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日本企業「人に投資しないクセ」が矛盾だらけの訳

一守 靖 : 事業創造大学院大学 事業創造研究科教授

  2022年10月27日

 人々の知識、スキル、能力などを指す「人的資本」への投資を増やすべきであるという考え方が注目を集めている。

一方で、そこには「企業で良く見られる人材マネジメント上の矛盾がある」と指摘するのは、事業創造大学院大学の一守靖教授。



【日本企業における一般的な人事制度:職能資格制度

ジョブ型雇用の導入が拡がりつつあるとはいえ、まだまだ日本企業の多くが「職能資格制度」という人事制度を採用している。「職能資格制度」とは、職務の遂行能力に応じて社内の資格等級が決まり、その資格等級に応じて賃金が決まる、日本的雇用慣行の中心となる制度である。また、この制度は、「ヒト」の属性(能力や勤続年数など)を基準としているので、「人基準」の人事・賃金制度だといわれる。

この「人基準」の人事・賃金制度を中心に、新卒採用、長期雇用、ならびにそれを支えるしくみとしての職種転換をも含んだジョブ・ローテーション強い人事部などが、日本的雇用慣行の特徴である。 

新卒採用であるため、採用時点では仕事の専門性は期待せず、採用後の順応性や学習能力を期待しての採用となる。

「本来のルール」では、職能、すなわち職務遂行能力は、一度獲得すれば下がることがない能力という捉え方をしてきた。そのため、1歳年を取ればその分だけ能力が向上するので、年齢給や職能給を自動的に上げたのである。これが定期昇給であり、いわゆる年功賃金はこうして形成されてきたのである。

しかし今では、毎年自動的に賃金が上昇することが経営的に耐えられなくなり、制度としては存在するものの定期昇給を中止または延期する企業も増えてきた。

 

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