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「ChatGPT」に仕事を奪われるのは“頭が悪い人”だけ


AIに丸投げするか、使いこなすかの二極化が進む

午堂登紀雄

2023年3月21日

 何かと話題になっている「ChatGPT」ですが、うまく使いこなせば勝ち組になれる可能性があります。さらに普及すれば、AIに丸投げして終わる人と、活用してさらなる付加価値を生み出す人の「二極化」が進むでしょう。

思考力がなく、知的にサボる人からどんどんAIに仕事を奪われていきます。


ChatGPT」を活用できれば勝ち組に?

何かと話題になっているChatGPTですが、ChatGPTで作った台本でTikTok100万再生超えを連発するティックトッカーがすでにいるらしいです。

使い方で大きな差がつくかもしれず、たとえば夏休みの宿題(読書感想文や宿題)が楽勝で終わるかもしれないなとか。

あるいはポイ活のコメントや値引きクーポンがもらえるユーザーレビュー、懸賞論文とかで使えたりして? ただしネット上には間違った情報もたくさん溢れており、それらをエサとして食べるAIによってフェイクニュースが量産されるリスクもあります。むろん性能アップや進化によって改善はしていくのでしょうけれど、やはり間違いは避けられない。

なのでAIによって出された何らかの回答を鵜呑みにするのは危険で、しかし論理的でそれらしい回答を出してくるので、これまで以上にファクトチェックの重要性が高まります。

AIに丸投げする人・使いこなす人の「二極化」へ

でも、やはり鵜呑みにする人は多いでしょうね。

テレビで「これを食べればダイエットに効く」と紹介されただけでスーパーの棚からその食材が消えるわけですから。

そういえば以前、大阪府知事が「コロナにうがい薬(イソジン)が効く」としゃべったら売上が伸びたくらいですしね。

マジで?と思いましたが、ウラも取らずに本当に買う人いるんだと驚きました。

また、マイクロソフトもオフィス製品にこのAIを組み込む予定らしく、パワーポイント資料の作り方などが変わりそうです。

でも、これもやはり、ラクだと安易に流される人と、伝えるべきメッセージにエネルギーを注げる人とに二極化しそうな気がします。

前者は「チャチャッと作って、はい出来上がり!」で終わる人。後者は「体裁作りで浮いた時間を使って、内容のブラッシュアップに集中できるな」という人でしょうか。

便利になる一方で、それが人間の知能を低下させるのではないかという懸念もあります。

たとえば若者(に限らずかもですが)の文章読解力が落ちているようで、おそらくSNSやチャットアプリで短い文章しかやりとりしないからではないかと思います。

テクノロジーは便利だけど、便利がゆえに思考する人と知的にサボる人が二極化し、それが格差をより拡大させるのだろうなあと思います。

AIに仕事を奪われる?

それでAIに仕事を奪われるという論調が出るわけですが、それは知的に怠惰な人だけ。

思考力さえつければ、むしろAIには付加価値の小さい仕事を任せ、自分はより重要な仕事に専念できるという側面があります。たら、「単純な文書を納品する仕事」ですかね。何らかの文書を作ってそれで対価を受け取るだけの仕事だとしたら、それはAIでほぼ代替できてしまう。

司法試験の問題も解けてしまうようですから、弁護士はより高度な法的解釈力や論点整理力を用いて「相手をどう追い詰めるか」「どう相手の攻撃をかわすか」という法律構成を考えられる人が残るのかもしれません。

あるいはライターの仕事は消滅しますし、編集者は「どういう切り口の企画を考えるか」という「企画力」がモノを言うようになります。

テイストを伝えただけで絵画も描けてしまうそうですから、イラストレーターやデザイナーなども独自のテイストを持たないと危ない。

一方、料理人や介護などといった身体を使う仕事は、一部ロボットなどに置き換えられるとはいえ、完全にテクノロジーだけではどうしようもない。医者や心理カウンセラーといった人間の感情に働きかける仕事もそうですね。

とにもかくにも、今後もAIの精度や性能は飛躍的に向上していくでしょうから、人間はより既存にない価値を出す方向にシフトしていかないと、既存の情報はAIに検索・編集されるので太刀打ちできなくなります

たとえば私の仕事で言えば、いまだ世の中に存在しない文章を紡いでいく必要があるわけです。

AIはネット上にある文章を集めてつなぎ合わせて編集するわけですから、まだ誰も書いていない表現を考えだせばオリジナルとなり付加価値となります。

確かに、ちょっとした事例、過去のニュース、名言といったものはすぐに取り出せるようになるから、そこは時間と労力を削減できそうな気がします。

なので、それ以外の解釈、提言をよりトガったものにしていかなければならない(まあ、「人間がイラっとする表現は何ですか?」とか聞けば面白いヒントが得られるかもしれませんが)

それは、たとえば他人とは違う視点からの人間心理や行動原理の洞察とそれを独自の言葉で表現するってことでしょうか。

いやいや、なかなかハードル高いですよ、これは。ただでさえ書籍の市場は縮小が続いているわけで、より1冊にかけるエネルギーが増大しそうです。 


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