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100の統計データでアメリカを見る

「鼻持ちならないバカ野郎」とイーロン・マスクに言われた原因はこの一冊にあった

2023.08.30

 

 by 毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン

ビジネスマンなら知っておくべきアメリカ経済の現状と未来。

今回紹介する本は、それを統計データから読み解く一冊です。イーロン・マスクが著者に暴言を吐いた理由とは?



100の統計データでアメリカを見る⇒『漂流アメリカ』

本日ご紹介する一冊は、NYU(ニューヨーク大学)スターン・ビジネススクールのマーケティングの教授であり、起業家でもあるスコット・ギャロウェイによる一冊。

タイトルがちょっとわかりにくいですが、100の統計データからアメリカ経済の現状と未来を読み解こうとするもので、これからの経済・ビジネス・社会を考える参考

になります。

GDPに占めるインフラ支出の割合
・時給と生産性の比較
・株式市場に投資をしているアメリカの世帯の割合
・5年ごとの移民の増加率
・職を得るために必要な学歴
・住宅の平均販売価格は平均世帯収入の何年分と等しいのか

挙げたのは一部ですが、彼の国とわが国の違いを理解する上でも興味深いデータが並んでいると思います。

また、経済とは関係ないですが、これからの社会を考える上で有効な統計データも紹介されており、こちらも興味深く読めると思います。

・精神科の病床数
・アメリカにおける地域に根差した活動の減少
・アメリカのスマートフォンユーザーの1日当たり平均ロック解除回数
・恋人と出会う方法

世界(特に中国)と比較した、アメリカの地位の変化についても述べられており、パワーシフトの視点から見ても興味深いと思います。

それにしても、「住宅の平均販売価格は平均世帯収入の何年分と等しいのか」のデータは、わが国の労働者がなぜ豊かでないか、その理由を物語っていますね

アメリカは4年程度ですが、おそらくわが国は10年くらい。住宅を手に入れるのに、倍以上時間がかかる計算です。

空き家があふれているというのに、まったくおかしい話です。

誰か、これの日本版を出して欲しいですね(笑)。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

ü  その後、生産性と賃金は切り離されている。われわれの生産物の価値は増大を続けているが、労働者が手にする報酬はそれを反映しなくなってしまった

ü  アメリカで上位1%に入る高額所得者たちの賃金はおよそ140%増大した。

 おもに企業幹部や弁護士や医師からなるこの集団に占める銀行家の数は大幅に増大している

ü  1989年、アメリカの世帯のうち株式市場に直接的・間接的に参加しているのは3分の1以下だった。

 2019年にはその割合はおよそ半分まで増大していた

ü  19802017年までに、コンテナ船で運ばれた品物の数量は1200万メートルトンから183,000万メートルトンまで増大した。

 現在ではすべての品物の80%が海上輸送されていると見積もられている

ü  物理学、化学、生理学、医学、経済学のノーベル賞受賞者たちが所属する研究機関

ü  アメリカ 52% 414人がノーベル賞を受賞

ü  教会会員

1990年 68
2020
年 47

ü  職を得るために必要な学歴(2020年)

修士号以上 11
学士号 24

ü  1兆ドルのバリュエーションがついた前年の収益

2018年 2290億ドル アップル
2021
年 320億ドル テスラ

ü  朝の報道番組がベゾスの宇宙旅行を取り上げた時間と気象危機を取り上げた時間

ベゾスの宇宙旅行 212分(20217月)
気象危機 267分(2020年全体)

ü  カテゴリー別で見た都市部の消費者物価指数と実質平均賃金

教育費 +245
衣服 -12

ü  住宅の平均販売価格は平均世帯収入の何年分と等しいのか

1970年 2.3
1995
年 3.4
2020
年 4.3

株であれ、不動産であれ、アメリカに投資している方、アメリカ在住の方、アメリカと取引している方は、今後の動向を読む上で、役立つ資料だと思います。

ユニークな資料が多く、ビジネスパーソンの教養、雑談ネタとしても、面白いと思います。

オビに、イーロン・マスクが「鼻もちならないバカ野郎」と著者を評する言葉が載っていますが、おそらくこれ、「1兆ドルのバリュエーションがついた前年の収益」のデータが原因でしょうね(笑)。要するに、実態がないのに高い評価を得ているテスラへの批判で、それにイーロン・マスクが反応したのだと思われます。

 

いずれにしろ、面白いデータ集です。


本当は安くできる「ガソリン価格」を高くしているのは誰か



 

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