おがわの音♪ 第380版
貴乃花親方への共感・反感でわかるサラリーマンの組織忠誠度 2017年12月6日
「日馬富士暴行事件」の異様さ
元横綱の日馬富士が、前頭で同じモンゴル出身の貴ノ岩を酒席で殴打してけがさせた事件は、連日の報道の多さに、率直に言ってそろそろ嫌気が差す頃合いなのだが、どうしても気になる点があって、筆者はまだ目を離せずにいる。
気になる点とは、貴ノ岩の師匠である貴乃花親方がこれからどうなるのかだ。彼の意図は何なのか、その意図は達成されるのか、貴乃花親方自身がこれからどうなるのかといった諸々だ。それにしても、この事件は異様だ。
事実の詳細がまだ明らかになっていないが、モンゴル出身の有名力士が複数で貴ノ岩を伴って飲みに行き、日馬富士が彼を殴打して怪我をさせたことは間違いない。当初伝えられたように、ビール瓶を使ったにせよ、あるいは後に日馬富士が否定したようにビール瓶は使わなかったにせよ、プロの幕内力士である貴ノ岩にけがをさせるまで殴るのだから、日馬富士という人の闘争的集中力は並外れた恐るべきものなのだろう。
また、貴ノ岩が殴られている状況でも止めに入らないという、同席したモンゴル出身力士たちの行動も異様だ。
貴ノ岩は何らかの“制裁”を受けていたのだろうか。
理由はともかく、一般に、ボクサーや力士のような格闘家が暴力を振るった場合、道具を使わなくても凶器を使ったのと同程度の罪と認定されることが多い。
被害者が力士であったとしても、「暴力でけがをさせた」ことが明らかになった時点で、日馬富士には引退以外に道はないと思われたのだが、多くのメディアが引退を勧告せずに様子を見ていたのも、かなり異様だった。
おがわの音♪ 第379版
日本の底力を世界に見せつけた零細企業「由紀精密」の挑戦
戦後、全てを失った日本は0からスタートし、経済大国の礎を築きました。
しかし、バブル崩壊以降「またいつかあの頃に戻れる」という根拠のない自信が、日本人の熱意を奪っていきました。
『時代を読む』の著者である嶌信彦さんは、「元気のない日本だが、中小・零細企業の中には技術も活気もあるところがまだまだたくさんある」と指摘。
今回はそのうちの一つである「由紀精密」を詳しくご紹介します。
中小企業に起業家精神が
しかし、そんな日本にも最近 戦後の第二創業時代がやってきている。
それは活力を失った大企業ではなく、日本の企業の99%を占める中小・零細企業の中から、明治維新期や敗戦後の日本を元気づけたような企業が次々と生まれてきている。今回はそんな第二創業時代を思わせる典型的な企業を紹介したい。
その企業は、神奈川県茅ヶ崎市の由紀精密(大坪正人社長)という零細企業である。
社員20人余とパートタイマーを入れて30人ほどの小企業だが、航空、医療機器などの部品加工を行なっている。
営業社員がいない経営スタイルを貫き、大学や大学院出身の若手が油まみれで働いている普通の町工場のような会社だ。
中小企業でありながら祖父が創業し、父親が継承していた螺子(ネジ)の会社を僅か3~4年で、何と航空産業、医療機器の会社へと変身させ、この5年間で取引先を3倍に増やし、売上高も大幅に伸ばしているのだ。
欧州にも拠点を置き、高付加価値製品をアジアよりも欧米、特に航空機の最先端技術開発国であるフランスにターゲットを絞って戦略を立ててきた。
おがわの音♪ 第378版
東レ・三菱マテ、「改ざんドミノ」が起きたワケ
相次ぐデータ改ざんは氷山の一角なのか 2017年12月04日
両社とも、“受け身”の会見だった。 日本の製造業で「改ざんドミノ」が止まらない。
神戸製鋼所に続き、三菱マテリアル、経団連会長の出身企業である東レでも品質データの改ざんが行われていたことが発覚した。
8年間にわたり改ざん
「不正確なうわさが流れるより正確な情報をご説明すべきと判断した」。11月28日午前の緊急会見で東レの日覺(にっかく)昭廣社長はそう語った。
子会社の東レハイブリッドコード(THC)が2008年4月から2016年7月までの8年間にわたり、顧客と取り決めた強度などの品質基準(規格値)に合致するよう製品検査データを改ざんして出荷していたのだ。THCは産業資材用繊維の加工子会社で、主にタイヤや自動車用ホース・ベルトに使う化学繊維製の補強材を製造。
