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新しい価値が出始める30年後、あなたの会社はどうなっていると思う?

2023.12.14 

by 毎日3分読書革命!

一昔前よりも起業のハードルは低くなり、多くの人たちの興味を引いています。

今回、土井英司さんは、起業において一番大事なことはなにかを教えてくれる一冊を紹介しています。



【未来のビジネスのための新基準】⇒『2050年を生きる僕らのマニフェスト』

こんにちは、土井英司です。

起業において一番大事なことは、一体何でしょうか?

資金、優秀な人材、ビジネスモデル、優れた商品、営業ノウハウなどなど、大切なことは山ほどありますが、一番大事なことは、おそらく世界を変える、新しい「思想」や「基準」なのだと思います。

何に挑戦するかがわかっていれば、必要なものは自ずとわかる。

長くビジネスをする上で必要なエネルギーだって、湧いてくるはずです。

本日ご紹介する一冊は、クラウドファンディングの先駆けとして、累計金額76億ドル(約1.1兆円)のプロジェクト支援をしてきた、キックスターターの共同創業者&元CEO、ヤンシー・ストリックラーによる、起業家のための思想書。

「利益最大化」を旨とするこれまでの価値観を見直し、新たな価値観に従って経営するための具体的方策を示した、画期的一冊です。

著者は、キックスターターを立ち上げた時、周りの人々から、こんな反応をされたそうです。

「赤の他人にお金を出そうとする人なんていないよ。世の中そんなに甘くないって」

「プロジェクトに金銭的な利点が欲しいね。世の中そういうものでしょ」

著者は、この「世の中そういうものでしょ」を無視することで、この画期的なサービスを始めるに至ったと言います。

著者の声を聞いてみましょう。

「誰かがどれほどお金を儲けられるかによって、あるアイデアの存在が正当化される世界とは、なんと窮屈な世界だろうか。そんな世界から自由になりたかった。『世の中そういうものでしょ』を無視することで、僕らは世の常を超えた向こう側のことを考えられるようになった」

ではどうすればわれわれは「利益最大化」の呪縛を超えて、価値あるビジネスができるようになるのか。

著者は、ここで松下幸之助の言葉と、著者が「ベントー」(日本の弁当に由来する)と呼ぶ、4象限のマトリックスを紹介しています。

現在の自分、現在の自分たち、未来の自分、未来の自分たちという4つのマスで考えると、今すべきことや未来に遺したい価値がよくわかる。利益や経済自由の先にある世界を見たい方に、ぜひおすすめしたい内容です。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

ü  とにかく正しい選択はもっともお金が稼げる選択肢だ、と僕らは思いこまされ、その向こうにある「良い」とか「悪い」という概念は置き去りにされた

ü  アイデアを実行するとなると、そのアイデアと現実とのあいだには重大なギャップがあるけれども、問題はそれだけじゃない。

もうひとつ大事なのは信用だ。アイデアで重要なのは、人びとにそのアイデアが実現できると信じてもらうこと

ü  経営者が同じラジオ局は、番組で流す曲を97パーセントも共有しはじめた。コストは下がった。利益は増えた。そして、プレイリストに変化がなくなった

ü  アメリカ人の三分の二は起業を夢見ている。けれども、実際に起業して独立する人は少なくなっている。それはなぜだろうか。

強力な競争相手が脅威となって、同じ分野の起業に二の足を踏む人が多いからだ

ü  マレットヘアは「前はビジネスマン風で、後ろはパーティ風」といわれていた髪型で、1980年代のヘア・テクノロジーの頂点だった。利益最大化層の戦略はマレットヘアみたいなもの。ただ分野が経済なだけだ。人口の大半にあたる前方は、コストカット/ビジネスで、上位10パーセントにあたる後ろは大儲け/パーティ。

