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じつは「インボイス制度」を勘違いしている人が多い

導入直前に露呈した「消費税の正体」

2023.09.30

 報道の量・質を伴わず、国民の正確な理解が足りていないという声が多いなか、101日から開始するインボイス制度。 

 SNSでは同制度に対する怨嗟の声でたびたび関連ワードがトレンド入りしていたが、テレビのニュースではほぼ黙殺状態が続き、反対派の主張が詳しく報じられる場は少なかったように思う

今回は関連ニュースなどを交えつつ、インボイス反対派の多く人たちの間で共通認識となっていると思われる主張を、記者会見やYouTube動画における有識者たちの発言を拝借して紹介。改めて消費税のあり方を考えてみたい。


    インボイスは、消費税を「誰が」「いくら」支払ったかを明確にし、国が漏れなく把握・徴収するための制度だ。「売上にかかる消費税」から「仕入で払った消費税」を差し引きした額を、正確に記録・納税させるべく、各事業者にインボイス番号」が割り振られ、領収書(インボイス)その番号と税額などを明記する。

 財務省はこの制度により国の税収が約2500億円増えると試算している。



☞ 勘違いしている人を見分けるキーワード「益税」

 「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が、オンライン署名を財務省に提出した翌日の95日のことである。 

堀江貴文など何人かのネットインフルエンサーたちが、自身のX(Twitter)を更新。

『「これまで消費税を着服してたくせに」ホリエモン インボイス反対運動に苦言「ちゃんと払えや」SNSでは賛否』(女性自身、5)などと報じられた。この苦言に対するインボイス反対派の強い反発と巻き起こった議論から、「そもそも消費税とは何か?」という疑問を抱く人たちは、少なくなかっただろう。

安倍内閣で内閣官房参与を務めた京大大学院教授・藤井聡氏は件の4日の記者会見に登壇し、講話で消費税の仕組みについて、こう解説していた。

 「インボイスを勘違いしている人を見分けるキーワードが「益税」「ネコババ」です。

まず多くの人々が素朴に消費税について思っていることは何かというと、店の人が100円のもので売ろうとする時に消費税10%で110円という価格をつける。100円はお店に入って10円は税務署に行くんだから10円はお店に預けているという気持ちを幾分持ちつつ、110円をレジで払います。これが多くの人々が抱く消費税のイメージです。伝票にもそう書いてある。  

でもこれ嘘なんです

『嘘だ』と言っているのは僕じゃないんです。財務省が国会で言っているんです。法的にそうなっているからなんですね。

この一点を押さえればインボイス制度の本質が見えてきます

 藤井氏は、事実は110円という価格しかない

お店は売るときに消費税を(価格に)乗せるつもりじゃなくても、乗せるつもりになっても、どちらでもいいんです。

預かり金じゃないから」と続けた。

「では、財務省は何と言っているか?

売上から原材料費などを除いた部分、粗利・付加価値と言われる部分の11分の1(9.1)を税務署に納めろ」と言っているんです。そして、この税率には累進性が設けられており、総売上1000万円以下の人には0.0%、1000万円を超えると9.1%の消費税がかかるインボイス制度は0%から9.1%に上がった分の税金を納めてもらう制度です。

それを払うのは下請けでも、元請けでも、消費者でもいい「誰でもいいから払えや」ということだけが決まっている。

従って、これは純然たる増税です。しかも税項目は消費税ですから、消費増税です」 

 

消費税は企業の利益と人件費に課税する税金

 「消費税増税は経済が苦しいときにはすべきではない。この意見に反対される方は世の中に存在しないと思います、理性的な方

 のうちは。そして、今の経済状況は非常に厳しい。直近のGDP成長率は年率5%とか(ママ)ですが、これは円安のせいで名目

 上、輸出が増えて、輸入・消費が減って、数字的に5%に見えるだけです。

 こんなものを見て『増税してもいいのだ!』と言う奴がいたら、申し訳ないけどバカです」(藤井氏)

 しかし、政府の広報をそのまま流す、多くのインボイスに関するテレビ報道が繰り返される。

 生活実感からやや乖離した消費税の実態も背景にあるのかもしれないが、SNSでは失望と怒り、ツッコミの声が散見されるようになる。

 925日に実施された「NHKへの公開質問状記者会見」で、「報道関係者が消費税について正しい知識がないことで、結果的に国民が消費税を正しく知る機会を奪い、誤解したままインボイス制度に賛成している」と述べたのは、元自民党衆議院議員で税理士の安藤裕氏。

