におけるIoT(モノのインターネット)活用の推進を唱えてから2年半が経過した。最近では、IoTAI(人工知能)の文字を新聞・雑誌で見かけない日はないくらいに、その勢いは留まるところを知らない。ただし、新しい技術にはつきものだが、バズワード的な要素も多分に含まれ、特にAIについては、「機械が人格を持ち、人から離れていく」といったミスリードも散見される。これについてはどこかで修正が入るだろう。問題なのはAI技術そのものではなくて、AIを過信する人間のほうだ。AIが決めたのだから、従うべきだ」といった、責任の所在をあいまいにする構図がAIと個人の意思決定の関係に現れると、非常に危険だ。

ビッグデータによって今後AIが巨大化していったときに、ちゃんとヒトが介在し、補正したり、否定したりできるような"人間力"がますます重要になる。そうしたAIがもたらす社会的インパクト、システム論や組織論的な課題は、AI技術の研究者だけでなく、歴史学者や政治学者、法律学者なども交えて、議論を深めていく必要がある。

これに対し、IoTに関しては、景気に対する浮揚効果が大きいと考えている。IoT活用にあたっては、数多くのデバイスが必要になる。デバイスは単体では意味をなさないからシステムとなり、システムは仕組みになって、最終的にはどんどん新しい投資が生まれることになる。IoT活用のさらなる推進が企業にとっても、国にとっても重要だ。

一方、デジタル化が進めば、データがじゃぶじゃぶ発生する。データ活用に関する指針なり、仕組みが伴わないと、データの海におぼれて、かえって重要なデータが見えなくなってしまい、必要な意思決定ができなくなる恐れもある。データを分析するデータサイエンティストとは違う、データを活用して日々のアクティビティに落とし込んでいくような、 新しいIT人材の育成が急務だ。徹底的にデジタル化を進める欧米に対し、日本はそれに対する抵抗感があるので、このままでは中途半端なデータ活用になりかねない。我々日本が目指すべきはボトムアップなIoTを盛り込んだ、現場力を高めるためのデータ活用である。そうした方向性を明確に認識しておかないと、関連製品・サービスを提供するFAFactory Automation)メーカーやITベンダーはいいが、活用する側がついていけなくなり、マーケット全体としてはシュリンクしてしまうだろう。 


第430版 IOTでズバリ「伸びる業界」8つと「伸び悩む業界」4つを公開

  注目は運輸、エンタメ、製造  

IoTビジネスが、2017年から本格的な取組として紹介されることが多くなってきた。

政府も「Connected Industries」というコンセプトを発表し、1つの企業や業界でつながるのみならず、様々な会社が業界をこえてつながる時代を見据えた取組を加速させ始めている。そんな中で、IoTへの取組を加速させて市場規模が伸びる業界と、意外にも市場規模が伸びない業界があることをご存じだろうか。


第447版 製造業IoT、最初の1歩 図解思考の観点から『おがわの音♪』を配信 ! 

IoTで成果を得るためには、サイバーフィジカルシステム(CPS)によるサイクルが必要だとされています。

CPSとは、サイバー空間とフィジカル空間が緊密に連携しながら価値を生みだすシステムのことです。

  IoTでいえば、フィジカル空間からセンサーなどで取得したデータをネットワークでサイバー空間に蓄積して分析する。 

その後、分析結果をもう1度フィジカル空間にフィードバックして得られた知見などを活用するという仕組みです。

 

このCPSを「Why」「How」「What」で考えてみると、「現実世界にフィードバックして得られた知見を活用する」ということがまさに、IoTを行う理由「Why」であり、目的となるべきなのです。

しかし現在は、どうやってデータを収集して蓄積し、分析するのかという「How」の領域の議論に終始しているように見えます。

実際に製造業の方々などと話していると「そうはいっても」という声もよく聞こえてきます。

なぜなら、製造業におけるIoTCPSにおいては、まだまだ収益性が明確に見えている「正解例」のようなものが少なく「この目的でやります!」といっても、費用対効果の面から進めることが難しい場合も数多く存在するからです。

ただ、明らかに成果が出る状況まで待っていては競争力の面で劣ることになります。

またIoTの世界で成果を出すためには「データを取得する」というフェーズが発生するために「いざやるぞ」となった場合も、成果を得るまでにタイムラグが生じます。

こうした状況を踏まえて、個人的に提言したいのは「今データがあるところから始めてはどうか」ということです。What」としてのデータがある部分ということですね。

今データが存在しているところからスモールスタートし、そのデータを基に「Why」を考え出して、まず取り組みを開始してみます。その後、うまくいけば新たな取り組みに広げていくという流れです。

製造業IoTの動きにはさまざまなフェーズが存在し、いずれは「How」で困ることもあるかもしれません。

しかし、現在多くの製造業がつまずいているのは「Why」と「What」といういずれもフィジカル領域にあります。

まずは「今あるもの」から始めてみて、IoT活用の勘所をつかみ、次のステップに進むのが日本の多くの製造業にはあっているのではないかと感じています。   


第454版 「スマートホーム」には危険が潜んでいる

  家をIoT機器だらけにすると何が起きるか

 アマゾンの「アマゾン・エコー」や米グーグルの「グーグルホーム」。ここ数年、こうしたAIスピーカーやホームセキュリティ、ヘルスケアなど消費者向けなど、IoT(モノのインターネット)製品が続々登場、家庭の中に入り込み始めている。その分野は多岐にわたり、しかもユニークな製品が多い。最初の頃はスマートフォンから電灯のオン・オフを制御する程度だったが、最近はカーテンの開閉を設定できる目覚ましカーテンや、防犯カメラに冷蔵庫、換気扇、空気清浄器、光量を調節できるスマートミラ―など、さまざまな製品が登場している。

こうした一つひとつの製品はいまだガジェットの域を出ないとはいえ、遠くない未来には、インターネットで機器が連携された「スマートホーム」が実現する日もくる。 その際に落とし穴はないのだろうか。


第590版 IOTの成否は高齢者の○○で決まる!                                        2018年4月28日

東京オリンピックの喧騒が去った2020年、あなたはどんな生活をしているだろうか?
AIによってシンギュラリティは起きるか? ヒト以上にやさしいAIは登場するか? 

ヒトとAIはどう共存していくのか?
構想・執筆に2年、「愛」がテーマという注目のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。』が話題となっている。実物通貨と仮想通貨、日常と非日常、ヒトとAIの境界線がどんどんなくなりつつある今、私たちはどうやって生きていけばいいのか?

2000年代中盤から「AI」と「IoT」を研究し続けてきた大村氏の特別寄稿をお送りする。