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ChatGPTの社内活用のポイント


爆発的に普及する対話型AIChatGPT。日本企業の中にも社内での業務や事業に活用しようという動きがあるが、一方で情報漏洩や著作権などのリスクに対する懸念もある。「第4AIブーム」の本格的な到来に備えて会社員が知るべき生成AIの今を追った。 

※ 今回の記事は、「おがわの音♪  第1422 版」の補足として、掲載しました。



ChatGPT社内活用は「使用黙認」が最もキケン

大前提として、リスクがあるからといって企業がChatGPTなどを利用することに必要以上に慎重になることはない。

むしろ積極的に活用しないと社会経済の発展に取り残されてしまう可能性がある。そのうえで、適切なサイバーセキュリティー対策を取ることが重要だ。とはいえ何か特別な対策を打つ必要があるわけではなく、考え方としてはパブリッククラウドを利用する際とよく似ている。

☞ 情報漏洩を防ぐためのルール

対策は複数あるが、1つがプロンプト(指示を出す文章)の内容。情報漏洩を防ぐために、個人情報や社外秘の情報を入力してはいけない

例えば、取引先からもらった英文の契約文書を入力して要約させる、といった利用はいかにもしがちだが、避けるべきだ。一般的な内容を入力するにとどめるのが賢明だろう。ChatGPTは生成AI1つだが、無償で提供されているサービスは、入力した情報がAIの学習のために使われてしまうことがある。

もし顧客の個人情報や社内の機密情報を入力したら、それが第三者の質問の回答として出力されるかもしれない。

企業が利用するなら、(ソフトウェア同士をつなぐAPI経由や、マイクロソフトのクラウドサービスAzure上で利用するetc.)有償での利用が安心。

こうすれば、入力した情報は学習に利用されない

 

 「ググる」の代替には適していない

ChatGPT」の最大の特徴は「自然言語」、つまり人間の言葉で命令できるAI(人工知能)という点。

これまでも、スマートスピーカーなど直接話しかけて使うAIはあったが、柔軟な受け答えはできなかった。

それらと比べると、現在の言語生成AIは飛躍的に性能が上がり、実用レベルに達している。「ドラえもん」誕生の第一歩だ。

かといって、やみくもに聞けばいいわけではない。何を質問するか、どう質問するかにちょっとした工夫が必要だ。

ネット上にはChatGPTを試して「低品質な回答が返ってくる」と指摘する記事が少なくないが、おそらくその大半はChatGPTの潜在的な能力を十分に引き出せていないだけ。大方の予想より、実際は格段に高い能力を持っているはずだ。

まず何を質問するのかを考えよう。大事なのは、グーグルなどのネット検索の代わりに使うのには適していないということ。

聞く内容によっては、まことしやかにウソを織り交ぜてくることがある。


「これかなり革命的では。これが、非エンジニアでも30分でできる世界なんですよ。しかも無料で。ということで、上司には適当言って、昼寝してきます」… 3月中旬に投稿されたある動画付きのツイッター投稿が、表示回数750万と大きな反響を呼んでいる。

投稿で紹介されていたのが、ChatGPTを使った議事録自動作成ツールだ。

Zoomでのオンラインミーティングが終わると自動で文字起こしと要約が始まり、作成された文書はこれまた自動で業務用チャットツールのSlackに通知される。 会議などの議事録作成は、会社員にとって面倒な業務の代表格といえる。

それを“全自動”にするツールを発明したのが、フリーランスの平岡拓さん(24)。

 

このツールは一行もコードを書かずに作成された

一行もソースコードを書いていない

この画期的なツールを作成するうえで、平岡さんは一行もソースコードを書いていない。

利用したのが、異なるウェブサイトやアプリケーションを連携させてタスクを自動化できる「Makeというノーコードツール。無料で利用可能だ。これを使って、Zoom、文字起こしツールのWhisperChatGPTGoogleドキュメントなどを連携させた。

ChatGPTを連携したのは、届いた文字起こしを要約させるため。

Make上であなたは議事録を要約して、まとめるアシスタントです。議事録のデータが届くので、適切に要約してくださいなどと入力することで、AIが長大な議事録の要約を作ってくれる。  

平岡さんはほかにも、「すぐ質問してくる部下への回答を自動化」「LINEの顧客対応を自動化」など、ツイッターYouTubeChatGPTなどを活用した「業務時短ツール」の作り方を紹介している。

☞ 個人DXの最強ツール

平岡さんがこうした発信を続けるのは、「非エンジニアでも自分が得をするためのDX(デジタル変革)が手軽にできることを伝えたい」という目標があるからだ。

平岡さんは独立前、企業のDXを推進する仕事をしていた。そこで直面したのは、企業としていくらDXを掲げていても現場のモチベーションが上がらず、進展しないという事態だった。

「結局、個人が得をしないと現場は動かない。そこで『定時で帰る』をキーワードに、個人向けのDXツールを発信し始めた」(平岡さん)。

人間の言葉で命令ができるChatGPTは、個人DXの最強のツールといえる。

 ※編集部注:議事録作成の際は、機密情報の取り扱いに十分配慮しましょう。)

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