 くどいかもしれないが、前述の藤井氏の説明を補足する意味でも安藤氏の説明も紹介したい。

  「事業者の売上をベースに計算するのが消費税消費者へ転嫁しようが転嫁しまいが関係ありません

  どんなに値引き販売していても、売上にかかる10/110の消費税を(課税事業者が)納税する。

  これが消費税の基本的な考え方なんです。

  欧州では、消費税は事実上、利益+人件費に課税する税金付加価値税と同じだと言われています。

 売上から課税仕入を差し引くと「利益+非課税仕入」が残りますが、日本の消費税はこの「利益+非課税仕入」に課税して

 います。非課税仕入の代表的なものは人件費なので、消費税は「利益+人件費」に課税する税金

 つまり付加価値税ということです」

 これまで課税事業者は外部発注・業務委託する際、免税事業者から仕入れても仕入税額控除が受けられ、納付税額を減らすことができたしかし、インボイス制度導入後はインボイス番号のある経費のみがこの対象となり、インボイスを発行できない事業者への支出控除できなくなる

 「(インボイス制度は)一義的には課税事業者・原則課税の人に対する増税です。

インボイス導入後の増税分について、課税事業者がとる対応策は3つあります。

ひとつは自らが増税分を負担する。2番目が免税事業者に負担させる3番目は値上げして消費者に負担させる

負担分の押し付け合いが始まっています」(安藤氏) 

電力会社ではインボイス制度による増税分、電気料金の値上げすることが決定しており、反対派の間ではインボイス制度が消費者に直接的に影響を与える象徴的な出来事となっている。毎月の電気代としては一般家庭で12円の値上げらしいが、オフィスでも工場でも電気は当然使う。

 インボイス導入による物価高を予感させるのに十分なインパクトを持っていたようだ。

身近なだけに誤解も多いという消費税。反対派の言葉には個人事業主・正社員・非正規など働き方や雇用形態を問わず、多くの共感を呼ぶ説得力や気づきもあると思うのだが、みなさんはどう考えるだろうか?


じつは「個人事業主」以外にも影響がある

 インボイス制度と「停滞する日本社会」の関係

                                            伊藤 綾

『じつは「インボイス制度」を勘違いしている人が多い…導入直前に露呈した「消費税の正体」』に引き続き、

 消費税に関する「誤解」について解説する。

 

延滞税、年率は驚異の「14.6%

NHKへの公開質問状記者会見」の質疑応答では、税理士で元静岡大学教授の湖東京至氏が消費税に誤解が多い理由について、次のようにも述べている。

「アメリカでは小売売上税という地方税があり、消費税と混同されがちです。

小売売上税はお店に徴収義務があり、客から受け取って手付かずで州当局に納めます。消費税は預かっていないので、

(レシート上で)10%払っていてもいくら税務署にいくかは、事業者が年間売上で計算しないとわからない

また、同会見では酒々井町議会議員で司法書士の白井則邦氏が、インボイス制度がもたらす生活再建への影響について紹介。その過酷さを訴えた。

「まず消費税は破産しても残る非免責債権です。個人事業主は法人ではなく個人にかかっている税金は事業を畳んでも残り続ける非常に重い債務です。しかも、売上はあるけど経費が多すぎる場合など、消費税は赤字でも加算される

法人税は利益がないとかかりませんが、消費税は赤字でも売上があるほどかかってしまう。インボイス制度は中小零細事業者にも消費税をかけるものですが、事務負担が増して業務の足を引っ張り、さらに消費税を納めなければいけない

急激に経営が悪化して破綻に至る可能性を高めます

国税から消費税の納付を831日に強制させられ、営業中止に陥ったホーユー問題が報じられた翌8日。

東京商工リサーチは「8月の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は、前年同月比54.5%増の760件で、17カ月続けて前年同月を上回った」と発表した。

 

