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円安こそ日本再興の道

1ドル360円時代に経済成長、1989年以降の円高で国力を落とした日本経済史

山崎和邦

20221018

ファンダメンタル要素を無視して、日本政府は相場介入したが、完全なる無駄に終わった。そもそも望ましい為替レートは何円なのだろうか? 日本の経済史を振り返ると1ドル360円時代に高度成長し、1989年以降、円高となって国力を落としたというのが歴史的事実だ。円安は日本にとって基本的に望ましいものなのだ。



円安が適度かどうかを決めるのは総理や蔵相ではない

このことは922日の運命の合致日での介入時から本稿で言い続けたが、案の定、先週は9月の物価高が予想を上回り、円売りドル買いに弾みがついた。円ドル為替市場は当該国の貿易収支と、目先的には金利差がファンダメンタル要素として大きいが、それらをそのままにして、むしろ意図的に金利差を大きくしたまま「超緩和維持」してきた結果、先週は遂に922日の相場操縦日を超えて32年ぶりに147円台をつけた。

岸田総理も鈴木財務相も、投機を旨とした「行き過ぎた円安」は望ましくないと言い、口先介入に務めたが、効き目は薄いか無いかであろう。

投機筋の動きとはそういうものだ。それを知っているのは相場師で策士の日銀総裁であろう。

 「行き過ぎた円安」か「適度の円安」か、総理や蔵相が決めるものではない

 ※) ファンダメンタルズとは、国や企業などの経済状態などを表す指標のことで、「経済の基礎的条件」と訳され、国や地域の場合、経済成長率、物価上昇率、財政収支 などがこれに当たり、企業の場合は、売上高や利益といった業績や資産、負債などの財務状況が挙げられます。

望ましい為替レートはいくら?「悪い円安論」「良い円安論」

どのレベルが望ましい為替レートであるのか、何が正常なレートなのか、こういうことを議論なしに、何年ぶりの円高だからとか、何年ぶりの円安だからという議論が極めて多い。国民経済全体の物差しで測った時に、何が正常か、何が望ましいかを最初にきちんと議論しておく必要がある。この議論なしに「良い円安だ、悪い円安だ」と議論してもあまり意味がない。何を基準にして「行き過ぎた円安」「行き過ぎた円高」なのかが曖昧である。

何が望ましいのか。

高度成長期と言われた1955年~1973年辺りの18年間1955年~1973年)のうちの16年間は、円ドルレートは1ドル360円の固定相場制だった。この時に、日本経済は最も勢いよく成長した。GDP7年間で2になった。成長は一部分では副作用を生むが、今の日本にとって何よりも成長が重要である。高度成長期の円ドル相場が最高だった。つまり360円だという理屈も成り立たないことはない。そして、円高の時に日本経済の成長は疎外されたのだ。これは1989年末に三重野康が日銀総裁に就任した頃から、95年の阪神淡路大震災を経て、2011年の東日本大震災を経て、2012年の安倍政権成立時までが 円高時代と言える。

この時代に日本は経済大国の座を失いそうになった。それを「経済を取り戻す」と叫んで出たのが、アベノミクスである。

 

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山崎和邦氏 プロフィール

1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。

野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴61年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家かつ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。2022年、85歳にて博士号取得(国際コミュニケーション学)。趣味はゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。著書に「投機学入門―不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)、「株で4倍儲ける本」(中経出版)等。




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