おがわの音♪ 第1317 版の配信★


電池技術の特許で強い日本、リサイクルでは規模が不足?

蓄電に関連する国際特許の年間成長率 出典:欧州特許庁

2022.10.17.

東芝が20221013日に、リチウムイオン二次電池関連技術の特許総合力ランキングについて、日米欧全てにおいて1位を獲得したと発表しました。
より具体的には、特許を分析するパテント・リザルトが20229月に実施した、チタン酸リチウム(LTO)を中心とする「リチウムイオン二次電池用酸化物系負極 関連技術」の特許調査において、1位を獲得したそうです。ちなみに日本での結果(=日本の特許庁が公開した結果を基に集計したという意味)は、1東芝2位は韓国LG Energy Solution3位が日本ケミコン、4位が太平洋セメント、5位が昭和電工となっています。
米国の特許庁が公開したデータでは、1東芝2位がGlobal Graphene Group3位がLG Energy Solution4位が
Medtronic5位がSamsung SDIというランキングになりました。



また、20209月と古い発表にはなりますが、欧州特許庁および国際エネルギー機関は、電池技術に関する世界特許出願数において、2018年に日本が全体の3分の1以上を占めて「圧倒的世界ナンバー1になったと報告しました。


電池技術関連特許出願数、日本が世界トップ https://re.itmedia.jp/DPN7Jlb2

電池技術における国別特許数の推移 出典:欧州特許庁

2000~2018年までの電池技術の特許出願件数トップ25社 出典:欧州特許庁


日本は、今話題の全固体電池でも多数の特許を取得しています。
バッテリーは、カーボンニュートラルや省資源化、そしてサプライチェーンの確保といった観点でも、大きなポイントとなっています。
特にリチウムイオン二次電池は、リチウムやコバルト、ニッケルなどのレアメタルが使われることもあり、議論の焦点が、製造や調達から、いかにリユースやリサイクルができるかに移行し始めています。特EV(電気自動車)を手掛ける自動車メーカー各社は、リチウムイオン二次電池の高度なリサイクル技術の開発を急いでいます

とはいえ、少し気になるのが日本における市場規模です。

バッテリー関連の計測事業に注力する日置電機は、「リチウムイオン二次電池のリユースやリサイクルが成り立つためには、ある程度の市場規模が必要だ。だが、日本では、特にEVの中古車の価値が低く見積もられ、市場がほとんど機能していない」と指摘します。

それに比べ海外、とりわけ中国のEV市場は巨大です。

市場が巨大だと、サプライチェーンの構築でも必然的に有利になります。当然、バッテリーのリサイクルやリユース技術の開発やビジネスも加速するでしょう。
電池の材料/製造技術に強い日本ですが、リサイクル/リユースの分野で後れを取らないか、少し懸念しています。

リサイクルやリユース技術の重要性は今後、必ず高まるとみられているので、この領域でもぜひ、日本の強みを発揮してほしいと思っています。 

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