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ChatGPTを「使う側」になるために知っておくべきこと

2023.03.15

by 理央 周

国内外で話題になっているチャットGPTをマーケティングに活用したいと考える企業は少なくないはず。

しかし、どう使っていけばいいのかどういう点に注意すればいいのか、を明らかにしないままで使うのは危険です。MBAホルダーの理央 周さんが、企業の活用事例を踏まえて、チャットGPTの使いみちと注意点を語っています。



ChatGPT 生成AIはマーケティングに使えるのか?」~ 事例から考える使い道と注意点

2021年に米OpenAIによって開発されたChatGPTは、AIを使った技術です。

ここのところ、ネットニュースやSNSで、かなり話題になってきていますよね。

日本の有名企業でも、活用されているため、新聞やテレビなどのマスメディアでも、多く報道されるようになりました。

いくつか、企業の活用事例を見てみましょう。

LINE株式会社では、ChatGPTを活用した、AIチャットボット「LINE Clova Friends」を開発しています。

AIによる自然な対話で、ユーザーの質問に答えたり、ニュースの配信、天気予報の提供などに、使われています。

メガバンクでは、ChatGPTを活用した自然言語処理技術で、顧客からの問い合わせや投資情報の収集、株価予測などに活用しています。

トヨタ自動車株式会社は、AIアシスタント「TOYOTA ACT」で、ドライバーの音声に反応して自然な対話を行い、ナビゲーションの案内や音楽の再生、天気情報の提供などを行っています。

現段階でのChatGPTのビジネス活用を、カテゴリーで分けるとすると、

・顧客サポートやFAQの自動応答
・オンラインショップの商品検索やレコメンデーション
・医療・福祉分野での病気や症状の説明
・教育分野での自動チューターや学習支援
・音声対話型のAIアシスタント

などが挙げられます。

このように、幅広い用途で使えるので、これからもますます活用する企業が、増えていくと思われます。

もちろん、企業活用が進むと、生活者の間にも浸透していくでしょう。

私たち、マーケターや実務家は、このChatGPTをどう使えばいいのか?を、考えていきます。

まず考えるべきは、「顧客の課題」を定義すること。次に、「解決するには何ができるか?」を考えていくことです。

小売業の場合は、以下のような活用が考えられます。

Øオンラインショップでの商品検索やレコメンデーション

ChatGPTで、顧客がオンラインストアで商品を探す際に検索しやすくできます。

ChatGPTを商品データベースに接続し、顧客の検索内容や質問に基づいて商品を提案したり、顧客の好みや検索履歴に基づいて、より適切な商品を提案することもできるでしょう。

Ø顧客サポートやFAQの自動応答システム

ChatGPTを学習させ、一般的な質問や問題に対する回答を提供することができます。

これにより、人手でのサポートが必要な場合に比べて、効率的に顧客の問題を解決することができます。

Ø顧客との対話型アシスタント

チャットbotのような顧客と対話するアシスタントを作成することができます。顧客の質問に対してすぐに回答でき、購買行動を促すことができます。

新商品やセール情報を知らせることもできます。

同じように製造業でも、

・品質管理の精度アップ
・生産管理での最適在庫数の計算
・製品設計の改善

なんかができますよね。

ここで気をつけたいのは、ChatGPTは、このような情報を、インターネット上から拾ってきて、教えてはくれますが、あなたが質問・検索クエリを入れなければ、何も始まりません。また、回答されるのは単なる事実情報でしかないので、あなたが、ロジカルに組み立てる必要があります。そして、正誤が不安定なのでチェックが必要です。

このような留意点も、カテゴリーに分けて考えてみると、以下のようになります。

☞ ータの品質

ChatGPTが学習するために使用するデータの品質には注意が必要です。

不正確なデータ、バイアスのあるデータ、または大量のノイズを含むデータを使うと、正確なChatGPTの出力は望めません。

適切なデータセットを使い、データの品質を管理することが重要です。

☞ 限界

ChatGPTは、自然言語処理の技術に基づくAIで、言語理解に関するタスクに優れています。

一方で、ChatGPTは一般的なAIの問題に対しては適用できない場合があります。

ChatGPTを使用する前に、問題に対してChatGPTが有効かどうかを検討する必要があります。 

 

☞ モデルの選択

ChatGPTには、様々なサイズやパラメーターのモデルがあるので、使うデータの量やタスクの種類に合わせて、最適なモデルを選択する必要があります。

セキュリティとプライバシーに関しても、守らなければなりません。

実際に、会社としてChatGPTを取り入れている、ソフトバンクやパナソニックでは、活用前に、注意事項を定義し、ルールを決めてから運用しています。

10年前のSNSの企業活用の時もそうでしたが、このようなルールの範囲内での使用が、このフェイズでは必要になるでしょう。まだまだ人間の手が必要なフェイズではあります。

では、これらを踏まえて私たち、売りの現場にいる実務担当者は、ChatGPTをどう扱えばいいのでしょうか。

今やることは1つだけ。それは「実際に自分で使ってみること」

そのコツは「直感」でやる、ことです。

ロジカルに「こういう活用がある」「ビジネスにこう使う」などと考えていると、ChatGPTの良さがでなさそうです。

ここは、仕事やプライベート関係なく、「今日の夕ご飯はなにがいい?」「アクション映画では何がおすすめ?」など、

独り言に近いことをいれていくことで、ChatGPTが返してくることに、“慣れる”ことから始めるのがいいでしょう。

ChatGPTはこれからより浸透するサービスになります。その時に、ChatGPTに使われることなく、使う側でいたいですよね。

そのために今のフェイズでは、まずは使ってみることが大事だと思われます。


「WBC」収益の7割は米国が強奪?

