おがわの音♪ 第420版
NHK受信料「徴収督促チップ」が全テレビに!?
全受信機にACASチップを入れるのは不当だ
2018年は放送・映像機器いずれの業界にとっても大きなイベントとして、12月 1日に「4K/8K実用放送の開始」が待ち構えている。
ところが実用放送開始まで1年を切った現在も解決していない問題がある。
昨年7月にも記事「B-CASカードは4K/8Kになると"悪質化"する」で伝えた「CAS(コンディショナルアクセスシステム)」の問題が解決していないからだ。
CASとは契約状況に応じて放送視聴の可否を制御する仕組みで、有料放送の契約者識別に使用する。
NHKの受信料納付を求めるメッセージ表示も、この仕組みを用いて実現している。
現在使われているB-CASカードには、さらにコンテンツを保護する暗号化機能も有しているが、B-CASカードはすでに暗号化を破られていることもあり、4K/8Kにおける新しい仕組みとして有料放送事業者で組織した「新CAS協議会」が次世代のCASとしてACASチップを開発した。
おがわの音♪ 第419版
アマゾンが取引先に課している「冷酷な条件」
合理性を追求した徹底したロジカル経営
今やEC業界の王者の座に君臨するアマゾン。
日用品もワンクリックで購入できるようになり、消費者の生活が便利になっていく一方、アマゾンは日本の小売業界を脅かす存在にもなっています。
アマゾンと取引のある企業からは、「アマゾンに顧客を取られる」「アマゾンは冷酷な会社だ」といった声を聞くこともあります。
アマゾンは、なぜここまで強大な企業になり、「冷酷」とまで言われるようになったのでしょうか。そして、日本企業はアマゾンにどう対抗していくべきなのでしょうか。
これらの答えを導き出すには、まずアマゾンの経営戦略を知る必要があります。
私はアマゾンジャパンで、2002年から2006年までSCM(サプライチェーン・マネジメント)のマネジャーとして、物流や倉庫オペレーションまでの管理をしており、多くの採用面接もしてきました。今回はアマゾンでの経験を踏まえて、アマゾンがEC王者であり続ける理由の1つを考えてみたいと思います。
おがわの音♪ 第418版
阪急百貨店創業者・小林一三はなぜカレーライスを安く売ったのか
商売を手がける人なら誰もが知る「損して得取れ」という極意。
しかし、この言葉に込められた真の意味について知る方はあまり多くはないようです。今回 繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、かつて「損して得取れ」を実践したという阪急百貨店の創始者・小林一三氏のエピソードを取り上げ、「商売で最も大切なこと」を考察しています。
おがわの音♪ 第417版
全固体電池の菅野教授が語る、EVはこう進化する
次世代電池の“本命”はリチウムイオン電池の限界を超えるか
英ダイソンのEV(電気自動車)参入表明で注目を集めるのが「全固体電池」だ。
現在主流のリチウムイオン電池が抱える走行距離などの限界を突破する電池として期待されている。ダイソンのみならず、トヨタ自動車など多くの会社が開発に力を注ぎ始めている。第一人者、東京工業大学の菅野了次教授に、全固体電池がEVを変える可能性について聞いた。
おがわの音♪ 第416版
仕事でミスを連発する人は「トヨタ式」に学べ
原因を知り、共有し、精神論で終わらせない
どんな仕事でもすべて完璧な人はいません。人間である以上、ミスはつきものです。
ただ、同じミスを何度も繰り返す人は、仕事に対する責任感が希薄と言われても仕方がありません。
慣れない仕事や初めての仕事であれば、「初めてのミス」は大目に見てもらえますが、慣れた仕事で何度も同じミスを繰り返すのは、「初めてのミス」にしっかりと向き合うことをせず、「初めてのミス」から教訓を得ていないからです。
おがわの音♪ 第415版
復活ルネサスが挑む「自動運転半導体」の戦い
トヨタも認めた技術力で米国勢に対抗
「自動運転では圧倒的な強みがある」。
半導体大手ルネサスエレクトロニクスの呉文精社長は今、自信を深めている。
車載半導体に強いルネサスの業績は、自動ブレーキなど複雑な処理を必要とする運転支援機能の普及を追い風に拡大中だ。
2017年12月期は売上高7710億円と、前年同期と比べて約2割増を見込む。大規模なリストラを経て、ようやく復活が見えてきた。
