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NYタイムズ、オープンAIなど提訴 「生成AIに記事を無断利用」


米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は27日、生成AI(人工知能)の学習のために記事を無断で利用されたとして、米オープンAIと同社に出資する米マイクロソフトを提訴した。生成AIに記事の「代替物」をつくられ、収益を奪われていると主張。数十億ドルの損害を受けたとして、金額は明示しないものの損害賠償を求めた。
 オープンAIが開発した対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」は、ウェブ上の膨大な情報を集めて訓練し、文章や画像を生成する。
 NYTは記事がAIの訓練に無断で使われ、生成された文章が記事と似ている例もあると主張。取材や編集にはコストがかかり、被告2社は「ジャーナリズムへの巨額の投資」に「ただ乗り」しているとした。
 NYTは声明で、「生成AIが人びとやジャーナリズムのために持つ力や可能性も認識している」とした上で、「(2社が)商業目的で私たちの働きを利用したいなら、まず許可を得ることが法律で義務づけられている」と訴えた。
 オープンAIに対しては、米作家らも作品を無断で使われたとして、訴訟を起こしている。
 こうしたAIの学習データに関する著作権問題は、世界的な課題となっている。米国の著作権法では目的の公正さなど一定の要件を満たせば著作権の侵害にならないが、バイデン大統領は10月、AIが学習に使う著作物に関するルールを検討するよう当局に指示した。欧州連合(EU)は2019年に発効した指令で、研究目的などを除いて著作権者が拒めばAIは学習に利用できないとした。
 日本の著作権法は、生成AIが学習のため報道コンテンツなどを著作権者の許諾を得ずに収集することを原則、認めている。ただ、メディアなどには「ただ乗り」懸念が強く、日本新聞協会などが法改正も視野にルール整備を求めている。
 文化庁は20日、生成AIによる無断学習が、著作権侵害にあたる場合もあるとする考え方の素案を公表した。(真海喬生=ニューヨーク、和気真也)@朝日新聞デジタル 2023.12.28.

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