日本が潰した天才・金子勇氏による「人工知能の超絶技法」とは?
Winnyだけではない失われた未来の叡智
2024.04.30
by 中島聡
革新的なP2Pファイル共有ソフト「Winny」を公開して京都府警察に逮捕・起訴され、一審で有罪判決。その後、最高裁まで争い無罪が確定したものの、心身の疲労がたたったか43歳の若さでこの世を去った日本人エンジニアの金子勇氏。
後年、日本という国に潰された「不遇の天才」として高く評価され、ソフトウェア開発に捧げた人生は映画にもなりました。そんな金子氏が2009年の段階で、「AI分野において、今でも価値のある凄い発明」をしていたことをご存じでしょうか? ※) 今回の記事、ちょっと難しすぎるかも…??
不遇の天才・金子勇氏は、AI分野で「大発明」をしていた
最初にこの話を目にしたときは、「亡くなった人を神格化しすぎじゃないの」ぐらいに軽く見ていましたが、実際に金子勇氏のプレゼンを観たところ、今の人工知能の技術をさらに大きく飛躍させる技術なのかもしれない、と本気で感じるようになったので、今日はその話をします。
ご存知の方も多いと思いますが、金子勇氏は、P2P(ピア・ツー・ピア)の技術を使って人々がファイルを自由に交換できるソフトウェア、Winnyを公開した結果、著作権法違反幇助の疑いにより京都府警察に逮捕・起訴された(2004年5月)、という経緯を持つソフトウェア・エンジニアです。
その後、2006年12月に京都地方裁判所により有罪判決が下されるものの、大阪高裁で逆転無罪(2009年10月)、2011年12月には最高裁で検察による上告が棄却され、無罪が確定したものの、2013年7月6日に急性心筋梗塞のため43歳の若さでこの世を去ってしまいました。長期間に渡る京都府警察との戦いに疲れての結果だと解釈する人も多いようです。
金子勇氏に関して言えば、「実はビットコインの発明者ではないか」という都市伝説があります。
発明者が「Satoshi Nakamoto」という日本人の偽名を使っていたこと、(Winnyと同じ)P2Pの技術を駆使していたこと、発明者として大量のビットコイン(約73 billion)を所有しながらいまだに売却していないこと、などから、「金子勇に違いない」と言い出した人がいるのです。
タイミングはピッタリだし(ビットコインが発表されたのは2009年1日。Satoshi Nakamotoが最後にフォーラムで発言したのは2011年4月)、発明者が匿名で発表した理由も、Winnyの経験を考えれば納得できます。
これだけでも、十分な「神格化」ですが、それに加えて、金子勇氏が存命中に、(今、人工知能では主流の)バック・プロパゲーション (☜ LINK まず、読んでみて下さい!) よりも遥かに優れたニューラルネットの学習法を発明していた、という都市伝説も存在することは知っていました。
最初に目にした時は、頭から否定していたのですが、最近になって「金子勇さんのED法を実装してMNISTを学習させてみた」という記事を読み、そこから辿って金子勇氏によるED法のプレゼンを観たところ、いくつか鋭いことを言っているので、「ひょっとして、これは今でも価値のある凄い発明だったのでは」と思った次第です。
2009年の段階で、ニューラルネットワークの本質に迫っていた金子氏
金子勇氏は、すでにこの段階(2009年)で、ニューラルネットはパラメータ数さえ増やせばどんどんと賢くなる、ことを指摘しており、かつ、(彼独自の手法である)ED(Error Diffusion)法を使えば、主流のバック・プロパゲーションよりも遥かに早くニューラルネットに学習させることができることを指摘しています。
一番納得できたのは、彼が脳のシミュレーションの観点からED法を思いついた点で、プレゼンの中でも「バック・プロパゲーションは、実際の神経系のシミュレーションとして考えると、あまりにも不自然」と何度も指摘しています。
バック・プロパゲーションは、学習過程で、ニューロンネットワークをあたかも逆方向に流れるかのように誤差情報を拡散している点が、彼が不自然と考える理由です。
それに対して、ED法では、ドーパミンのような化学物質が脳の中で使われていることをシミュレーションし、誤差が単に物理的な距離に応じて拡散するアルゴリズムになっています。ちなみに、ED法については、まだ漠然としか理解できていないので、時間を見つけてちゃんと勉強したいと考えています。
私が、今、大学で人工知能の研究をしているのであれば、これを論文のテーマとしても良いぐらいの、面白いトピックです。
【参考文献】
『Winny』の金子勇さんの失われたED法を求めて…いたら見つかりました
※) 『週刊 Life is beautiful』2024年4月30日号の一部抜粋。
突然、英語で“Duck!”と言われたらどうする?
