おがわの音♪ 第1513版の配信


まだ間に合う大阪万博中止

28年前の東京世界都市博「開催1年前に中止」の大英断を見習え

2023117

今市太郎

大阪万博を巡っては、パビリオンの建設遅れから始まって、参加国の激減、予算倍増など問題が次々と噴出。「中止」との声も出ているなか、いまさら止められず最悪の博覧会の「強行実施」が危惧される状況です。 しかし、この国では28年前に、経済状況の劇的変化に直面して、東京での世界都市博覧会を中止した経験があります。

今こそ、この大英断を大阪万博にも採用する必要があるのではないでしょうか。



まだ間に合う?大阪万博「中止」

大阪万博を巡っては、パビリオンの建設遅れの問題から始まって参加国が激減しており、万博じゃなくて三博か……といった揶揄の声も飛び交いはじめる始末。

最悪の博覧会の「強行実施」が危惧される状況です。まあ、事の推移を見ておりますと、すでに始めてしまったのだから、いまさらブレーキをかけて中止することなどできない……という判断が市場を跋扈(ばっこ)しているように見られます。

しかし、この国では28年前に、経済状況の劇的変化に直面して、東京での「世界都市博覧会」中止を、東京都民自身がイニシアチブをもって実行したという、この国にしては実に珍しいベストプラクティスがあったことがすっかり忘れ去られています。今こそ、この知見あふれる大英断を、大阪万博にも採用する必要があるのではないでしょうか。

 

バブル崩壊後の東京で予定されていた世界都市博

東京の臨海副都心に1996年、「世界都市博(通称:東京フロンティア)」なる博覧会が開催されようとしていたことは、28年も経過した今、都民でもすっかり忘れ去られているでしょう。バブル期、東京テレポートタウンを中心とした、いわゆるウォーターフロントの埋め立て地域を利用した博覧会が開催される予定となっていました。

この博覧会は国際博覧会ではなかったものの、世界中の大都市が抱える問題を解決するとともに、21世紀の大都市がいかにあるべきかを進行中の都市開発で提示するという、いま思えば大阪万博よりもはるかに意義のある、極めて前衛的な企画であったことが理解できます。

当初は国連をはじめ世界46都市・国内122自治体が参加する計画が進められることとなりましたが、90年のバブル崩壊から状況は一転。進出内定企業が次々に契約辞退となり、会場内の工事を受注していた企業はバブル崩壊に起因する広範な倒産に巻き込まれ、発注企業からまともに受注代金を受け取れない……というすさまじい問題に直面することになります。

 

青島幸男氏の知事当選でぎりぎり開催1年前に中止決定へ

まあ、誰が見ても、このまま開催して成功する可能性はほとんどないと感じられたものです。

ところが、19954月に行われた第13回「統一地方選挙」にて実施された東京都知事選挙に、青島幸男氏が「世界都市博の中止」を公約にして立候補し、見事大差で勝利したことから、この話には急激なブレーキがかかることとなりました。

しかし、青島氏は610億円の実損に抑え込み、実際に開催されていた場合の資質830億円よりも220億円も下回るコストで完全に中止を決め込むことになったのです。

バブルの崩壊ですっかり勢いがなくなった本邦経済でしたが、この時期はそれでも国内の主力企業がパビリオン出展を計画していましたから、有権者の民意を受けた中止とはいえ、相当な軋轢が生じたであろうことは想像に難くない状況でした。

 

最大のポイントは、当該開催地区有権者が中止を希望しているかどうか

大阪万博はSNS上でも、もう開催は無理であるとか、そもそもコンテンツの乏しさから見ても見なくてもいい「パソナ館」を訪れ、吉本の漫才を見て、タコ焼きを食べて、記念に何の意味があるのかわからない350億円という巨額を注ぎ込む木製の輪っかの建造物の前で記念写真を撮って帰ることに、どれだけの意味があるのかが連日問われています。

しかし、この28年前の東京都知事選挙実施による世界都市博「直前中止」という事実にいまさら触れますと、当時の博覧会よりもすでにさらに参加者が下回り、実施の意義がどこにあるのか不明の大阪万博も、市民の力を結集すれば、まだまだ中止にできることを強く感じさせられる次第です。

ただ、中止を現実のものにするためには、やはり当該選挙区の有権者が切に中止を望んでいるのかどうかが最大のポイントで、今から選挙で止めるというのも、相当ハードルの高いものとなるのは事実です。

多くの大阪府民の方々は正直なところ、いったいどう思っているのか。ひどく気になるところです。

まあ、「経済効果もあるみたいだから、やってみたらいいのでは?」といったライトな気分なのであれば、もう何も言うことはありません。

大阪維新とともに、奈落の底に落ちて辛酸を舐める敗戦処理を余儀なくされることを覚悟されるのも、1つの人生の選択肢なのかもしれません


創発とは   「戦略の本質理解」のためのBLOGの補足として掲載しました。



 

最後までお読みいただき、有り難うございました。  ☚ LINK 

*** 皆さんからの ご意見・ご感想など BLOG』のコメントを頂きながら、双方向での 【やり取り】 が できれば、大変嬉しく思います!!   もちろん、直接メール返信でもOK ! です。 ^_^ *** 


メール・BLOG の転送厳禁です!!   よろしくお願いします。