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あのグーグルが震え上がっている「新技術」の正体

じわり話題になっている「チャットGPT」の脅威

The New York Times

2023年01月17日

過去30年にわたり、ネットスケープのウェブブラウザ、グーグルの検索エンジン、アップルのiPhoneといった一握りの製品がテック業界をまさにひっくり返し、それまでの製品を時代遅れのどんくさい恐竜のような存在に変えてきた。そして昨年11月、実験的なチャットボット「チャットGPT」がテック業界の次の大きな破壊者に名乗り出た。 このチャットボットは、インターネットリンクの単なる羅列ではなく、明確かつシンプルな文章で情報を提供することができる。人間に理解しやすい形で概念を説明することもでき、ビジネス戦略、クリスマスプレゼントの提案、ブログのネタ、休暇の計画といったアイデアをゼロから生み出すことさえ可能だ。


グーグルに鳴り響く「厳戒警報」

チャットGPTにはなお改善の余地が多いものの、そのリリースを受けてグーグルの経営陣は「厳戒警報」を発することになった。グーグルにとってこれは、火災報知器のスイッチを押すような事態だったわけだ。

グーグルにはシリコンバレーの大企業たちが恐れる瞬間、すなわちビジネスを根底から覆しかねない巨大な技術革新の到来が近づいているのではないか、と危惧する声が上がるようになっている。

グーグルの検索エンジンは20年以上にわたり、世界中でインターネットの第1のゲートウェイ(入り口)となってきた。

ところが、従来の検索エンジンを再発明する、あるいはそれに取って代わろうとする新種のチャットボット技術が登場したことで、グーグルは収益柱である検索ビジネスに対する深刻な脅威に初めて直面する可能性が出てきた。

グーグルのある幹部は、ここでの取り組みがグーグルの社運を左右すると述べている。

チャットGPTは、人工知能(AI)の野心的な研究所「オープンAIによってリリースされた。この技術の構築には多くの企業や研究所、研究者が協力しており、そこにはグーグルも含まれる。それでも専門家たちは、こうしたチャットボットを開発する小規模な新興企業との競争にグーグルは苦戦するおそれがあると考えている。

このテクノロジーが、さまざまな意味でグーグルのビジネスに打撃を与える可能性があるからだ。

既存の広告ビジネスが足かせに

グーグルはすでに、チャットGPTに対抗しうるチャットボットを作り上げている。

実際、オープンAIのチャットボットの中核技術は、グーグルの研究者たちが開発したものだ。

グーグルのチャットボット「LaMDA(ラムダ)」は2022年夏、グーグルのエンジニア、ブレイク・ルモワンが「意識を獲得した」と主張し、大きな注目を浴びた。これは事実ではなかったが、このテクノロジーはここ何カ月かでチャットボット技術がどれほど進歩したかを示すこととなった。とはいえ、グーグルはこの新たな技術をオンライン検索に代わるものとして展開するのに乗り気ではない可能性がある。

同社の昨年の売上高の8割以上を占めるデジタル広告の配信には向かない技術だからだ

「無敵の企業など存在しない。すべての企業が脆弱だ」。

シリコンバレーの歴史を専門に研究するワシントン大学のマーガレット・オマラ教授は、「1つの市場を定義するような並外れた成功を収めた企業が、何かまったく別のもので第2幕を上げるのは難しい」と指摘する。

新たなチャットボットは、インターネットに投稿された膨大な量のデータを分析してスキルを学習するため、うそと真実をごっちゃにする傾向がある。

こうしたチャットボットは女性や有色人種に対する偏見を含んだ情報を提供したり、ヘイトスピーチなどの有害な言葉を生成したりする場合があるということだ。そうした問題のすべてがグーグルに対する反感を人々に抱かせ、同社が数十年かけて築いてきた企業ブランドにダメージとなりかねない。

だが、オープンAIが示してきたように、新興企業は成長のチャンスと引き換えに、進んで反発を受けるリスクを冒してくるとみられる。

たとえグーグルがチャットボットを完全なものに仕上げられたとしても、今度は別の問題に直面することになる。

このテクノロジーに、ドル箱の検索広告が食われてしまわないかという問題だ。

チャットボットが簡潔な文章で質問に答えてくれるようになったら、人々が広告リンクをクリックする理由は減る

「グーグルはビジネスモデルの問題を抱えている」。

ヤフーとグーグルで働いた経験があり、現在は同様の技術を開発するスタートアップ企業ヴェクタラを経営するアムル・アワダラは、「グーグル検索で毎回完璧な答えが返ってきたとしたら、どの広告もクリックされなくなる」と話す。

 

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