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世界的に注目されるWeb3.0

“Code is Law(コードこそが法律である)”──。

米国の法学者ローレンス・レッシグ氏が、サイバー空間における統治のあり方に一石を投じたのが2000年代初頭。ソフトウェアのソースコードは人々の行動を規定し、法規則と同じ重要性を持つと論じた氏の説は、今でも政策当局者や専門家がたびたび引き合いに出す「格言」として知られる。

一方で、現在のインターネットは「GAFA」の寡占状態となっている。

“Code is Law”の決まりに従えば、コードを支配するGAFAには、誰もあらがえなくなっているのが現状だ。そうした構図へのカウンターアクションとして生まれた概念が「Web3.0」だ。

昨年ごろから暗号資産やブロックチェーン業界の関係者が使い始めた。08年のリーマンショック後、既存の金融システムへの不信や不満に応えるかのように、ビットコインが誕生した経緯と重なる面も多い。



 * 世界的に注目されるWeb3.0

 最近、世界的に「Web3.0(スリー)」が注目を集めている。

WEB 3.0により、プライベート型のブロックチェーン技術を用いて、個人が公正なデータの管理などのメリットを享受できる。

そうした取り組みを加速させる企業の一つに、米国のDapper Labs(ダッパー・ラボ)がある。

同社は処理能力の高いブロックチェーンを開発し、「非代替性トークン」Non-Fungible Token、NFT、電子的な証明書)の発行と流通を可能にした。 

それを用いた、米NBAのスーパープレー動画を記録したNFT取引が、過熱している。

国内でも大手芸能事務所などがNFTビジネスに参入している。ただ、短期間に、GAFAM (Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)を頂点とした世界のIT業界の構図が崩れ、Web3.0に移行するとは想定しづらい。

今後、IT先端分野での競争は激化するだろう。

  その中で、ブロックチェーンなど新しいデジタル技術の利用が増え、分散型中央集権型のシステム運営が並走する状況が続く可能性が高い。その中で、より効率的かつ持続的に付加価値を生み出す技術が評価されるはずだ。

言い換えれば、IT先端分野の環境変化のスピードは加速し、淘汰される企業が増える。

 行政を中心にデジタル化の遅れ深刻なわが国の、デジタル・ディバイド(情報格差)が鮮明化することが懸念される。

 

* ウェブ3.0は金融にも変革をもたらす

 1990年代から2000年9月の米ITバブル崩壊まで、米国から世界へITサービスが広がった。

その一つに、ヤフーは検索機能や電子メールのサービスを提供し、経済運営の効率性が高まった。

この時代を「Web 1.0(ワン)」と呼ぶ。

 次に03年ごろ、世界はWeb2.0(ツー)に移行したと考えられる。

当時、広告シェアにおいてグーグルがヤフーを超えた。

グーグルは広告収入を増やし、クラウドサービス事業などに資金を再配分してプラットフォーマーとしての地位を固めた。

その後、アマゾンドットコムなどの急成長によってデジタル化は加速し、IT業界は寡占化した。 

その結果、個人のデータが、一部の大手企業に集中した。 

 今度は、Web3.0が、そうした中央集権的なネット業界の構造を変えると期待されている。

分散型のネットワークテクノロジーであるブロックチェーンによって、特定の組織の影響力が低下するのが特徴だ。

 ブロックチェーンは、所有権など個人のデータを記録し、参加者の相互承認によってその取引を行う。理論上、改竄(かいざん)は不可能だ。取引の一例が、仮想通貨のビットコインである。

 ビットコインを入手したい人は、一種の数学のクイズを解く。解答が正当か否かを全参加者が確認し、承認する。承認された解答者はビットコインを手に入れる。

そうして、この取引のデータ(ブロック)が、過去から鎖のように連なるデータに付け加えられる。

 一連の作業は、特定の監視者ではなく、システムが自律的に行う

誰がどれだけのビットコインを保有しているかは、企業ではなく分散型のネットワークシステムが管理する。

 この技術を用いたWeb3.0 の世界では、個人が自らのデータをよりよく管理し、その利用から利得を手にすることができると期待されている。

 Web 3.0は金融にも変革をもたらす。

銀行が預金を集めて信用審査を行い、信用を供与するのではなく、ブロックチェーン上で資産価額が評価され、融資が行われる。これにより金融ビジネスは、「分散型金融」Decentralized FinanceDeFiディファイ)に向かうとみられている。 

システム上で資産の所有権や価値の評価などが行われるため、店舗運営などのコストが低下し、効率性が向上することが注目点だ。

 ・DeFiは中央管理者を必要としない分散型金融のこと

 ・手数料が安く、地域の垣根を超えて誰でも金融サービスを利用できる

 ・DeFiの誕生で仮想通貨での金利収入も得られるようになる

 DeFiは誕生して日が浅く、信用できる実績が乏しく過熱した結果、バブル崩壊のリスクもあります。

補償もなくトラブルが起きても自己責任のため、これらを留意して利用することが大切です。

いきなりDeFiを始めるのではなく、まずは仮想通貨取引で経験を積んでいくのがおすすめです。 

* IT業界の競争激化わが国への影響

 世界経済はWeb2.0から3.0への移行期にあると考えられる。

とはいえ、ブロックチェーンの利用が増えたとしても、中央集権的な仕組みはなくならないだろう。

米FRB(連邦準備制度理事会)や日本銀行などは、「中央銀行デジタル通貨」(CBDC)に関する研究を進めている。

パブリック型のブロックチェーンの利用が進むことによって、中央集権的な経済や社会の運営は続く。

また、GAFAMのような大手IT企業が、Web3.0企業を買収するなどして、中央集権的なネット運営が続くことも考えられる。

その一方で、ダッパー・ラボのように処理速度の速いブロックチェーン技術を開発し、人々の新しい取り組みや欲求を刺激できる企業は、競争に生き残る可能性がある。

 また、現在のWeb3.0への期待には、「行き過ぎ」の部分がある。そう考える理由の一つに、世界で金融政策の正常化および引き締めが進んでいることが挙げられる。物価の高騰によって、米国をはじめ世界の主要中央銀行は利上げやバランスシートの縮小を急ぎ始めた。

世界的に金利上昇圧力は高まり、米国のナスダック上場銘柄など、期待先行で上昇した株は売られるだろう。

 それに伴って、Web3.0への期待を集めたスタートアップ企業不安定化し、ビジネスの継続に行き詰まる展開も予想される。2000年のITバブル崩壊の時のような状況が、再来する可能性は排除できない。NFT関連の規制も強化されるだろう。

 今後、Web2.0を牽引した企業と、ブロックチェーン開発を進めてNFT取引の拡大を目指す新興企業の競争が激化するはずだ。ひるがえって、わが国には米国や中国の有力プラットフォーマーに匹敵する企業が見当たらない。

ダッパー・ラボのように新しく社会の関心と期待をさらうような企業も少ない。

 ウクライナ危機をきっかけに、世界経済の分断は深まり、各国の経済運営の効率性も低下するだろう。

それは、外需依存度が高まるわが国にマイナス影響をもたらす。 

  Web2.0からWeb3.0へ、世界が加速度的にシフトする中、わが国のデジタル・ディバイドぶりは一段と鮮明化する恐れがある。


急速に注目が集まっている一方で、まだ発展途上にある「メタバース」や「Web3.0」などの概念について理解している人は多くありません。

私たちがこれから考えるべきは、Web3 とメタバースによって生まれるデジタルファーストの社会で、いかに人々を巻き込み、共に成長をしていけるか ! です。

☞ 少し難解ですが、「本質理解」のために、是非一読いただければと思います。

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