おがわの音♪ 第1276版の配信★


インドが小麦輸出禁止の衝撃

2022.5.24.

先行きの不確定要素が増える中で、わが国が自律的な景気回復を目指すことは難しい。

賃金が増えない一方、食品など日々の生活への支出負担が高まり、余暇への支出を減らさざるを得なくなる家庭は急増する恐れが強い 

わが国の個人消費は一段と減少し、経済の停滞懸念は追加的に高まるだろう。



* 一部の国では食糧危機というべき事態も

 世界的な物価上昇圧力はさらに高まる 

5月15日までに、インド政府は国内の需要を優先させるため小麦輸出を一時禁止した

これまでインドは、ウクライナ危機の発生直後にアフリカ諸国やトルコなどへの小麦輸出拡大を目指した。 

しかし、インドでの天候不順による減産懸念もあり、国内需要をまず優先させる方針に転換した。

インドでは小麦価格の高騰に不満が高まり、政府は輸出禁止を余儀なくされた。

小麦以外の穀物や食用油の輸出を制限する国も増えている一部の国では食糧危機というべき事態も発生している。

ウクライナ危機や異常気象など複合的な要因によって、穀物などの価格は上昇し、世界的な物価上昇圧力はさらに高まるだろう。それは、わが国の家計に非常に大きな負の影響をもたらす。

今後、円安と、穀物やエネルギー資源などの価格上昇によって、輸入物価は上昇基調で推移する可能性が高い。

日常生活に欠かせない食品や電力などの価格はさらに上昇するだろう。

コストアップに対応して収益を守るため、値上げに踏み切る企業も急速に増加し始めた。

一方で、わが国経済の実力は低下しており、実質ベースで賃金が増えていない。私たちの日常生活の苦しさは、一段と増す展開が危惧される。

 

* 南米、東南アジア、中東も…各国の食糧危機が政情不安へ発展 

 インドが小麦輸出の一時停止を発表せざるを得ない状況に追い込まれた。背景には複合的な要因が影響している。

まず、コロナショックによって世界全体でサプライチェーンが寸断され、物流コストが上昇した。さらにウクライナ危機が発生し、世界の小麦輸出の4分の1を占めるといわれるウクライナとロシアからの供給が急減した。 

 ロシア産の原油や天然ガスの供給減少によって、世界全体でエネルギー価格も上昇している。ロシアからのカリウム供給減も重なり、肥料価格も高騰している。そして4月下旬、インドやパキスタンで記録的な熱波が発生して人々の生命が脅かされ、小麦など穀物価格の上昇に拍車がかかっている。

そうした状況下、インド政府は国民の安心と健康を守るため、小麦の国内供給を優先した。

 世界の食糧事情は緊迫し、一部で食糧危機の懸念が高まっている。

アルゼンチン財政赤字を補填するために大豆粉と油の輸出税率を引き上げた。ブラジルでは干ばつによって大豆の生産見通しが悪化している。また、インドネシア政府が国内向けの食用油の供給を優先するためにパーム油の輸出を禁止し、価格が上昇している。ウクライナが主要生産国のヒマワリ油の価格も上昇し、食用油は軒並み高騰している。

肥料価格の高騰によってアジアのコメ生産量の減少懸念も高まっている。

 食糧価格の高騰によって一部の新興国では人々の不満が急増し、政情が不安定になっている。

パキスタンではカーン前首相が失職した。中東諸国では4月のラマダン(断食月)期間を食糧価格の高騰が直撃し、世界最大の小麦輸入国であるエジプトではパン価格の急騰が低所得層を直撃している。

 スリランカでは物価高騰によってラジャパクサ政権への不満が噴出、非常事態宣言が出るほど混乱している。

多くの国でコロナ対策のために財政支出が増大したため、追加的な支出によって食糧価格を安定させることは難しいようだ。




 ☞ 最後までお読みいただき、有り難うございました。

*** 皆さん、お忙しいとは思いますが、ご意見・ご感想など BLOG』のコメントを頂きながら、

  双方向での 【やり取り】 が できれば、大変嬉しく思います!!   
  もちろん、直接メール返信でもOK ! です。 ^_^ *** 

メール・BLOG の転送厳禁です!!  よろしくお願いします。