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この夏の世界の異常気象

 パキスタン南部シンド州で2022年9月3日、洪水の被害に遭った人たちを救助するパキスタン軍関係者=ロイター

佐々木凌、関根慎一

2022年9月7日 

  異常気象が世界各地を襲っている。記録的な大雨が降ったパキスタンでは国土の約3分の1が冠水 (動画LINK)したとされる一方、内陸部が猛暑と小雨に見舞われた中国では大河・長江が干上がった。「500年に1度」の干ばつに直面する欧州では経済に深刻な影響が出ている。気候変動は日本でも人気のあのワインの産地にも暗い影を落としている。




 パキスタンや近隣国ではこの1、2カ月、異常気象による大雨や洪水被害が相次いでいる。

特に大きな被害が出ているパキスタン南部シンド州の村に住む土木作業員のムハンマド・ブッチャル・ブットーさん(35)は、朝日新聞の電話取材に、「こんな大きな被害が出るとは想像もしていなかった。村全体が水につかり、一番安全だと思う自宅の屋根に2週間以上避難している」と話した。

 ブットーさんによると、自宅周辺には先月18日から大雨が降り続き、2キロほど離れているインダス川の水位が上昇。翌日夜になって村の道路が冠水し、平屋の自宅の中まで浸水し始めたため、妻や2~13歳の子どもたち4人を平屋の自宅屋根に避難させた。水位は23日に2メートル近くまで上昇。周囲にある泥でできた民家の多くが倒壊するのを見て、「パニックになった。どうか助けて欲しいと祈り続けた」

 一家は、保管していたお米や救助隊の支給品などを食べて飢えをしのいだ。火をおこす薪は水にぬれてほとんど使えない。

自宅近くの道路は今も足首近くまで冠水し、家の中も浸水したまま。下の2歳の息子は下痢や吐き気で苦しむようになった。

「この2週間余り、仕事も何もできていない。食事も医者も薬も足りない」と訴えた。

 国連などによると、パキスタンでは6月中旬から雨期が始まったが、シンド州や南西部バルチスタン州では過去30年の平均の5・5倍超の降雨量を観測国内各地で洪水や土砂崩れなども相次ぎ、今月4日時点で子ども450人を含む1290人以上が死亡し、約4900人が負傷したという。

 政府は国内の約3300万人が影響を受け、全土の約3分の1が何らかの被害を受けたと説明している。原因については、異常気象による大雨のほか、4~5月に猛暑が続いて北部にある山岳地帯の氷河が解けたという指摘や排水設備などのインフラが不十分だったとの声もあがる。

 同国のレーマン気候変動相は英ガーディアン紙のインタビューで、「地球温暖化は、世界が直面する実在する危機であり、パキスタンはその震源地になっている。(我々の温室効果ガスの)排出量は世界全体の1%に満たないのにだ」と指摘。

排出量が多く、経済発展を遂げてきた西側諸国などに責任があるとして、各国に支援や対策を求めた。

 

仏ボージョレ 以前は10月半ばに収穫、今は8月半ば

 パキスタンはコロナ禍や世界的な食料・燃料価格の高騰などで経済が低迷し、4月にはカーン首相の不信任決議が可決された。ロイター通信によると、8月の消費者物価指数は前年比で27・3%も上昇。大雨では約4万8530平方キロメートルの農地が被害を受け、約73万もの家畜が犠牲になっており、今後、食料価格の更なる上昇や経済危機が懸念されている。

 国連は8月30日、半年間で520万人に食料や医療支援、シェルターなどを提供するため、国際社会に1億6千万ドル(約220億円)の拠出を要請。

グテーレス事務総長は「南アジアは世界的な気候危機のホットスポットの一つ。こうした地域に住む人々は、気候の影響によって死亡する可能性が15倍も高い」と指摘。「世界中で異常気象が増え続けている中、気候変動対策が後回しにされるのは言語道断だ」と訴えた。

 異常気象は隣国インドにも影響をもたらしている。今年3月に平均最高気温が過去122年で最高を記録。熱波の影響で気温が50度を超える地域も出た。

政府は5月、世界有数の生産量を誇る小麦の輸出を停止。世界的な小麦の需要増加による価格高騰や猛暑による収穫量の減少などが理由だという。 

( 出典 : 朝日新聞デジタル )

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これまで、異常気象の原因の大半は、偏西風の蛇行や台風などの気象擾乱、エルニーニョといった大気の内部変動や海洋との相互作用とされてきました。  しかし最近は、大気中の温室効果ガス濃度の高まりに伴って地球の平均気温が上昇することで、降雨パターンが変動し、異常気象の発生頻度が高まったとされています。




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