ひとつの集団と影響力がカットされる一方で、もう一方の集団は繁栄する。これがマレットエコノミー

ü  競争で我を忘れるまえに、自分たちがしているゲームが適切かどうかを気にするべきだ。

    戦いそれ自体ではなく、血と肉のある相手にばかり目を向けているかぎり、支配者や権威者は居座りつづける。

    結局のところ、そのゲームを始めたのは支配者たちなのだから

ü  僕らが思うバリューとは、ものの値打ちのことでバリューズは誰かにとって値打ちのあるものや考えになる

ü  弁当は、日本の「腹八分目」という哲学を尊ぶ。

    これは満腹ではなくお腹の8割がたを満たすくらいに食事をとどめておくことを意味する。

    弁当箱は便利なだけでなく、健康を保つという隠れデフォルトを生む

ü  未来の自分は、自分がこうありたいと望む人物だ。あとで後悔するような決定をあなたにさせたくないと考える

ü  未来の自分たちは、子どもたちに残したい世界だ。こうあるべきと思える世界だ

原書の発売が2019年。

内容的には、ちょうどその頃出していたらベストだったとは思いますが、新しい価値観に従ってビジネスを推進したい起業家・経営者には、指針となる、素晴らしい本だと思います。 

起業で大切なことを見直す良いきっかけとなる本です。


【過去の記事から 抜粋 】 

人の話や「べた記事」から兆しを嗅ぎ取る

  自らの時代感を言語化して、モデル化する 

 読める潮流を見出し、その中で重要なものをつかみ取っていく上では、何らかの判断軸が必要だ。 

私の場合で言えば、超マクロに時代を捉えて、現在は「工業化による経済成長モデルの最終盤」と「デジタル化による新たな価値創造モデルの萌芽期」が併存する時代だという自分なりのモデルが(現段階では)基礎になっている。

これに従って、我々にとって何が重要な変化か、それをもたらす(大体読める)潮流は何か、を総合化して考えることを繰り返すようにしている。 

 独占禁止法にしても、グローバル企業への課税のあり方にしても、我々の社会システムを構成する規範やルールは、工業化時代のものであり、デジタル化時代には即していない(ちなみに、政治システム教育のあり方も同様である) 

 このため、当面の間、新たな価値をつくり始めたデジタルプレーヤーと工業化時代に最適化したその他の社会システムとの間で、摩擦が起こり続ける。

こう考えれば、Tech titanへの逆風が吹き始めるのは、当然だということになる。 

 そして、様々な人の話や、海外を含むメディアの「べた記事」の中から、その「兆し」が現れたら、その具現化が近いと判断することが多い。

  ドラッカーにすでに起こった未来:変化を読む眼という名著があるが、雪の下から草木の芽が出てくるように、目を凝らすと様々な「兆し」がある。

未来は読めなくとも、何かが既に兆しとして表れていることに気づけば、一定の蓋然性で人とは違った未来像を描くことができる

  逆に言えば、自分なりのモデルさえあれば、面白いことに「兆し」が色々見えてくるとも言える。 

 ちなみに、モデルを作るときに、心がけているのは、異なった領域の専門家の方々の知見をできる限り統合したモデルにする、ということ。経済学、社会学、歴史学、政治学といった人文科学。コンピューターサイエンス、医学・生理学、あるいはマテリアルサイエンス、といった自然科学と工学分野。 

 工業化およびそれを支える資本主義と民主主義という仕組みをどう作り変えるか、という大きな問いの答えに一歩でも近づくためには、近代以降、分化しながら専門性を高めてきた分野を越境して、モノを見ていかねばならないのではないか、と考えている。

昨今のリベラルアーツばやりも、アートやデザイン思考とSTEMの組み合わせが求められていることも、同じ認識からではないだろうか。 

 なんだか偉そうなことを書き連ねてしまった。もちろんのこと、私が読めなかったことは数多い。

トランプ当選も、BREXITも、専門家の友人たちの話をもとに、30%の確率だと思いつつ、その後の展開も含めて、きちんとしたシナリオを作ることを怠ってしまった。

 

未来に「思い」をどう乗せていくか

 ただ、読めることと読めないことをしゅん別しつつ、未来の環境を想定し、そこに「思い」をどう乗せていくか、を諦めない、という一種の戦闘意欲は失わないでいようと思う。

また、京都大学や早稲田大学での客員教授の仕事の中でも、自分が身につけたことと「思い」を若い人たちに伝えることは続けていきたいと思っている。 

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                  LINK ☞ 読める未来、読めない未来、そして作る未来 



 

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