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「友人を売り渡す習慣はない」中国を突っぱね台湾との関係維持を選んだ小国グアテマラ


2023.08.04

 by 黄文雄

 カネの力に物を言わせ、世界の国々に台湾との断行を迫る中国。その財力の前に「転ぶ」国も多い中、中共の誘惑をはねつけた南米の小国が話題になっています。

台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国の要求を突っぱねたグアテマラ大統領の英断を伝える記事を紹介。さらに世界を巻き込もうという中国の一帯一路構想を、「失策」と一刀両断しています。


中国のカネには転ばず。「台湾との断行」要求をはねつけたグアテマラ

もう一つ、一帯一路のニュースを紹介しましょう。

これまで、一帯一路は主に経済支援を必要としている国に対して、経済的投資を条件に参加させてきました。そして、一帯一路参加国のインフラ建設を請け負う一例として、インドネシアの高速鉄道建設は中国が受注して工事を始めました。

ところが「インドネシアに負担を求めない」としながらも、工事行程は延期を繰り返し、8月に開業が決定してもなお、延長を重ねた分の工費についての決着がついていません。

● 国受注、インドネシア高速鉄道 「8月開業」も人材育成や収益性に課題山積

やはり中国は張子の虎で、所詮口約束は出来ても、それを実行する実力も行動力もありません。

これまで伝家の宝刀として振りかざしてきた経済力でさえ、コロナ禍を経て弱ってきています。

中米の小国グアテマラは、そんな中国の本性を見抜いていました。

グアテマラのアレハンドロ・ジャマティ大統領は読売新聞の単独インタビューに対して、中国から「台湾との断交」を条件に巨額のインフラ投資や新型コロナワクチンの提供など、様々な申し出を受けたものの、いずれも拒否したことを明らかにしました。

「我々は友人(台湾)を売り渡す習慣はない」と述べ、台湾との外交関係を維持する姿勢を強調しています。

● 「台湾と断交」条件に投資申し出る中国…グアテマラ大統領「友人を売り渡す習慣ない」と拒否

中南米やカリブ地域には、台湾と外交関係を結ぶ13か国のうち7か国が集中しており、中国の横やりによって、台湾と断交する「断行ドミノ」現象が進んでいました。そんななか、グアテマラは「台湾との断交」を条件にした融資も、コロナワクチン提供も、拒否し続けてきたのです。

読売新聞の報道によれば、

グアテマラは台湾と国交を結んだ1960年以来、友好関係を築く。ジャマテイ氏は国連総会で台湾の加盟を求めて演説し、世界保健機関(WHO)へのオブザーバー参加を支持。今年2月には台湾の無償援助で国立病院が完成した。

「国の問題が発生するたびに、台湾は常に真っ先に援助してくれた」と語った。

 グアテマラの公的債務残高は対国内総生産(GDP)比で30%未満と世界的にも低い水準であることを踏まえ、「中南米で中国は多くの約束をしながら、国民にはほとんど何も提供していない。私たちは長期的な経済政策を取る」と語った。

 

身の丈に合わず。中国の失策と言わざるを得ない一帯一路

グアテマラは、昨年8月に中国が台湾周辺で大規模軍事演習を行った際に、いち早く台湾への支持を表明しました。

今年3月末には、蔡英文総統がグアテマラを訪問し、友好を深めています。

 グアテマラと関係強化で一致 中国圧力下、大統領と会談―台湾総統

グアテマラもジャマティ大統領は、任期満了に伴う退任が来年1月に迫っており、次期大統領はジャマティ路線を引き継ぐ候補者と中国寄りの候補者との対立の構図になっています。

しかし、一帯一路の評判が悪ければ悪いほど、ジャマティ大統領の英断が評価されることでしょう。 

中国は、世界を我が物にしようと、世界を巻き込んで「一帯一路」経済圏などと大風呂敷を広げるべきではありませんでした。

中国の国内問題であれば、どんな愚策でも国民にノーとは言わせず強制的に継続させることができますが、世界はそうはいきません。一帯一路は、身の丈に合わないことをした中国の失策と言わざるを得ません。


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