2023年3月21日

今市太郎

大盛り上がりの『WBC』効果で日本のプロ野球もさぞ潤うのかと思いきや、全体としてのチケット代・スポンサー契約料・放映権料・グッズの肖像権料などの総収入は、いったん総元締めの懐に入り、その後おもむろに分配金が各国に支給される構造となっています。つまり、過去の配分を勘案すると、今回も日本には十数パーセントどまりの分配金しか見込めない状況になっているようです。

日本中が『WBC』に熱狂

東京五輪の凄まじい汚職事件を経てすっかりスポーツイベントの開催に辟易とする時間が続いたわけですが、それを一気に払拭することになったのが、この春のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)』の開催ということになりました。

ダルビッシュ有選手が宮崎合宿に参加して以降、大谷翔平選手の来日と強化試合2試合開催をきっかけとして、WBCに対する市場の認知理解が急激に進むこととなり、日本で開催された第1ラウンドは驚くほどの盛り上がりを見せました。

テレビの視聴率も爆上げ、グッズもばか売れの状況ですから、今年は「侍ジャパン」を運営する日本プロ野球(NPB)もさぞやご満悦の状況でしょうと思いきや、どうもそうでもないことが伝わる状況になってきています。

東京五輪の中抜き案件をはるかに上回る「WBCI」のぶったくり

今回のWBCの国内第1次ラウンドの4試合には、大人の事情なのか、電通が関わっていることは公表されてはいませんそれでも過去の経緯から言えば関与は間違いない状況で、10社近くのスポンサーも付いて、「カーネクスト」という見慣れぬ中古車買い取り企業が冠スポンサーとなっています。国内での経済効果は、民間の調査機関の分析によると、ここまでの4試合だけでも600億円と試算されています。

とはいえ、東京五輪のように国内だけでIOCを差し置いて勝手に完結できる部分は相当限られている様子。

ローカルスポンサー収入はなんとか確保できても、全体としてのチケット代・スポンサー契約料・放映権料・グッズの肖像権料などの総収入は、いったん総元締めの懐に入り、その後おもむろに分配金が各国に支給される構造となっています。

過去の配分を勘案すると、今回も日本には十数パーセントどまりの分配金しか見込めない状況になっているようです。

世界的な中抜きの名門企業を持ってしても、このアングロ・サクソンが積み上げた強固な組織である「WBCI(ワールド・ベースボール・クラック・インク)」のやらずぶったくりにはまったく歯が立たないことが窺われるところです。

もともとWBCMLBのグローバルマーケティングの一部

このワールド・ベースボール・クラシックというイベントは、そもそも世界でプロ野球を開催する国がかなり偏っていることから、サッカーとの対抗上、もっと野球人口を増やすことを大きな目的されてきました。そのことから参加国も意外な国が登場することとなっています。

今でこそ日本のプロ野球(NPB)はその仲間の主要国のように振る舞っていますが、20057月には国内の選手会があまりにもMLBにバイアスがかかった利益配分に反発し、不参加を決定する事態に発展しています。それに激怒したMLBは、日本の不参加によりWBCが失敗に終わった場合、日本に経済的補償を要求すると恫喝をかけて、結局は日本も参加を決定したなど相当ドロドロしたやり取りを経て今日に至っています。

大谷選手やヌートバー選手のさわやかな活躍を見ますと、そんな過去があったことなど誰も思い出しませんが、MLBの闇は想像以上に深いことだけは認識しておく必要がありそうです。

全体収益の7割はMLBが持っていく?

10年前の大会からMLBと各国の収益配分率は非公表になっていますから、正確な金額はわかりません。

それでも過去の事例を見る限り、全体収益の7割弱はMLBがお持ち帰りとなっているようですから、このやらずぶったくり状況は今回も継続されることが容易に予想されるところです。 バイデン政権から要求されれば。何でもふたつ返事でカネを差し出す岸田首相の抱きつき外交には呆れるものがありますが、米国様主体のグローバル・スポーツイベントでは、それをはるかに凌駕するぶったくり状況が進行しています。

この現実を目の当りにしますと、本邦の属国感も半端ないものを強く感じさせられる状況です。

WBCは盛り上がっても経済的にはプラスにならないこの状況、みなさんはどうお感じになるのでしょうか。



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