日本人が「サバ缶」の品薄に苦しむ"本当の理由"
水揚げしたサバの半数近くが食用にならない
片野 歩 : 水産会社社員
2023年03月02日
水揚げの減少でサバ缶の原料が不足し、一部メーカーでサバ缶の休売が始まりました。販売を続けるメーカーでも、サバの原料不足に直面しているのは同様です。脂がのった大きめのサイズを確保するのは特に難しく、小型のサバで何とか供給を続けている状況です。
小型のサバでも水揚げ量の減少で、魚価が上がっています。さらに円安でサバの輸出価格が上昇して輸出に回りやすくなり、ますます缶詰向けのサバ確保が困難になっています。しかしながら、この状態は長年にわたる資源管理の問題で、起こるべくして起こっていると言わざるをえません。
またサバだけではなく、スルメイカ、サンマといった魚種でも、資源量減少による原料の供給不足が起きています。缶詰向けだけでなく、加工品に使用する国産原料の調達は、資源量の減少で年々難しくなっています。
☞ 事実関係をよく知ることが重要
なぜ、サバだけでなくサンマ、スルメイカ、イカナゴ、アジ、シシャモをはじめ日本中で多くの魚介類が減り続けているのか?
科学的根拠に基づく資源管理が必要です。水産物価格は上昇を続けています。
しかしその原因は、輸入水産物のように価格上昇を転嫁しなければならないケースもあれば、日本のサバ缶のように、幼魚を獲りすぎて魚が小型化してしまい、原料不足に陥って価格が上昇してしまうケースもあります。
国は資源管理を進めようとしています。やるべきことは「国際的に見て遜色がない資源管理を行うこと」です。
獲り切れない漁獲枠ではなく、資源管理に効果が出る枠の導入を始めるべきです。
そして、すでに多くの結果が出ている海外の資源管理の成功例を、客観的な事実に基づいて、積極的に取り入れて、回復させていくことではないでしょうか。
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