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どうすれば貧困から抜けられるのか

本多静六という日本が生んだ最高の頭脳が答えを言っている

20231119 

鈴木傾城  

本多静六は9歳の頃に父親を亡くして一気に貧困のどん底に落ちる生活をしていたので、貧困から抜け出すためにはどうしたらいいのか、そこに大きな力点を置いていて、著書でも「どうすべきなのか」を繰り返し説いている。それは、現代にも通じるものだった。 



日本が生んだ最高の頭脳はどのように語っていたのか?

短絡的な利権主義の馬鹿な政治家と、何も考えていない馬鹿な都知事が、明治神宮外苑をぶっ潰そうとしているのだが、こうした政治家・都知事でも手が出せないのが総本山である「明治神宮の森」である。この明治神宮を造園したのは本多静六と呼ばれる「日本初」の林学博士なのだが、この人物は日本が生んだ天才でもある。

明治神宮の森も多様性、多層性を意識して、人間が手を加えなくても100年は持つ森を設計して日本の宝として残した。

この「人工の森」としては最高傑作であるとも言われており、いかに本多静六が傑出した人物だったのかが、これでもわかる。

そもそも、本多静六が作ったのは明治神宮の森だけではない。他にも60近くもの「公園」を造成している。東京駅丸の内口駅前広場の設計も本多静六である。

本多静六の活躍は、それだけではなかった。

貧困の中にあっても東大を首席で卒業して東大の教授になったこの人物は、実は著財と投資の世界でも凄まじい才能を発揮して巨万の富を築いていた

『世の中に金というものがなくならない限り、何人《なんびと》も金を無視して生活することはできない』という言葉を残して、貯蓄と投資を研究し続けた本多静六は日本が生んだ「最高峰の個人投資家」であったのだ。すべてが一級の人物であった。

本多静六は9歳の頃に父親を亡くして一気に貧困のどん底に落ちる生活をしていたので、貧困から抜け出すためにはどうしたらいいのか、そこに大きな力点を置いていて、著書でも「どうすべきなのか」を繰り返し説いている。

日本が生んだ最高の頭脳は「貧困脱出のために何をせよ」と語っていたのか。それは、現代でも通じるものだった。

「人は一生涯努力を続けるのが、すなわち人生」

本多静六の中でもっとも有名なのは4分の1天引き貯金」である。

「苦しい生活を続け、残ったお金を貯めていけばいいと思ってはいけない」という旨を本多静六は語っている。

そうではなくて、最初から給料(収入)の4分の1を天引きして貯金して、残りで生活しろと言っている。

『倹約して暮らしてみて、後で残ったものを貯金するというような、手ぬるい明日主義では、とうてい駄目であります。収入があったときに、容赦なくすぐさまその4分の1を天引きして貯金し、残りの4分の3でできるだけ節約して暮らし、もし残りがあったらそれも貯金するということにしなければなりません』

そして、その生活というのは「努力を基礎にする」と強く説いている。本多静六の講和『成功の秘訣』では、このように述べられている。

『努力とは、精神的・筋肉的のあらゆる人間の活動を意味し、普通に言う「働く」という事と同じであります』

『人生は徹頭徹尾努力であり、努力に努力を重ねていくところに、はじめて人生の意味があるのでありまして、努力なしには人生はなく、あらゆる人生の幸福、すなわち慰安も、休息も、喜悦も、満足も、感謝も、進歩も、みんな努力を通してのみ、はじめて得られるものであり、結局人は一生涯努力を続けるのが、すなわち人生であるということを、徹底的に悟らなければなりません』

今の日本では何かとショートカットやチートが持てはやされて、正当に努力することを馬鹿にする風潮があるのだが、本多静六は真っ向から「そうではない」と述べている。

 

札束を燃やして「ほら、明るくなったろう」という成金

明治・大正・昭和と日本が強大な国家になっていったのは、当時の日本人のエリートが「本物の人材であった」からだと言えるのだが、そのエリートのひとりとして聳え立っていた本多静六は私利私欲を排して、とにかく清廉潔癖で、きわめて常識的で、かつ努力家であったというのが当時の著書を読んで気づく。

日本が生んだ最高の頭脳は「貧困脱出」ために「仕事に励んで、慎ましい生活をして、貯蓄に励む」ことを説いている。

それが人生の基礎なのだと述べる。本多静六はこれを「勤倹貯蓄」というシンプルな言葉で示している。

本多静六がそれを強調していたのは、実はそうではない人間が大勢いたからでもある。

そういう人間たちは「成金」と呼ばれて馬鹿にされていた。札束を燃やして「ほら、明るくなったろう」という成金がうじゃうじゃいた。

『昭和維新の唄』でも、「財閥富を誇れども、社稷《しゃしょく》を思う心なし」と歌われている。

社稷というのは国家のことを指す。

これを今風にわかりやすく言えば富裕層がきらびやかなセレブ生活を誇示して、国のことなどまるっきり何も考えないで好き勝手に振る舞うという意味である。

現代の成功者たちも、当てはまる人間たちが多い。

中には貧困層を「馬鹿」だとか「頭が悪い」と平然と嘲笑するような下劣な人間性さえもいる。ただ、いつの時代でもそういう人間たちが大勢いる。

本多静六の時代でもそういう品性下劣な金持ちがいたのだが、だからこそ本多静六の説く「勤倹貯蓄」は、エリートのみならず、国民のあるべき理想像であったのである。それは、今でも通用するのは間違いない。

本多静六もその言葉通りに生きて、「勤倹貯蓄」と「4分の1天引き」によって貯金を大きくしている。本多静六がそれをはじめたのは25歳からだった。

貯金の問題は、方法の如何でなく、実行の如何である』と述べている。「とにかく、そうしろ」というわけだ。

 

本多静六の哲学はウォーレン・バフェットに似ている?

私は、本多静六という人物をそれまでずっと知らなかったのだが、その著書を原文で読んでみて感じたのは、この人の哲学や生き方は、アメリカの著名投資家ウォーレン・バフェットによく似ている、ということだった。

勤倹貯蓄と投資によって膨れ上がった資産は、生前に「教育、公共の関係機関に寄付した」とあるので、この点も巨万の富をほぼ慈善団体に寄付しているウォーレン・バフェットと同じだ。日本にも、ウォーレン・バフェットがいたのである。

興味深いことに、複利の効用を述べているのも、そのために述べる比喩もウォーレン・バフェットと同じだ。

給料から4分の1を天引きして、それを複利で回す。4分の1を天引きして貯金したらどうなるのか。

『金は雪だるまのようなもので、はじめは小さくても面白いように大きくなってくる』

このように、本多静六は述べる。

ウォーレン・バフェットも「長期的に成長する株を買って10年〜20年保有していれば小さな手のひらにはいるような雪だるまが、転がしていくだけで大きな雪だるまのボールになる」と述べる。

『ちょうどいい具合の雪があれば、雪の玉はかならず大きくなる。私の場合がそうだった』(アリス・シュローダー『スノーボール』より)

私たちは資本主義の中でどう生きればいいのか、もう日本やアメリカの天才的な頭脳がシンプルに解き明かしているのである。

 勤倹貯蓄に生きる。
 投資して複利で回す。

結局のところ、資本主義で生き残るというのはこの基本をしっかり踏襲して生きるということに他ならなかった。 

本多静六の哲学を知って感じたのは、まさにそれが原理原則であるということだった。




 

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