「消費税が賃金上昇の足枷になっている」

過去の消費増税ではコスト吸収のため、多くの最終小売店が最終小売価格を値上げしてきた。

そのため消費者としての負担感は身近なところで認識されている。

だが、課税事業者における消費税負担の重さに関しては、あまり一般に理解が浸透していない

19日には “インボイス対応コスト”に関する試算が発表され、大きな話題となった。

電子帳簿サービスなどを提供するLayerX が手作業による事務処理を想定した試算のようだが、中小零細事業者には不安が募る内容だろう。

消費税が課税事業者にとって過酷な税なら、そこで働く人・社員にとっても過酷な税とも言えそうだ。

今年6月に収録されたという、日本経営合理化協会チャンネルの動画「【三橋貴明の緊急提言】日本国民の所得を倍にする方法」では、いかに消費税が賃金上昇の足枷になってきたかが語られていた。その主張の趣旨だけ掻い摘んで紹介する。

「実質賃金は生産性で決まり本来、物価が上昇すれば我々の所得も増えます。

が、物価の上昇・下落と関係なしに、外部から一方的に物価だけを引き上げる要因がこの世に2つあります。

 消費増税と輸入物価上昇です。消費税は利益と非課税仕入の合計にかかりますが、この非課税仕入の代表的なものは人件費=給料と社会保険料です。消費税は給料と社会保険にかかる税金

経営者は人を雇うほど給料・社会保険料が増え、そこに消費税も乗ってくる。

人雇うかよ? しかも高い給料で?消費税が日本の賃金上昇の足枷なんです。

可処分所得が増えていない最大の原因は非消費支出直接税と社会保険料で、非消費支出ばかり無理やり増やしてきたから消費支出が下がっている。こんな国、日本以外にないよ。プラス消費税だし」

 

「総理大臣の仕事は財界に『給料上げてくれ』って頼むことじゃない」

デフレ脱却のためには財政拡大だけど、具体的には実質賃金に外部から影響を与えている消費税増税と、輸入物価の上昇という2つの問題を退治すればいい。

輸入物価の上昇は政府がもっと大々的に補填する。すると、我々の可処分所得めちゃめちゃ増えます。

ちなみに実質賃金が1.5倍になっても社会保険料30倍だったら可処分所得は減ります。

いまの日本は実質賃金も可処分所得も絶賛双方下落中

そこで消費税増税する? 少子化対策の財源として消費税増税云々じゃなくて、インボイス制度の話です。

これ益税って言うなら所得税にも文句言えよ(三橋貴明氏)

発注者・受注者・消費者での負担の押し付け合いを引き起こしている同制度だが、三橋氏はこの“デスゲーム”で最も多いのは価格に転嫁されて最終小売価格が上がるパターンと予想している。

おそらく過去の消費増税と同じ道を辿るとの予想だろう。

誰も所得増えないけど物価だけ上がる。このタイミングで実質賃金を下落させようとしているのが日本政府です。

総理大臣の仕事は、財界に「給料上げてくれ」って頼むことじゃないよ。

会社が給料を上げなくちゃいけないような、給料上げてもやっていけるような環境つくることでしょう。

まずはデフレ脱却消費税廃止や社会保険料廃止、あるいは輸入物価の上昇分を政府がカバーする

当たり前だと思うんだよね。

食料やエネルギーの自給率低いのは日本政府のせいなんだから。

今までろくに投資してなかったからこんなことになっているのに、なぜ我々が損をかぶんなくちゃいけないの?

政府が補填しろ。これでいいでしょ」

今回紹介した動画の内容をどこまで正確に理解できたのか、整合性も含めて私個人は判断できない。

だいたいインボイス制度の影響も実際どれくらい大きいのか小さいのか、どんなかたちでいつなのかも正直、未だに理解できていないところがある。ただ、経済的な要因だけではないにしても1997年以降、少子化社会に歯止めがかかっていないこと。

その間、多くの人が“停滞”を実感してきたことくらいは確かだと思う。経済アナリスト・森永卓郎氏の最新刊のタイトルからとられた“ザイム真理教”なる言葉が流通し、ネット上で政権与党や財務省、経団連への不信感が急激に高まっている印象も受けている。消費税のあり方は今後も議論の余地がありそうだ。


給食停止のホーユー、破産申請へ

行政による安価な契約の押し付けに同情を集める反面、ベトナム実習生への搾取&不当解雇で裁判沙汰の過去も

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全国約150施設に食事を提供している食堂運営会社「ホーユー」が、破産手続きに向けて準備中だということが判明。