書き換えが行われていた期間に該当する約4万件分の社内データを調査した結果、タイヤ、自動車部品メーカーなど13社との取引で149件(該当金額は1.5億円)の改ざんが見つかった。東レグループ内で今回の不正が発覚したのは昨年7月。
THCが社内で行ったコンプライアンスのアンケートで、「品質検査データが書き換えられている」との指摘があったのがきっかけだ。
おがわの音♪ 第377版
景気のよさを実感できない理由は「勤労統計と求人倍率」で分かる
2017.12.2
「景気がいい」のは本当か~毎月勤労統計」に注目
好景気が続いていますが、その「実感がない」という声も多いようです。
今回は、日本の勤労者の給料や就労状況が分かる「毎月勤労統計」に注目し、「実感なき景気拡大」の実態をご説明します 11月上旬に「日本経済の景気拡大がいざなぎ景気を超えた」というニュースを目にした人もいるのではないでしょうか。
これは、今年の9月分の経済データが出そろい、2012年12月から続く景気回復が戦後2番目の長さの景気拡大局面になった事が確定したというものです。
それに歩調を合わせるように、日経平均株価は25年ぶりの高値をつけました。 しかし、マスコミ報道では、多くの人が「実感がない」と言っています。
確かに、デパート、スーパー、コンビニなどの消費者に身近な小売業の売り上げは盛り上がりに欠けていて、消費者の心理はそれほど前向きではないことがうかがわれます。10月の業界統計を見てみると、デパート、スーパー、コンビニのいずれもが、前年と比べて売り上げが減少しました(いずれも既存店の売上を比較したもの)。
10月は週末に大型台風が襲来しましたが、天候の影響を受けにくいと言われるコンビニも数字が弱いものとなりました。
このことから、天候の影響はあまり大きくなかったと可能性もあります。
消費関連でプラスの数字が見られるのは、海外からの観光客(インバウンド)関連か、株高によって儲けた人が高額品消費をするなど、比較的狭い範囲に限られています。このように、消費関連のデータを見ると、「実感なき景気拡大」がよく表れていることが分かります。では、「経済全体の好調さ」と「人々の実感」との乖離はどこから生じているのでしょうか。 そのヒントが、「毎月勤労統計」にあります。
おがわの音♪ 第376版
「自分探し」を支援する、デンマークの仕組み
終身雇用は過去のものとなり、定年後にもまだ長い人生が待っている。乗り切るために必要になるのは、人生やキャリアの途中でときに立ち止まり、必要に応じて柔軟に人生・キャリアを再構築することではないだろうか。
デンマークでは、社会人と学生を行き来する中で、自分が世の中でより役に立てる仕事を求める“自分探し”“学び直し”を行う仕組みがある。
おがわの音♪ 第375版
報道されぬ2020年危機。日本経済があと3年で「どん底」に落ちる3つの理由
凋落は避けられないのか? 2020年の日本を襲うトリプルパンチ
メディア上では、内閣府発表の最新の経済統計に基づいて、「7-9月GDP年率1.4%増、16年半ぶり7期連続 プラス成長」などと報道されています。
もちろんこれは誤報ではありませんが、この見出しから受けるイメージほど、日本経済は好調では決してありません。
※参考:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-11-14/OZ6KHZ6TTDS501
そもそも、今期の成長は「外需主導」でもたらされたもので、国民の暮らしに直結する内需は大きく冷え込んでいるのが実態です。
実際、(GDPの1%程度を占める「純貿易」を差し引いた)「内需GDP」に着目すれば、前期比の実質成長率はなんと「-0.18%」(532.1兆円→531.1兆円)です。
これは文字通りのマイナス成長。つまり「衰退」局面にあるのが今の日本経済なのです。
さらにデフレータに着目すれば、前年同月比でみれば「0%プラス」、つまり、完全な横ばい(102.8→102.8)となっています。
