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新会社「レゾナック」が挑むポートフォリオ再編と“共創型化学会社”への変革

名須川 楓太(Biz/Zine編集部) [著]

2023/01/19 

 202311日、日本の化学業界で大きな動きがあった。昭和電工株式会社と昭和電工マテリアルズ株式会社(旧 日立化成)が統合し、新会社「株式会社レゾナック」が発足されたのである。本稿では、レゾナック誕生と同社が取り組む事業ポートフォリオの見直し、そして新たに発表された共創型化学会社への変革に向けた3つのプロジェクトについて、レゾナック・ホールディングス 代表取締役社長 兼 レゾナック 代表取締役社長の髙橋 秀仁氏が自ら詳細を語った117日の記者発表会の模様をレポートする。



Ø  昭和電工が2の創業へ。経営者が語る想い

 会見は、髙橋 秀仁氏(以下、髙橋氏)の「歴史ある化学メーカー2社の統合により誕生したレゾナックは、石油化学を中心とした総合化学メーカーから、世界トップクラスの機能性化学メーカーへと進化します」という言葉で始まった。昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧 日立化成)の統合による新会社の誕生を、同社は2の創業と位置づけている。 

 今回の統合に向けては、2020年に昭和電工が当時の日立化成を買収し子会社としてから、少しずつ準備が進められてきたという。 

この買収判断には、当時昭和電工の代表取締役常務執行役員CSOを務めていた髙橋氏も携わっている。 

 同氏はかつて、銀行で勤めていた経歴を持つ1986年に三菱銀行(現 三菱UFJ銀行)に入行。MBA取得後は11年間海外へと渡り、日本の製造業を金融面でサポートする仕事に従事してきた。その間に感じた課題が、現在レゾナックの代表取締役社長として立っている髙橋氏の、経営と向き合う姿勢に大きな影響を与えているという。その課題とは何か。 

 それは、「日本のものづくり技術は間違いなく世界で一流であるのに、経営には課題が山積している」ということであった。 

ここから髙橋氏の「日本の技術を背負って世界に通用する会社をつくりたい」という想いが生まれたのだという。 

同氏は帰国後GEに転職。その後いくつかの事業責任者、外資系企業の日本代表などを経て2015年、昭和電工に戦略企画部長として入社した。 

「昭和電工に入社してまず感じたのは、この会社には優秀な技術者がたくさんいる。そして、若者の目が輝いているということでした。

一方、ポートフォリオに目を向けてみると、大きな課題がたくさんありました」(髙橋氏)

  大きな課題とは事業の収益性が低いこと、安定性に欠けていること、そして成長事業を持っていないこと」であったという。

 そこで髙橋氏は、ポートフォリオ改革の断行を決意することとなった。まずは収益性を改善するため、SGL社の黒鉛電極事業を買収当時、SGL社の黒鉛電極事業は世界第2位の規模で、昭和電工の黒鉛電極事業は第3位の規模であった。2社の黒鉛電極事業が統合したことで、昭和電工は同事業において業界トップシェアの地位を確立した。収益性も大幅に改善したという。

  次に踏み切ったのは、半導体材料の分野において大きな強みを持つ日立化成の買収であった。 これにより、新たに誕生したレゾナックは、世界一の半導体「後工程」材料メーカーになったと髙橋氏は語る。 後工程とは、半導体製造における組み立ての工程を指す。

 

 コングロマリット・ディスカウントを最小限に抑えるため、株主目線でポートフォリオの見直しを行い続けることが重要だと、髙橋氏は語る。ポートフォリオの見直しにおいては、以下3つのクライテリアに照らし合わせて選択と集中を進めていくという。 

  • 採算性と資本効率:その事業がレゾナックの要求する採算性と資本効率のハードルをクリアしているか 
  • 戦略・適合性  :その事業がレゾナックの戦略に適合しているか 
  • ベストオーナー :その事業のベストオーナーがレゾナックであるか

こうしたポートフォリオの改善を図る中で、レゾナックは「半導体・電子材料」を コア成長事業と定義した。


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