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もう自動車依存経済は限界

2022年12月10日

斎藤満

40年も次のトップ産業が育たず、EV出遅れで家電の二の舞に

この 40 年、日本は自動車産業に支えられる経済を続けてきました。しかし、トップ産業を長年続けるなかで、商品供給と市場構造とが次第に乖離するようになり、さらに EV への立ち遅れを突いて、中国製 EV 車が日本に殴り込みをかけてきました。

このままではアジアに取って代わられた家電業界の二の舞になりかねません。



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戦後の日本ではトップ企業が所属する業界が10年ごとに変わりました。このため、リーディング産業の寿命10年説がありました。戦後10年ごとのリーディング産業は順に、繊維、造船、鉄鋼、自動車と移り変わりましたが、自動車の後が続きません。この40年、日本は自動車産業に支えられる経済を続けてきました。

自動車産業の生産額は製造業全体の15%を占め、その巨大なピラミド構造から、多数の下請け企業群を引き連れて、日本経済全体に大きな影響を持ち続けてきました。

しかし、トップ産業を長年続けるなかで、商品供給と市場構造とが次第に乖離するようになり、さらにEVへの立ち遅れを突いて、中国製EV車が日本に殴り込みをかけてきました。このままではアジアに取って代わられた家電業界の二の舞になりかねません。

     (中略)

家電の二の舞に?

自動車がガソリン車からEVにシフトすると、かつて日本が家電の優位性を失った状況が重なって見えます。

そもそもは日本の技術が世界で評価され、世界の市場に受け入れられましたが、その技術が韓国、台湾から東南アジアに広がると、技術格差が縮まり、代わってコスト面の優位性を持つ東南アジアに取って代わられるようになりました。ガソリン車のような優位性がなくなると、技術面で差がつきにくいEVでも、かつての家電と同様、コストの安い地域での生産が優位となります。中国が量の拡大を進めれば、さらに単価の引き下げが可能となり、市場での優位性を広げます。日本にも1440万円のEVを持ち込み、勝負に出ています。これに対抗できる日本のEV日産の一部のEVに限られます

日本がコスト競争に参加すれば、政府が求める賃上げが難しくなり、技術で優位性を得るには、電池の優位性で差別化するか、内燃機関の優位性を生かす水素エンジン車で活路を開くしかありません。しかし、これは個別企業任せでは済まない問題で、国を挙げて戦略を練る必要があります。

もともとEVシフトは、自動車業界で世界をリードする日本とドイツを叩くための国際戦略の面も指摘されます。

米国の伝統的な自動車産業も日独に劣勢であったため、EVシフトで挽回のチャンスを狙っていますが、ここまではテスラの後塵を拝しています。

 世界の自動車戦争で日独が狙われたのなら、日本はこれに対抗する脱炭素下での自動車技術で対抗するしかありません。




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