なぜAmazon創業者は、こんなにも「ミーティングがうまい」のか?


2023.09.11 

 

by 土井英司

『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』がベストセラーとなり、一躍有名になったカーマイン・ガロ氏。 彼が次に注目したのはAmazon創業者のジェフ・ベゾスのストーリーテリング手法でした。今回は、スピーチ本としても必読の一冊としてその本を紹介しています。


起業家のスピーチ術⇒『Amazon創業者ジェフ・ベゾスのお金を生み出す伝え方』

本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』で一躍有名になった、コミュニケーション・アドバイザー、カーマイン・ガロ氏による、ジェフ・ベゾスのスピーチ研究。

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』では、ジョブズの名言や華やかな演出技法を紹介しましたが、今回着目したのは、ベゾスのストーリーテリング手法

他のベゾス本同様、本人に綿密な取材をすることは叶わなかったらしく、素材は過去のスピーチや株主へのメッセージが中心。

とはいえ、さすがカーマイン・ガロ。素材の不足をまったく感じさせない分析能力と筆力、おまけにスピーチの専門家らしい追加情報で、充実したスピーチ本に仕上げています。

追加しているのは、他の起業家たちのコミュニケーション事例と、神話学者ジョーゼフ・キャンベルが「ヒーローズ・ジャーニー」と呼んだ手法、そして著者自身が編み出したガロ・メソッドに基づくメッセージ・マップ・テンプレート。

これらが十分使いこなせれば、投資家からお金を集めたり、従業員を鼓舞したり、顧客に支持されたりすることが容易になる、そんな内容です。ストーリーテリングに関しては、これまでビジネスで使えるよう上手くテンプレート化されたものがなかったのですが、これならきっと使いこなせるだろうと思います。

起業家のスピーチ本としては、伊藤羊一さんの『1分で話せ』と並んで必読の一冊だと思います。

1分で話せ

特に起業家の方は、読んでおくといいでしょう。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

ベゾスほど巧みに、メタファー(暗喩)を用いるビジネスリーダーはなかなかいない。

彼は、アマゾンの成長の原動力となる「フライホイール(弾み車)」を構築した。「種」を蒔き、その「種」が巨大な事業へと成長した。「ピザ2枚分のチーム」を作った。また、なぜ失敗と発明が「分かちがたい双子」であるのかを説き、「傭兵」ではなく「伝道者」を雇った

「自分の才能を喜ぶべきです。幸せに思うべきです。でも、それを誇りに思うことはできません。誇れるのは、自分の選択のみです」(ジェフ・ベゾス)

「あのミーティングのことは、昨日のことのように覚えています」とカーは言う。

「多くの社員が疑問や懸念を抱いていました。なぜアマゾンは、未知の分野に投資するのか? 自分たちが得意とする分野に集中せずに、寄り道をする必要が

どこにあるのかなぜ自社でデバイスを開発しなければならないのか? アマゾンはデジタルメディア・サービスについて何を知っているというのか?と」

参加者が表明した意見や懸念を傾聴した後、ベゾスは、古代からの効果的な修辞法のツールであるアナロジー(類推)を用いて、それらに答えた。

「多くの種を蒔く必要があるのです。どの種が大きなオークの木に育つかわかりませんから」

遠領域のアナロジーが含まれた文章を読んだ人々は、読んだ内容をより多く思い出すことができ、さらに内容をより深く理解していることがわかった

3幕構成

1幕:セットアップ(設定)
2幕:挑戦
3幕:問題の解決

 

ストーリーテリングの12の要素

・成長と変化を経験する英雄的な主人公
・魅力的な敵役
・願望の実現
・モラルの葛藤
・多様な世界観
・次のエピソード、話の続きが気になる終わり方(クリフハンガー)
・文明の危機
・ユーモア
・裏切り
・ポジティブな感情(愛、喜び、希望)
・ネガティブな感情(喪失、悲しみ)
・暴力

 

ガロ・メソッドに基づくメッセージ・マップ・テンプレート

1.ログラインのドラフトを作成する
2
.ログラインを補強する、3つのメッセージを作成する
3
.作成したメッセージに、ストーリーやデータ、アナロジーなどを使って命を吹きこむ

アマゾンのカスタマーレビューに、「良い意味でタイトルと中身が違う」と書いた方がいましたが、まさにそんな感じの内容です(「お金を生み出す」なんて下世話な内容ではなく、極めて真面目な内容)。 

起業家は創業当初、どうやって自社を紹介するか、悩むと思いますが、そんな時、本書が手元にあると、重宝すると思います。


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