今後のカギとなるのが、冒頭の自動運転だ。
1月9日から米ラスベガスで開催された家電見本市で、ルネサスは最新の自動運転車のデモ走行を実施。来場者の注目を集めた。
おがわの音♪ 第414版
ラスベガスを走る「自動運転タクシー」の正体
ライドシェア大手と部品会社が手を組んだ
毎年20万人近くが集う世界最大のテクノロジーの祭典、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)。
開催地の米ラスベガスで今年、未来の自動運転車を一足先に体験できる実証実験が行われた。
CESの会期中、多くのホテルやカジノが立ち並ぶストリップ地区から展示会場までの道路はひどい渋滞に陥ることもしばしば。歩行者の飛び出しも少なくない。
こんな場所に表れたのが、自動運転タクシーだ。白い車体の後ろには、「SELF-DRIVING VEHICLE(自動運転車)」の文字が目立つ。
おがわの音♪ 第413版
「2018年の10大リスク」の正しい読み方
トランプ大統領は、もはやリスクではない!?
2018年は日米とも株価好調で始まった。相場格言に「犬は笑う」とあるが、本当に笑っている人が多そうな戌年の始まりである。
ただし「ちょっと悪乗りしてるんじゃないか」てな気もする。たとえば朝鮮半島では、この1週間で南北対話が急速に進んでいる。
アメリカのドナルド・トランプ大統領までもが、「北との対話を歓迎する」などと言いだした。
この発言を受けて、「とりあえず平昌で『オリパラ』やってる間は、軍事オプションはないよね」「だったら、3月中旬まではリスクオン継続でいいよね」てな連想が、市場で広がっているようだ。
そんなことを言っても、3月下旬に米軍が「それではこれまで延期しておりました米韓合同軍事演習を始めます」と言い出した瞬間に、北朝鮮が「話が違う」とか何とか言い出して、挑発行為を再開するのではないか。
それで再び軍事的緊張が高まる、といった展開が今から目に浮かぶ。つまるところ南北対話は時間稼ぎにすぎず、北朝鮮は「北米大陸に届くICBM(大陸間弾道弾)の完成」にまた一歩近づいてしまう。過去にわれわれが何度も目撃したような茶番を、またまた繰り返すのではないか。 しみじみ彼らは力の論理には素直に反応するが、善意に基づく互恵の精神などは期待できないのである。
こんなふうに、地政学リスクが渦巻く2018年をいかに乗り切っていくか。年明け早々、コンサルティング会社のユーラシアグループが、「今年の10大リスク」を発表している。毎年出回るこのリストと、同グループを率いる政治学者イアン・ブレマー氏のことは、ご存じの方が多いだろう。
おがわの音♪ 第412版
中国「一帯一路」が英国の国家事業に触手を伸ばす思惑
中国と英国が急接近している。
両国が距離を縮め始めたのは、1997年の香港 返還が契機だが、これまで中国にとっては、長期にわたって「喉の奥に小骨のささった状態」が続いていた。
そもそも、中国と英国の関係には長い歴史がある。南京条約(アヘン戦争の講和条約・1842年)で英国は清朝に開港を迫り、香港を割譲させた。
その後英国は、日清戦争(1894~95年)のドサクサにまぎれて香港の領域を拡大させ、1898年から99年間にわたる租借権を設定したのだ。
近年は、2012年にキャメロン首相が、ダライ・ラマ14世と会見したことが関係を ギクシャクさせたが、2015年10月の習近平国家主席による訪英で、二国間関係はこれまでにない発展的局面を見せた。
このとき、両国はその外交関係において「21世紀グローバルな全面的戦略パートナー関係」を結び、英中両首脳(当時の英国はキャメロン政権)はこの二国間関係を「黄金時代を迎えた」と自賛した。 従来、中国にとって英国は「全面的戦略パートナー関係」という立ち位置だったが、これが格上げされた形だ。
「21世紀」「グローバル」「全面」「戦略」「パートナーシップ」という五つのキーワードの並列について、中国の研究者は「二ヵ国の関係が最高級の段階に引き上げられたことを示唆するもの」と指摘する。
おがわの音♪ 第411版
創業100年「TOTO」が成長し続ける根本理由
TOTO社長「M&Aも、優れた経営者も不要だ」
世界の消費者を魅了する日本のイノベーションといえば、かつてならばソニーのウォークマンやホンダのスーパーカブ。では現代は?
