· 

日本衰退の原因は「アベノミクス」


2022.04.26.

 

 日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、黒田日銀総裁が辞任するまで円安は続くとしてその理由を解説。さらに円安は日本復活の大チャンスとした上で、日本経済再興のために政府が取るべき政策を具体的に提示しています。


 

* 日本衰退の原因はアベノミクスだ

日本の債務残高は、1,220兆円でGDPの256%であり、世界最大の借金国である。

この金利が1%で国債費は年間12兆円になり、2%となると24兆円になってしまう。3%では36兆円と予算全体と同じ額になる。

日本銀行は2021年末時点の国債保有残高が約521兆円で半分を日銀が持っている。

令和4年度予算概算の総額は、31兆1,688億円で、このうち国債費は、24兆3,393億円もある。

77%が国債費ということになる。利子支払いは8兆円であり、日銀持ち分を除く金利分として見合う。

ということで、金利上昇は政府としても国債費の膨張からできないことになる。このため、日銀の10年国債の指値オペが必要で、金利を0.25%に固定して、国債の金利1%を魅力あるものとしたいのであろう。

円安の対応策としては、指値オペで国債を日銀が吸収して、金利上昇でも国債費が増えない方向をめざすしかない。

それが終わるまでは、異次元の金融緩和を続けるしかない。

利上げができるようにするために、今までより強力な緩和が必要となる。

それにより、国債の日銀以外の保有分を減らして、金利を上げても国債費が増えないようにすることだ。ここまでを黒田総裁が行うことで、次期総裁は利上げを行える環境を作ることである。それが、黒田さんの責任範囲だ。

そのため、黒田総裁が辞任するまで、円安は止まらない。

150円もあり得る。国債吸収という円安防止策が円安を進ませるという結果になる。それと同時に、急速に財政健全化を行い、赤字財政ではなくプライマリーバランスを取り、利上げができるようにするしかない

しかし、高齢者の増加が続くことで社会保障費の支出が増えているので、この増加を抑える必要もあり、年金支給額は年々減らされることになる。消費税増税も必要になるし、社会保険料の値上げも必要になる。

その結果、日本人を貧困化させることになる。

国債を増やした元凶は、アベノミクスである。

年間30~40兆円もの国債発行を増やしたのに、それを最先端の産業育成に使わずに、国民にバラまいたことで、国債発行額が急増して、円安を止める利上げもできなくなってしまったのだ。

このような政策では、ハイインフレになるので、ダメと何度も指摘したが、聞き入れなかった。

ハイインフレで、日本人が貧乏になると、再三、このコラムでは注意してきたが、とうとう、そのような事態になってしまった。1年前まで、MMT(☜ LINK) をそれでも主張する高市さんのような政治家が跋扈して、日本の未来は暗いと注意した。

前回で、日本企業の工場回帰、農業活性化、林業復活、再生エネルギー構築などと産業育成策を提案しているが、貧困層への給付金の議論しか、国会報道に出てこない。勿論、それも必要であるが、それだけでは、日本は復活しない。

円安で、日本復活の大チャンスであることを知ってほしいのである。

円安で貧困化することは、前から分かっていることで、安倍元首相の責任重大であるが、そこで議論を止めても仕方がない。

物価統制を当分行う統制経済にするしかない。

輸入を止めて国内生産を拡充して、労働力を難民やロボットに頼ることである。

円安になるため、ベトナム人のベトナム国内での給与が日本より高くなり、ベトナムからの移民もなくなる。

このため、ミャンマーからの難民やウクライナからの避難民の労働力を得るしかない状態になってきた。

移民ではなく、難民を入れるしかない。それなら、ロシアやベラルーシからの避難民も入れればよいのである。

ここまで来たのであるから、今までの反省もするが、それだけでは終わらずに、日本復活という政策で前を向いていくしかない。

もう1つが、国債増発ができない仕組みを構築するしかない。

金本位制などの物と連動した通貨の仕組みが必要である。政治家の恣意では通貨を増やせない仕組みが必要だ。

戦後、日銀の財政ファイナンスを禁止したのに、法律趣旨を無視して政治家は、それをしてしまったことは、大きい反省である。財政赤字ができない仕組みを作ることしかない。

 

さあ、どうなりますか?

ダウンロード
円安をめぐるメリット・デメリット
20200426 国際収支の発展段階説.pdf
PDFファイル 921.0 KB


メール・BLOG の転送厳禁です!!  よろしくお願いします。