帝国データバンクによれば、負債額167,000万円にのぼると見られている。報道によれば、全国約150施設のうち約半数の施設において、この2学期から給食の提供を停止しているとのこと。その一方で、ホーユーは「破産手続きに向けて準備中で、広島地裁に近く破産を申し立てる予定だ」と一部メディアに述べたという。一方で一部の施設では、ホーユーの従業員有志が、同社からの給料が未払いになっている状況にも関わらず、自主的に余った材料で給食の提供を続けているという。

民間に安価で押し付けた行政が悪いとの声も

今年9月に入り表面化し、全国各地で影響が広がる事態となったホーユーの経営危機とその後の破綻。

そのホーユーの社長だが、5日夜になって一部メディアの取材に対応

「やむを得ず営業を止めた。学生には申し訳ない」としたうえで、「物価上昇が続く中でも運営できないような安価で平然と落札される。安くしないと学校に契約してもらえない」と、経営の苦しさを訴えたという。

ここ数年は外食産業でも、年に度々値上げされることが珍しくない状況だが、ホーユーのような食堂運営会社も同様、食材の価格上昇に加えてさらには人件費の高騰などには、大いに苦しめられていることは想像に難くないところ。 ただ、給食事業を始めとした行政からの入札案件となると、複数年に渡る契約期間の間で想定以上に物価や人件費が高騰したとしても、なかなか対応され難いようで、実際今回のホーユーも、学校や役所に給食費の値上げを求めたものの、応じてもらえなかったと告白しているようなのだ。

しかも、先々の費用高騰も見込んだ予算にしようにも、それでは他業者に入札で負けてしまう可能性が出てくるということで、それもままならないといったところ。結局は安く請け負ってしまったことで、その後の未曾有の物価高や人件費高騰で、ニッチもサッチも行かなくなったというのが実情のよう。

当初は、いきなり給食の提供をストップしてしまったホーユーに対して、身勝手だといった見方も少なくなったようだが、その事情が徐々に明らかになっていくにつれ、民間に安価で押し付けた行政の非を責める声も、少なからずあがっているといった状況だ。

要請に応じなかったみたいなのよね。教育委員会の怠慢を追求するべきでは。

 広島県内の高校学生寮の食事停止問題、提供業者ホーユーが近く破産申請

ウイングバック (@wingback_t) September 5, 2023

税収最高なのに、給食費や自衛官の食費もケチるような行政が悪い。

 — トミーさん さん (@tommy_san) September 6, 2023

各地で給食ストップのホーユー、給料未払いなのに供給続ける従業員も #SmartNews https://t.co/xdkRpdMaLj

  しろちゃん (@bonocyan) September 6, 2023

業界内では金払いの悪さで有名だった?

このように、ある意味での同情の声もあがりつつあるといったホーユーなのだが、その反面で今回の件を機に浮上しているのが、過去に同社が引き起こしたベトナム実習生への搾取と不当解雇騒動だ。

なんでもホーユーは、2016年に実習生としてベトナムから来日した女性に対し、3か月間で約3万円しか支払わないという、ピンハネどころではない搾取を行っていたうえに、女性が待遇改善を求めた直後に解雇していたとのこと。

さらに技能実習生受け入れの監理団体と共謀し、女性が行方不明になったとする虚偽の書類を作成。監理団体がベトナムの送り出し機関から、違約金という名目で2,000米ドル(約22万円)を受け取っていたことも、裁判の過程で明らかになったというのだ。

 かれこれ67年前に起こったというこの話なのだが、そのあくどさにほとほと呆れ返る一方で、すでにこの時点から、ここまでのピンハネをしないことには、経営がなかなか立ち行かない状況だったとも推測されるところ。

 7月分払われて無いおばちゃんが給食止めたら子供が可哀想って無償で出勤してる学校もあるし

  私立ならともかく公立が給食委託ってのがそもそもおかしい  

 — まっしー@そして父になる (@DQX53285067) September 6, 2023

実際ホーユーに関しては、その金払いの悪さが業界内では有名だったとの声も、一部からはあがっており、今回のような事態に陥るのもいうなれば時間の問題だった、とも言えそうである。



 

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