TOTOのウォシュレットはそのひとつではないだろうか。ウォシュレットの発売から40年弱。用を足した後にボタンを押しておしりを洗うことは、日本人にとって当たり前の動作になった。今では競合商品も増えたが、消費者はどのメーカーの製品でも「ウォシュレット」というTOTOの商標で呼ぶ。
それほど高い認知度なのだ。海外では発売当初は奇異に受け止められたが、近年は急速に浸透。高級ホテルやランドマークで導入され、アジア・米国の富裕層にも人気だ。海外での販売台数は右肩上がりで増え、TOTOの業績は売上高・営業利益ともに過去最高を更新している。
株式市場での評価は高く、喜多村円社長がトップに就任した2014年4月から時価総額は約2.3倍に膨らんだ。
この成長を、企業買収に頼らず、ひたむきに「看板商品=トイレ」のイノベーションに取り組むことで実現してきたTOTO。いったい、どんな会社なのか。
喜多村社長に聞いた。
おがわの音♪ 第410版
あえて「結論を出さない」人が持つ思考の技術
正解のない時代、みんな無理をしなくていい
『英語でしゃべらナイト』『爆笑問題のニッポンの教養(爆問学問)』『みんなでニホンGO!』『ネコメンタリー 猫も、杓子も。』『欲望の資本主義/民主主義/経済史』……。時代のテーマを掬い取り、「NHKらしい」のに「NHKらしくない」 異色のコンセプトで番組を企画し続けるプロデューサーの丸山俊一氏。
『結論は出さなくていい』を著した丸山氏が、「正解のない時代」における思考のヒントをお届けします。
おがわの音♪ 第409版
日本には見えていない、この10年ではっきりした世界の対立構造
世界が北朝鮮に振り回された感のあった2017年ですが、明けて2018年、今年はどのような危機に襲われる可能性があるのでしょうか。アメリカ在住で世界情勢にも精通する冷泉彰彦さんが、「2018年の世界、3つの課題と日本」と題し、現在の世界で起きていることを俯瞰的に考察・分析しています。
おがわの音♪ 第408版
匠大塚会長が“父娘げんか”を経て語る「事業承継ここを誤った」
大塚家具を創業、かつて「家具業界の風雲児」と呼ばれた大塚勝久氏。
創業者である父と長女の経営権をめぐる争いは記憶に新しいが、大塚家具を去った2015年に新会社「匠大塚」を立ち上げ、70歳を過ぎての「第2の創業」に挑んでいる。その大塚勝久氏が、第2の創業に掛ける意気込みと、多くの同族経営企業が抱える事業承継の難しさについて、自身の経験を踏まえて語った。
おがわの音♪ 第407版
“変わらないもの”を信じ続けるリスクとは?
