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人気コンサルが中国とのビジネスの評価を変えた訳


2023.11.14

 by 永江 一石

 不穏な世界情勢のなかで、ますます微妙になっている日本と中国の関係。加えて快進撃を続けていた中国経済にも陰りが見え始めた今、中国とのビジネスにどう向き合っていけばいいのでしょうか。読者の質問に答えるのは、『永江一石の「何でも質問&何でも回答」で人気コンサルの永江さん。以前は積極的に推奨していた中国とのビジネスについて、依存度を下げるべきと評価を変えた理由を数々あげて説明しています。


これからの中国とのビジネスについて

 Question

中国について、不動産バブル崩壊、スパイ疑惑での逮捕、台湾侵攻等、一党独裁政治のネガティブな面を最近ニュースでも見るようになりました。

とはいえ、経済大国に変わりはありません。私自身、中国とビジネスをしてはいないのですが、永江さんの目から見て中国とのビジネスについてどのようにお考えでしょうか?

割とポジティブに考えられていたように記憶しております。その考えが変わったのならば、その理由もお伺いしたいです。

永江さんからの回答

中国とのビジネスは以前はポジティブでしたが、今は付き合っていくしかないだろうという考えですね。

中国が発展しているうちは一緒にやれますが、この先何があるかは分からないので、中国だけに依存するようなビジネスは避けるべきでしょう。中国は非常に大きい経済圏で勢力を拡大していますが、ゼロコロナ政策の影響で経済成長が止まり、GDPでアメリカを抜く見込みがなくなり陰りが見えてきました。

一帯一路構想で途上国への投資も拡大していましたが、イタリアも抜けて参加国が減ってきています。

 中国政府が開発費を貸し付けて、中国の国営企業が開発するような座組が多いですが、ゼロコロナ政策で企業の不動産開発を止めて、マレーシアのフォレストシティのようなゴーストタウンを生み出してしまいました。

  ● ゴーストタウンか理想郷か-碧桂園の1000億ドル事業、先行き見えず │ Bloomberg

投資しても責任を持たず投げ出すし、金利も4など高利で貸し付けているので(独裁政権などはよく分からず借りてしまうそうです)みんなが倦厭し始めています。

日本もゼロコロナに近い愚かなコロナ政策を取って経済に致命的なダメージを与えてしまったので人のことは言えませんが、中国の場合は、経済や生活が行き詰まったときには民衆の不満が爆発して共産党独裁政権に向かい、政権転覆に至る可能性もあります。

その過程では弾圧も起こるでしょうし、大変な混乱が予想されます。

台湾に強圧的な態度を取るのも、日本の原子力発電所の処理水を騒ぎ立てているのも国内の批判を少しでも国外にそらすためでしょう。

何かあったときには超法規的に取引が制限されたりなし崩しにされてしまうので、中国とのビジネスは必要とはいえど、中国だけに大きく依存するようなことはできないだろうと考えますね。

ほとんどの大企業もチャイナリスクを考慮して開発拠点や調達先などを分散させています。


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