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日本のGDPがドイツに抜かれる当然の理由


成長につながらない防衛費支出増、“周回遅れ”自動車の次を担う産業育たず

斎藤満

2023223

ドル表示の日本のGDP22年で43,000億ドル(IMF試算)で、世界3位の地位が脅かされ、ドイツにまた追い抜かれそうです。

低インフレと円安も大きな要素ですが、日本の成長をけん引し、所得を生み出すリーダー産業が出てこないことも大きな要素です。

 

ドイツに抜かれる

 この10年で日本経済の地盤が沈下し、ドル表示の日本のGDP22年で43,000億ドル(IMF試算)で、世界3位の地位が脅かされ、ドイツにまた追い抜かれそうです。そして1人当たりGDPでは21年で世界27ですが、こちらは韓国にも抜かれかねない状況となっています。低インフレと円安も大きな要素ですが、日本の成長をけん引し、所得を生み出すリーダー産業が出てこないことも大きな要素です。

【関連う自動車依存経済は限界。40年も次のトップ産業が育たず、EV出遅れで家電の二の舞に  

岸田政権は23年度からの5か年で43兆円の防衛費を予定していますが、これに28年度以降にローンで払う分16.5兆円を加えると、実際は60兆円にもなんなんとする膨大な予算となります。これは米国の軍事産業の需要になるだけで、日本経済の地盤沈下を考えると、これは将来的に大きな負担となります。そうなる前に経済体力の強化が不可欠で、成長産業を育成することが急務です。

製造立国でドイツに遅れ

日本とドイツは国土の大きさがあまり変わらないうえに、ともに製造業の強さで持っていたことも共通し、特に自動車が強く、いずれも自動車王国を自負する米国に睨まれていました。米国のEV戦略はいわば新興自動車立国の日本、ドイツを追い落とすための戦略ともいわれます。

ドイツはこのところロシアからのエネルギー依存や貿易面で中国のウエイトが高いために、経済への負担が大きく、昨年もユーロ圏の中でも特に厳しい状況にありました。

しかし、そのドイツに対しても、日本はさらに劣勢にあり、IMFの試算によれば、昨年の日本のGDP43千億ドルと、前年の49千億ドル余から大きく縮小し、21年のドイツの水準と変わらなくなりました。ともに製造業立国とされる中で、日本は製造業の約2割を占める自動車業界が、半導体など部品調達の制約もあって、十分に生産や輸出できず、生産輸出全体を圧迫していました。なかでも自動車のEV対応では日独に大きな差が見られます。

自動車はEV2周遅れ

米国は自動車王国の地位を回復しようと、官民一体でEV体制を進めています。先行したテスラ社は中国での生産で量産体制を築いています。低コストのリチウム電池を確保するうえでも、中国進出は有利性を持っています。

その点、日本は携帯用などの小型リチウム電池の開発では先行したものの、自動車用のリチウム電池では後れを取っています。

さらに、米国では政府が率先して街に充電スタンドの建設を進め、さらにテスラの充電スタンドをGMやフォードにも開放するなど、官民が協力してEV体制を進めています。EV生産では中国のBYDがテスラとともに実用化が進み、日本市場にも輸出してきています。

これに対して、日本はこれまでハイブリッド車で成功したことが災いし、EVへのシフトが遅れています。日産が実用化しているものの、トヨタはまだ実販段階にも至っていません。

ガソリンエンジンを前提とした膨大な下請けシステムを抱えているだけに、これらを切り捨てるようなEVシフトは抵抗が大きいのも事実。ハイブリッド、EV、水素電池、水素エンジン車と手を広げ過ぎた面もあります。国の支援体制も米国に比べると大きく遅れています。米国からは2周遅れ、実販段階に入っているドイツと比べても周回遅れの感があります。

成長につながらない防衛費支出増

4番打者が苦戦している時こそ、他の選手の育成、支援が必要ですが、そんな折に5年で43兆円ないし60兆円もの巨費を防衛費に費やすことは、日本経済には打撃となります。投下した資金が日本の生産に回る余地は極めて少なく、ほとんどが米国防衛産業からの武器購入にまわります。日本の防衛装備品と輸入が増えてGDPは相殺されるだけで成長には寄与しません

残念ながら、米国から購入した兵器は、修理点検も日本は許されず、米国の専門チームに委ねるケースが多く、技術移転のメリットもありません

日本財政の生産誘発が年々小さくなっている背景には、こうした再生産に回らない武器輸入が増えていることも一因となっています。

しかも、トマホークや戦闘機を大量に購入しても、ロシアや北朝鮮の超音速かつ蛇行するミサイルを打ち落とすことはほぼ不可能とされます。

また日本が原発を続ける背景には、いずれ日本が核兵器を作り、保有するためともいわれ、使用済み核燃料の再生施設の建設もこれにつながります。

しかし、ロシアが追い詰められれば核兵器の使用を示唆するように、核兵器を保有するだけではもはや抑止力になりません

トランプ前政権以来、防衛費をGDP2%に向けて増やすよう圧力がかかり、岸田政権も思い切った増額に踏み切りましたが、予算の拡大で了解を取り、その使い方、支出の先は日本が独自に決められればまだやりようがあります。ただ米国から兵器を購入するのではなく、日本の防衛産業に資金を回し、日本の生産に寄与すれば、多少なりとも成長に寄与できます。

日本生き残りには米国も巻き込んだ新開発

日米安保条約により、米軍に日本の防衛を依頼する「手数料」として5年で43兆円も60兆円も使ったところで、いざというときに米国が命を懸けて日本を守ってくれるという保証はありません

戦うのは日本で、米国は側面支援にとどまります。それなら日本が独自に防衛する体制を整える必要があります。

その点、核兵器による核抑止は前述のとおり当てになりません。しかも核兵器で最初に犠牲になった日本が核武装に出るには大きな反発が予想されます。

日本に残された道は、高い技術力を生かし、敵が核兵器を使用する際に、そのスイッチを破壊するレーザー兵器の開発保有がより有力となります。

もっとも、日本がそれを手にすれば困る核保有国がたくさんあります。この兵器の使い方によっては、核兵器を遠隔で爆破することも不可能ではなく、核を保有すること自体が最大のリスクになるからです。核廃絶には、これ以上の「脅し」はありません。

ただ、日本が単独で開発すれば、当然これを邪魔しにかかる勢力がいて潰されます。

従って、潰す可能性のある相手を巻き込んで共同開発するのも一案です。

同様に有力な4番打者候補になる産業として、フリーエネルギー分野があります。地球に降り注ぐ電磁波などエネルギー源を個人ベースでエネルギー転換するパラボラアンテナを開発すれば、既存の電力会社は不要になります。もっとも、これを悪用して兵器化する事態には法制面からも厳格なチェックが必要になります。これもライバル国との共同開発が無難かと思います。 

                                                                                                                     (以上、記事抜粋)




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