ちなみに前年同月比のデフレータは、四期連続「マイナス」だったのを考えれば、いくぶん改善したとも言えますが、成長局面にないことは明白。16年半ぶりの好景気なのであれば、デフレータは対年前年比でも明白にプラスで、内需実質GDPも明確にプラス成長しているはずですから、好景気だなんて絶対に言えない状況にあるのが、我が国の今の実情なのです。
おがわの音♪ 第374版
ユニクロ社長の座を蹴った男が仕掛ける「ファミマ」大改革の全貌
今まで有名企業の改革を成功させ、経営のカリスマとして知られるファミリーマート・澤田貴司社長が、商品開発や働き方改革への取り組みを明かしています。
おがわの音♪ 第373版
AIの発達をこのまま市場に任せてよいのか
人類にとって「憂鬱な未来」か「豊かな未来」か
※『デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか~労働力余剰と人類の富』(東洋経済新報社、2017)
日本経済は人手不足の様相を強めている。失業率は2017年9月には2.8%に低下し、特に有効求人倍率は1.52倍と、バブル期のピークだった1990年7月の1.46倍をも超える高さだ。
団塊世代が65歳を超えた2012〜2014年以降も、毎年150万人を超える人が65歳を迎えて年金生活に入っていくのに対して、15歳を迎える人口は120万人に満たず、毎年30万人以上ずつ生産年齢人口が減少していく。
今後も高齢化による労働力の減少が続き、高齢者や女性の労働参加を考慮しても、しばらくの間は労働需給がさらにひっ迫するだろう。
しかしもっと先を考えると、AI(人工知能)の進歩で機械が人間の行ってきた仕事を担うようになるという動きが加速し、人間の仕事はなくなっていき、世界的に労働力過剰という事態が出現する可能性がある。
『デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか~労働力余剰と人類の富』(東洋経済新報社、2017)で、著者のライアン・エイヴェントは、コンピュータは蒸気機関や電気と同様の汎用技術でとてつもない力を持ったものであることや、デジタル革命は人類に多大な恩恵をもたらすので後戻りできない流れであることを指摘し、社会が直面する課題を論じている。以下ではこの議論を参考に影響を考えてみたい。
おがわの音♪ 第372版
富士通とレノボ、パソコン合弁合意の舞台裏
13カ月もかけたのは好条件を引き出すため
「富士通のパソコンはレノボに身売りされるのか」と思っていた同業他社にとって、今回の合弁スキームは意外だったようだ。
11月2日、富士通と中国レノボ・グループがパソコン合弁でようやく合意した。
各国の独占禁止法や競争法の審査を経て、来年春をメドに実現する。富士通のパソコン子会社・富士通クライアントコンピューティング(FCCL)にレノボが約200億円を出資。出資比率は、レノボが51%、富士通が44%、日本政策投資銀行が5%になる。社名も社長もブランド名も変えない。
おがわの音♪ 第371版
高騰するビットコイン…開発者に疑われた中島聡がその成り立ちを解説
昨今、ブロックチェーンを活用した仮想通貨の登場で、世界中の「お金の概念」が大きく変わろうとしています。
仮想通貨の動向にも詳しい米在住の世界的プログラマー・中島聡さんは、今まで複数回にわたって仮想通貨の可能性や危険性について考察してきましたが、そもそも「ブロックチェーンとは何か?」という根本的な疑問について、成り立ちからわかりやすく解説しています。
おがわの音♪ 第370版
ゾゾタウンが「採寸ボディスーツ」に託す狙い
ZOZOSUITは、あなたの身体の寸法を瞬時に採寸することのできる伸縮センサー内蔵の採寸ボディースーツです。
上下セットで着用し、お手元のスマートフォンをかざすだけ。人が服に合わせる時代から、服が人に合わせる時代へ。ZOZOSUITから始まる新しいファッションの世界をどうぞお楽しみください。採寸用ボディスーツ「ゾゾスーツ」の無料配布を開始したスタートトゥデイ。前澤友作社長が自身の42歳の誕生日に合わせて詳細を発表した。
おがわの音♪ 第369版
株価暴落「危険なシグナル」の簡単な見つけ方 ~ 一般週刊誌の特集を見ていれば分かる!