2024.04.26
by 毎日3分読書革命!
ビジネスにおいても英語が必須になると言われている時代に、知っておかなければいけない単語は何でしょうか?
そんな言葉を集めた一冊を、土井英司さんが紹介しています。
【突然、 “Duck!”と言われたら?】⇒『現代英語基礎語辞典』
本日ご紹介する一冊は、NHKラジオ講座「実践ビジネス英語」の講師を通算32年半務め、今でも絶大な人気を誇る杉田敏さんによる、現代英語基礎語を「読む辞典」。
オビに、「penは筆記用具ではない。zooも動物園とは限らない。突然、”Duck!”と言われたらどうしたらいいのか」と書かれていますが、この3つのうち、1つも知らないという人は、読んだ方がいい内容です。
本書は、現在のビジネスシーンで使われる英単語、イディオムをまとめたもので、単語、解説、使用例をまとめて読むことができます。
普通に知っている英単語の、知らない使い方、知らない単語の意味と使用法が書かれており、じつに興味深い内容です。
辞書を読む習慣がない、という人が読んでも楽しめる内容だと思います。
一つ、オビで紹介されていた「zoo」を例に取ると、こんな感じで紹介されています。
<zooはzoological gardenの短縮語で「動物園」のことですが、ビジネスパーソンが自社の状況をIt’s a zoo.と表現したら、社内に動物園があるということではなく、オフィスの状況が「しっちゃかめっちゃか」「混乱状態」にあるという意味です>
これを読んで、マイケル・ルイスの名著『ライアーズ・ポーカー』の邦訳のオビに書いていた、「投資銀行は「巨大な幼稚園!」」には、そういうニュアンスが含まれていたのかと腑に落ちました。
出版に関する英語表現もたくさんあり、知らないと恥ずかしいと思い、思わずメモを取りました。
・dot the i’s and cross the t’s
・p-book
知らない方は、ぜひ読んでみてください。
さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。
ü zooはzoological gardenの短縮語で「動物園」のことですが、ビジネスパーソンが自社の状況をIt’s a zoo.と表現したら、社内に動物園があるということではなく、オフィスの状況が「しっちゃかめっちゃか」「混乱状態」にあるという意味です
ü duckは「アヒル」という名詞ですが、動詞としてDuck!とだれかが言ったとすれば、「身をかがめろ」「かがんで逃げろ」という意味です
ü dot the i’s and cross the t’s 文字を書く際に、iの点(dot)を打ち、tの横棒を引くということ。そこからイディオムで「一点一画もゆるがせにしない」「(契約書作成などにおいて)細部にまで十分気を配る」という意味
ü Mind[Watch]your p’s and q’s. pはplease、qは thank youのことで、「この2つのことばを忘れないように。 テーブルマナーなど言動に気をつけてきちんとしなさい」という意味
ü p-book 物理的な[紙の]本 pはpaper、physical、print、printedなどの略
ü Be my guest. どうぞ
ü CV 履歴書、身上書(curriculum vitae)の略
ü GP 開業医(general practitioner)
ü no ifs, ands, or buts 言い訳を言ってもダメ、つべこべ言わずに
ü You of all people. よりによってあなたが
ü on-again, off-again 断続的な、変わりやすい
ü 24/7 四六時中(読み方はtwenty-four seven)
ü one-size-fits-all solution 万能な解決策
ü WFH 在宅勤務(work from homeの略)
ü DE&I 多様性、公平性、包括性
ü GOAT 史上最高(greatest of all timeの略)
ü sink or swim 沈むか泳ぐか、伸るか反るか
ビジネス現場で頻出する略語も登場し、じつに実践的な内容だと思います。
お恥ずかしながら、知らない単語、言い回しがいくつもありました。
言い慣れないと使いこなすのが難しい表現もあるので、繰り返し読んで練習したい内容ですね。
最後までお読みいただき、有り難うございました。 ☚ LINK
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