和田秀樹 サバイバルのための思考法
先日、とある文化人の飲み会で、私の尊敬する文化人の方がこんな発言をした。
「私はスポーツ医学というものを信じていないのですよ。昔は『走っているときに水を飲むな』とかいい加減なことを言っていた。その後も言うことがコロコロ変わる。こんなものは科学と言えません」
この文化人の方は自分の専門領域では恐ろしいほどの知識を持つだけでなく、独自の考察で様々な独自の説を打ち立てるような人、つまり知識だけでなく思考力も抜群の人として尊敬していたので、私にはちょっとこの発言は意外だった。
おがわの音♪ 第406版
韓国独占「有機EL」、国産化阻む高いハードル
JOLEDは「印刷方式」で量産を始められるのか
有機EL(OLED)テレビの国産化は実現するのか。
今年2018年は、その行方が決まる重要な年になりそうだ。
東芝、ソニー、パナソニックの3社が国内で相次ぎ有機ELテレビを発売した2017年は、“有機ELテレビ元年”ともいわれた。
3社は、2015年にいち早く参入した韓国LGエレクトロニクスの背中を追う。
発売当初は65インチで100万円近かった東芝製テレビが店頭で50万円台(2018年1月4日現在)まで下がるなど、価格下落も追い風となり、国内の出荷台数は月ごとに増加。2017年11月単月では前月比55%増で1万台を超えた。全世界では、2024年までに2016年比15倍の2000万台近くまで拡大するという試算もある(IHSマークイット調べ)。
おがわの音♪ 第405版
アマゾンの「データ分析」はここまで徹底する
礎を築いたキーマンが著書で明かす裏側
『アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える』(アンドレアス・ワイガンド著、土方奈美訳、文藝春秋)の著者は、米アマゾンの元チーフ・サイエンティスト。
アマゾン創業者のジェフ・ベゾスとともにデータ戦略を策定し、顧客にとって 使いやすいプラットフォームの構築に尽力してきた人物である。
たとえば、「社内の編集者が書いた製品レビューと、消費者の書いたそれとでは、どちらのほうが商品購入後の顧客の満足度は高くなるのか?」
「従来型の人口動態に基づくプロファイリングから導き出した“お薦め商品”と、個人のクリックに基づくそれとでは、どちらのほうが購入に結びつきやすいのか?」などに ついての“答え”を、数々の実験を通じて導き出していったということだ。
おがわの音♪ 第404版
「儲かる道の駅」と「赤字の道の駅」にある差
「道の駅成功請負人」中澤さかな氏の持論
この年末年始、帰省や旅行の際に「道の駅」を訪れる人も少なくないのではないだろうか。
長旅の途中の休憩所としてだけでなく、地元の食材や名産品をリーズナブルに手に入れられることから、わざわざ道の駅を目指す人もいるかもしれない。
1991年に誕生した道の駅の数は年々増え続けており、現在では1134駅存在する。ユニークな取り組みで注目を集め地域活性化の拠点となっている駅もある一方で、全国で3割の道の駅が赤字に陥っているとの見方もある。明暗はどこで分かれるのだろうか。
おがわの音♪ 第403版
なぜ、部下を「指導」したがる上司はうまくいかないのか?
「優れたリーダーはみな小心者である」。
この言葉を目にして、「そんなわけがないだろう」と思う人も多いだろう。
しかし、この言葉を、世界No.1シェアを誇る、日本を代表するグローバル企業である(株)ブリヂストンのCEOとして、14万人を率いた人物が口にしたとすればどうだろう?ブリヂストン元CEOとして大きな実績を残した荒川詔四氏が執筆した『優れたリーダーはみな小心者である。』(ダイヤモンド社)が9月22日に発売された。
基本的な型を身に付ければ「失敗しないスタートアップ」は高い確率で実現できるという。
『起業の科学』を書いたベーシック チーフ・ストラテジック・オフィサー(CSO)の田所雅之氏に詳しく聞いた。
おがわの音♪ 第401版
理想の姿は「適材適所で連携」、AIも人間と同じ
シャープの“寄り添う機械”はこうして生まれた
音声対話機能を搭載するAI(人工知能)スピーカー(スマートスピーカー)が続々と登場するなかで、独自のコンセプトに基づく製品で再び注目を集めている企業がある。ロボット型携帯電話「RoBoHoN(ロボホン)」や、同社製スマートフォン(スマホ)に標準搭載する音声アシスタント「emopa(エモパー)」、調理家電「ヘルシオ」シリーズなどの「しゃべる機械」を開発しているシャープだ。
これらの共通点は、ユーザーのことを知って学んでいく“相棒”のような存在であること。同社製品の設計思想や、人と機械とのコミュニケーションのあり方について、「ロボホンの母」こと景井美帆氏(シャープ IoT通信事業本部 コミュニケーションロボット事業統括部 市場開拓部長)と、エモパーの開発を手掛けた宇徳浩二氏(IoTクラウド事業部 プロダクトソリューション開発部長)に話を聞いた。