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2023年上半期「売れた商品ランキング」近畿版

顕著にあらわれたインバウンド需要の影響

木地 利光 : 市場アナリスト

2023年08月10日

  2023年上半期「売れた商品ランキング」全国版、関東版に続き、今回は近畿版のランキングを紹介する。

全国のスーパー、コンビニ、ドラッグストアなど、約6000店舗の販売動向を追っている「インテージSRI+」のデータを基に作成した。ここでは、滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の6府県を「近畿」とした。顕著に現れたのは、今年に入ってから活況となっているインバウンド需要の影響だ。全国との違いを確認するため、「全国差」として近畿版の値から全国版の値を差し引いた値も出している。



「売り上げが伸びた」商品トップ30の顔ぶれ

売り上げが伸びた商品ランキングでは、全国版で2位だった強心剤1位に躍り出て、前年比356.5%と全国よりも180.4ポイントも大きい。3位のビタミンB1剤で前年比235.3%(全国差+83.5ポイント)、6位の外用鎮痛・消炎剤で前年比173.1%(全国差+52.0ポイント)と、インバウンド需要でよく買われる医薬品が全国よりも著しく伸長しているのが見て取れるインバウンド需要がとりわけ活況なのは、訪日観光客に人気の大阪や京都だ。

インバウンド需要の影響は医薬品にとどまらない。10位のリップクリーム、15位のパック、27位のウイスキーなどでも前年比の伸びが全国よりも大きく、インバウンド需要がさまざまな商品の売れ行きに影響していることがうかがえる。ただし、これらのインバウンド需要関連の商品では、前年比の伸びが全国よりも大きいものの、2019年比の傾向に全国とそれほど大きな違いはない。中には、2019年比が100を下回っているものも散見される。

1位の強心剤2019年比は89.6%となっており、15位のパックの2019年比は55.1%と2019年の半分ほどの水準だ。

近畿はコロナ前から訪日観光客から人気だったため、コロナ禍のインバウンド需要の縮小による影響も大きかった

落ち込んだ反動もあったためインバウンド需要関連の商品で前年比が著しく伸びているものの、本格的な回復にはもう少し時間がかかる商品もあるようだ。前年比だけではなく、2019年比でも目立った伸びが確認できたのが、2位の液体だし2019年比が575.8%(全国差+410.4ポイント)とコロナ前6倍近くにまで市場が成長したことがわかる。液体だし市場を牽引しているのが、北海道産の昆布を使用したもの

近畿では昆布だしが主流であるため、市場が成長する素地があったのかもしれない。とりわけ伸びていたのが、北海道産の昆布を使用した、近畿を中心に展開されている低価格のプライベートブランド商品だ。本格的な商品を手ごろな価格で買えることから、人気となったと見られる。

「売り上げが落ちた」商品は?

続いて、販売金額が落ちたもののランキングを確認したい。

1位の体温計には、全国との差がそれほど見られなかった。コロナに感染していないかを確認するための需要が急伸していた体温計は、一度購入すれば故障や紛失などがない限りは使い続けることができる。感染状況の沈静化もあり需要が一巡した傾向には、地域による違いが見られにくいようだ。

2位のしわ取り剤(衣類用)の前年比は、全国よりも7.7ポイント低い75.0%となった。しわ取り剤の販売は、長期的な減少が続いていた。転機となったのは、2021年春に発売されたスプレータイプの新商品。しわ取りだけではなくウイルス除去の効果などもあると訴求し、ヒット商品となった。

4位の殺菌消毒剤の前年比は、全国より9.9ポイント大きい82.8%と下げ幅が限られている。

インバウンド需要の回復により、傷薬タイプの商品の販売が伸びているためだ。ただし、感染予防のための手指消毒用のものに絞れば、近畿で前年比49.1%と半分を割り込んでおり、全国と比べても下げ幅が大きい。殺菌消毒剤の売れ行きからも、感染予防のための需要の落ち込みが見られた。




 

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