まだ11月の下旬に差し掛かったところですが、もう「今年は株式市場が非常に好調だった」と言ってもよいかもしれません。
なにせ、10月には日経平均株価が何と16日間連続で上昇するという新記録を打ち立てたぐらいです。
それに合わせて「今後も株価の上昇は続くのか」「それとも今の株価はバブルなのか」といった議論が、専門家といわれる人たちの中で、いろいろなされています。
おがわの音♪ 第368版
賢い会社はもうやめている。不毛な「ビッグデータ分析」の現実
私たちの生活に欠かせない存在となっている100円ショップですが、ビジネスの視点で見ると、商品単価が安い分かなり多くの種類や数を売る必要があります。しかし、主に女性をターゲットにして人気が高い100円ショップ「セリア」は、小売業の「生命線」とも言える客層分析をきっぱりやめたということが大きな話題となりました。MBAホルダーの理央さんは、100円ショップ「セリア」のこの決断をどう分析したのでしょうか?
おがわの音♪ 第367版
ラーメンの幸楽苑が52店閉鎖へ。日高屋とどこで明暗が分かれたか?
昭和29年創業の「幸楽苑」が52店舗の閉鎖を発表しました。
同店は、不採算店の一部を先頃フランチャイズチェーン契約を結んだ「いきなり!ステーキ」へ転換することで活路を見出すことに。
おがわの音♪ 第366版
IoTの三層構造について
インターネットにつながるデバイスは、自動車や家電製品、ビルの設備や日用品にまで拡がり、そこに組み込まれたコンピュータとセンサーが大量のデータを送り出すようになろうとしています。
おがわの音♪ 第365版
テスラよりミラージュの方が、環境に優しい?
生産~廃車までのCO2排出量評価が大事、電池大型化は問題
三菱自動車の小型車「ミラージュ」は、一見して環境に優しい革新的なクルマには思えない。
内燃機関(エンジン)で走り、排気管から排ガスを撒き散らすガソリン車にすぎないからだ。
しかし、部品の調達から燃料、部品の再利用に至るまで、つまりクルマが誕生する過程から廃車までの全ライフサイクルで弾き出した二酸化炭素(CO2)排出量で見ると、話は違ってくる。発電によるCO2排出量が多い地域で使用すると、米テスラが販売する一部の電気自動車(EV)よりも、エンジンを搭載しているミラージュの方が環境に優しいことになるのだ。
おがわの音♪ 第364版
経済物理学で日経平均株価の暴落時期を探る ~日本株はバブルなのかまだ上がるのか
「経済物理学」とは、経済現象を物理学的な手法などによって説明する学際な学問だ。詳細は専門書に譲るが 、バブル崩壊のメカニズムに関する研究も多い。
筆者は2015年4月に、会社の顧客向けリポートで当時の中国株バブルの崩壊時期を経済物理学のモデルを用いて予測した。
その際に筆者は「(中国株は)すでに警戒すべき状況にあるといえる」「2015年5月末から1カ月ごとにバブル崩壊の可能性を検証したところ、10月末がもっともらしい」と予測した。
おがわの音♪ 第363版
ゴア氏「日本は石炭火力支援をやめるべきだ」
地球温暖化対策で日本が今できることとは?
アル・ゴア元米国副大統領は地球温暖化対策の重要性を訴え続けている。
しかし、ドナルド・トランプ米大統領は今年6月、温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から米国は脱退すると表明した。
温暖化対策は後退してしまうのか。日本がなすべきことは何か。自ら出演した映画『不都合な真実2:放置された地球』の11月17日公開を前に来日したゴア氏に聞いた。
おがわの音♪ 第362版
失われた何年になるのか。「好景気」なのに日本が詰んでいるワケ
11月9日には日経平均株価が25年ぶりに2万3,000円を超え、景気回復期間も「いざなぎ景気」を超えたと報道されていますが、日銀が目標とする2%の物価上昇は未だ達成されず、何より日々の生活で「好景気」を実感することはありません。
なぜこのような事態となっているのでしょうか。
津田慶治さんが、国内外の様々な要素を鑑みつつその分析を試みながら、日銀の金融政策の誤りや今すぐ手を打たねばならないこと等を記しています。
おがわの音♪ 第361版
シャープ、「8K」普及は誰のためか
世界最大のEMS(電子機器の受託製造サービス)である台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)傘下入りから1年3カ月、シャープの業績回復が鮮明になってきた。
10月27日に発表した2017年4~9月期の連結最終損益は347億円の黒字(前年同期は454億円の赤字)となり、リーマンショック以前の水準に回復。18年3月期の最終損益見通しも90億円の黒字(前期は248億円の赤字)と、従来予想から100億円引き上げた。