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おがわの音♪ 第1263版の配信★


日本人の「戦争」に関する意識

ウクライナ・コントロールマップ

2022.04.25

 日本人は、自然災害には非常に敏感に反応しますが、「人為的な危機」という状態に関して、必ずしもウクライナ侵攻のような「戦争(軍事侵攻)」ばかりではなく、テロや通り魔のような無差別殺人のような犯罪、組織犯罪などに関しても、その内容はあまりよくできていないのではないかと思います。

 ヨーロッパだけではなく、韓国も中国も、基本的には人間が敵になるというような状況を作りだし、そのような歴史になっています。

しかし、日本の場合はそのような歴史がないので、人の作り出す危機に備えるということが少ないということになります。 


『日本人の戦争観』(吉田 裕 著から

本書は、戦後50年を前に『世界』に連載され(1994年9~11月,95年1~5月)、1995年7月に刊行された.「戦争観」を歴史学の分析対象にすえた本として刷りを重ね、中国・韓国でも翻訳・紹介された.

この度の文庫化にあたり、その後の10年を概観したあとがきを付してある. 

戦争体験世代の退場と、武力がむき出しとなった国際情勢の変化のなかで、われわれはいったいどんな戦争観を培っていくのか.



  単純に、日本の場合「人は困った時は助けてくれる」というものであるというように思っているということになっています。

「困った時は助け合い」などというような標語があり、昔は「歳末助け合い」などと言って、年末には寄付をするというような者があったのです。つまり、日本は基本的には「性善説」で動いているということになります。もちろん人が犯罪を起こすこともあるし、戦争を起こすことがあっても、その戦争が無くなれば、元通り仲良くなれるというような感覚でいるということになります

 これは、日本の歴史がそのようになっていたということを示しているのです

日本は世界で最も古い王朝であるということが「ギネスブック」に出ています。 

それは、一つの王朝が滅ぼされなかったということを意味し、戦争などにおいて主権を奪われた経験がなく、日本人は常に日本人の政治の中にいたということを意味しているのです。 

当然に異民族や異宗教の人々に戦争に負けた場合、どのようになるのかという経験はないということになります。 

そのような経験がある国が、ヨーロッパや韓国や中国ということになります。 

 ヨーロッパは、まさに戦争の歴史を繰り返しているということが言えます。 

そもそもギリシアという、民主主義的な最も古い議会制政治を行っていた国が、すぐにローマ帝国に変わられ、その後ローマも滅びて様々な王族が出てきて封建制になるのです。 

世界史的には1618年から1648年にかけて、神聖ローマ帝国(現在のドイツの位置)を中心にヨーロッパ全土で行われた「三十年戦争」があり、それによって、ヨーロッパの人口の3分の1が犠牲になったといわれ、その時から国際法の概念が出てくるということになります。この戦争は宗教的、政治的な戦争で「旧教徒と新教徒の対立」「神聖ローマ皇帝と領邦君主の対立」「国際的な主権国家間の対立特に ハプスブルク家とブルボン家の対立という三つの対立点が争点となり、なかなか終わらなかったということになる。 当然に「困った時は助け合い」などというような話がなく、他国の人を見れば殺してしまうなどというような話があったのです。 三十年戦争の同時代に生きたフランスの銅版画家ジャック=カロは、戦争の実際に遭遇して、『戦争の惨禍と不幸』という連作を残していますが、その絵は木に多くの遺体が吊り下げられているようなモノであったり、今では考えられないようなものが多いのです。

 同様のことは、中国でも韓国でもあったということになります。

中国では、日本で最も有名な例では三国志で、劉備が南に移動するときに10万人の農民が一緒に移動し、そこを攻めた曹操との間に「長坂の戦いがあったという話があります。 

劉備の妻が追い詰められて、井戸に身を投げて自殺し、子供を趙雲が鎧の内側に入れて守ったという話です。 

しかし、これは見方を変えれば、劉備という君主と一緒に移動しなければ、奴隷にされてしまうということを意味しており、それは、自分の父祖伝来の地を捨てて移動しても、奴隷になるよりはよいということであったのではないでしょうか。

その後も、モンゴル帝国や満州族に占領された経験のある中国は、辮髪(騎馬民族の髪型)を強要されたり、資産を失ったりします。

その後 共産主義が勃興し、国共内戦の後に文化大革命が出てくると、中国の人々は自分たちの歴史も、資産も全て没収され、また知的な内容も失われる「批林批孔運動」などが行われることになるのです。 

この事から、現在でも、中国人は金のネックレスなどをしている人が少なくありません。 

これはいつ「革命」が起きてもよいように、資産の多くは自分の身に着けていて、一旦緩急の時があった場合は、そのまま逃げだして、それらを換金して生きのこるということなのです。 

中国の場合は「その土地に残る」という前提ではなく異民族や異国が攻めてきたら逃げる」ということを常に覚悟しているということになるのです。  

逆に言えば、三国志の時代から土地に執着するよりは、命を失わないように逃げるということになります。

 韓国の場合は、そもそも中国に対して「女性」を貢いでいたという歴史があり、それでも中国が元の時代などは元寇の先鋒を務めさせられてしまいます。

 その上、「朝鮮戦争」がありました。

朝鮮戦争は、一時 プサン以外の都市が全て北朝鮮になったこともあり、一方で、北朝鮮が全て負けるのではないかというような時期もあったのです。つまり、朝鮮半島全てがほとんど戦場になり、なおかつ、そのすべてが昨日までの敵が日付が変わったら、別な国が支配しているというような感じになっているのです。

 もともと、日本軍がピョンヤンやソウルの地下に陣地を築いていました。

 これは、アメリカからの空襲を警戒して作られたもので、現在では地下鉄の駅など、様々に利用されています。

しかし、その後朝鮮戦争で砲撃があるなどのことがあったので、同様に「防空壕」「砲撃壕」を作らなければならないということになります。 

その結果、現在ソウルではソウルの人口の3倍の人数を収容できる防空壕砲撃用シェルター)が備わっているのです。 

そのうえ、現在でも抜き打ちで「防空訓練」があり、ソウル市内で突然空襲警報がなり、我々観光客や外国人も、一度地に伏せ、その後防空壕に入るというようなことを行います。ホテルの地下に6階までの施設があり、棚の中に水や食料や毛布だけではなく、銃や爆弾などの「抵抗するため」もしくは「自決用」の武器が備わっているのです。 

逆に言えば、そのような戦争に備えて、既に様々な内容のものが作られているということになります。

この事は、さまざまな間違いがあったり、または様々な問題を起こしたりしてしまうということになります。 

まずは、最も多いのは「日本が戦争に巻き込まれるはずがない」というような認識の人が少なくないということになります。 

ウクライナの戦争の事を見ても、実態として、日本が「同じように危機にさらされている」というような感覚は全くないということになるのです。 

 出典: 宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話



 

☆彡 最後までお読みいただき、有り難うございました。

      世界平和のために、一日も早く この「悪夢の戦争」が終結することをお祈りしています。


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