· 

25行が赤字、地方銀行「本業利益」ランキング


コロナ禍で特需的な資金需要が発生しているが……

藤原 宏成:東洋経済 記者

2022.02.14

貸し出しの利息や手数料収入など、銀行の「本業」でどれくらいの収益を上げられているのか。金融庁も注目する指標でランキングした。 

「コロナ禍で本業の収益が伸びたのは、不幸中の幸い」。

地方銀行の幹部はそう口をそろえる。

資金需要が乏しく、低金利競争から収益は厳しいまま。それが地銀を取り巻く事業環境だった。が、コロナ禍での資金繰り支援によって融資残高が増加。M&Aやビジネスマッチングで顧客を支援する機会も増え、手数料収益も拡大している。融資や手数料などの収支は「本業利益」でみるのが適切だ。

これはコア業務純益(資金利益と手数料収入から経費を引いたもの)から有価証券の利息配当金などを除外したもので、より厳しい条件で本業の儲けをみる指標だといえる。決算資料に本業利益の記載はないものの、金融庁の資料でもたびたび取り上げられ、重要視されている。


  今回、2021年度中間期の決算を基に全国99の地方銀行の本業利益を算出し、低い順に並べた。そのうち、「本業赤字」の銀行25行あった。

コロナ禍で融資や手数料収入が伸びているものの、地銀の収益を大きく改善させるものではないのが現実だ。

ワースト1位三十三銀行

2021年三重銀行第三銀行が合併したばかりで、システム統合などにかかる一時的な合併費用が増加している。この費用は2021年度がピークで、今後どれだけシナジーを出していけるかがカギだ。

2位の滋賀銀行勘定系システムの刷新を進めているため、システム投資に伴う経費が膨らんでいる。有価証券利息を含めたコア業務純益61億円の黒字となっている。

3位で福井県のトップ地銀である福井銀行は、経費率ランキングでもワースト3位(89.27%)となっており、効率性の低さが本業利益にも響いたといえる。

本業利益が4位岩手銀行経費率は76.59%だが、地銀平均の71%よりも高い。

* 手数料収入の強化が図れるか

継続的に本業赤字から抜け出せていない地銀の場合、地元の資金需要が乏しく、資金利益(貸出金利息や有価証券利息)における有価証券利息の割合が大きくなっているケースが多い。

だが、市場の動きに影響される有価証券運用に頼りきりでは、今後の安定的な利益確保はままならない。

コロナ禍による資金需要がいずれ一巡すると考えれば、手数料関連の収益をどれだけ強化できるかが本業利益改善の重要なポイントになる。 

Copyright©Toyo Keizai Inc.All Rights Reserved.


メール・BLOG の転送厳禁です!!  よろしくお願いします。