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あの経団連が「消費税を推進」する身勝手な理由

 2023.11.02

 by 大村大次郎

導入時の3%から10%となり、将来的にはさらなる税率アップが確実視されている消費税。 

そんな消費税推進の姿勢を鮮明にしている経団連ですが、なぜ彼らはここまで消費増税に執着するのでしょうか。今回 大村さんが、その単純かつ勝手極まる理由を解説。 さらに経団連が「投資家に対する減税」を働きかけてきた訳を白日の下に晒しています。 



国民の生活など二の次。経団連が消費税を推進する勝手極まる理由

「将来のためには消費税などの増税から逃げてはいけない」

去る919日、経団連の戸倉会長がこういう発言をして物議を醸しました。今回の発言に限らず、経団連は消費税を推進させてきた張本人でもあります。

なぜ経団連は、消費税を推進させてきたのでしょうか?今回は、そのことを掘り下げたいと思います。

「経団連」とは、正式には、日本経済団体連合会といいます。上場企業の経営を中心につくられた会合であり、いわば日本の産業界のトップの集まりです。経団連には、上場企業を中心に約1,500社が加盟しています。 この日本経済団体連合会の会長は、財界の首相とも呼ばれ、日本経済に大きな影響力を持ちます。この経団連は、加盟企業が一流企業ばかりで、しかも1,500社もいるということで、それだけでも大きな政治権力を持ちうるのですが、さらにたちの悪いことに、

政党への企業献金も非常に多いのです。経団連は政権に対して、通知表ともいえる「政治評価」を発表し、その評価に応じて加盟企業に寄付を呼び掛けるのです。

特に自民党は、経団連の加盟企業から、毎年数十億円の政治献金を受けており、収入の大きな柱になっています。

いわば、経団連は自民党のオーナーのような立場なのです。当然、自民党は経団連の意向に沿った政策を行うことになっています。

 

「社会保障費のために消費税が必要」という真っ赤な嘘

経団連は、財務省と歩調を合わせる形で、消費税の導入と、その後の税率アップを推進してきました。

経団連の主張は、「消費税を上げて、その代わりに法人税を下げよ」ということでした。この経団連の主張は、別に秘密裏に政治家に働きかけられたわけではありません。

公の場で堂々と述べられ、経団連の主張として文書でも発表しています。そして、この主張は通り、そのまま実行されました。

消費税がつくられ、さらに税率アップされ、その代わりに法人税が大幅に下げられたのです。

法人税率は、1988年までは43.3%だったものが、現在は23.2%になっています。約半減です。

この30年間、国民は消費税の創設や増税、社会保険料の値上げなどの負担増に苦しんできました。その一方で、法人の税金は急激に下げられてきたのです。

このメルマガで何度も述べたように、この時点ですでに「社会保障費のために消費税が必要」という国の喧伝は、真っ赤な嘘なのです。

「消費税を上げて、法人税を下げる」とはどういうことでしょうか?

法人税というのは、「儲かっている企業」に対して、「儲かっている部分」に課せられる税金です。一方、消費税というのは、国民全体が負担する税金です。

「消費税を上げて、法人税を下げる」ということは、「儲かっている企業の税負担を減らし、その分を国民に負担させる」ということなのです。「儲かっている企業」の集まりである経団連にとっては、万々歳のことです。自分たちの負担を減らし、それを国民に押し付けるのですから。経団連が、強硬に消費税の増税を主張してきたのも、ここに理由があるのです。

 

実は先進国でもっとも安い日本の株の配当所得税

また経団連は、この20年間、投資家の減税についても働きかけてきました。

なぜ経団連が投資家の減税を働きかけたか、というと、表向きは投資を活発化させるためということでした。

が、経団連の連中というのは、ほとんどが自社の大株主であり、つまりは大投資家なのです。投資家の減税が行われれば、直接的に大きな利益を得られるわけです。

そして、政治側もこの財界の要望にこたえ、投資家の税金を大幅に下げました。その結果、日本の株の配当所得の税金は、実は先進国でもっとも安くなっているのです。

配当所得に対する税金(財務省サイトより)

 日本   15
アメリカ 020
イギリス 1037.5
ドイツ  26.375
フランス 15.560.5

アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスと比べても、日本の税率15%といのは明らかに安いのです。

イギリスの半分以下であり、ドイツ、フランスよりもかなり安くなっています。あの投資家優遇として名高いアメリカと比べても、日本の方が安いのです。

日本では、本来の所得税の最高税率は45%ですが、配当所得は分離課税となっているので、どんなに高額の配当があっても15%で済むのです。一つの会社の株を個人で3%以上保有している大口株主の場合は、この分離課税は認められていませんが、上場企業で3%以上の株を保有するというのは、めったにあるものではありません。トヨタ自動車の豊田章男会長でさえ持ち株割合は0.2%なのです。

もちろん、分離課税の恩恵はしっかり受けており、毎年数億円の配当所得に対して、15%しか所得税はかかっていないのです。

また配当所得における「住民税」は、わずか5です。

サラリーマンの場合、住民税は誰もが10です(課税最低限に達しない人は除きます)。

つまり額に汗して働いた人が10%の住民税を払わなければならないのに、株を持っているだけでもらえる配当所得には、その半分の5%しか課せられていない、ということなのです。現在の日本は、大企業天国、投資家天国なのです。一般国民にとっては地獄になりつつありますが。しかしこれは、日本経済を窮地に追い詰めるものでした。

「儲かっている企業の税負担を減らし、その分を国民に負担させる」ということは、決して日本経済の実情に合っていません。

バブル崩壊以降、日本でのサラリーマンの平均賃金は下がりっぱなしです。そういう中で、消費税を上げるとどうなるでしょうか?国民の生活は苦しくなります。当たり前といえば当たり前の話です。それは数値としても明確に表れています。総務省の家計調査によると、2002年には一世帯あたりの家計消費は320万円をこえていましたが、現在は290万円ちょっとしかないのです。国民は消費を10%も削ったということです。この20年間で、消費が減っているのは、先進国では日本くらいなのです。

この20年でGDP30%以上拡大していることを見ても、消費が減っているというのは絶対におかしい話で、まともに経済活動をしている国ではあり得ない話なのです。

一部記事抜粋




 

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