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10分寝るだけ」骨盤ストレッチ


「身長の縮み」は、老化や病気のバロメーターだ

福辻 鋭記 : アスカ鍼灸院院長

2022年01月02日

* バスタオル枕の上に寝るだけの「背骨ストレッチ」

骨盤・背骨ストレッチのやり方は、実にシンプル。

「家にあるバスタオルを丸めて枕をつくり、一日10分程度、その上に寝る」、ただそれだけです。

材料費もかかりませんし、手順を覚える必要もありません。

バスタオル枕の作り方や寝転がり方は、本書でも写真つきで詳しく紹介してあります。

枕さえ作ってしまえば、あとはどんなタイミングでやっていただいてもかまいません。

家事の合間に、入浴後に、テレビを観ながら……。すきま時間に、気軽に試してみてください。

では、なぜバスタオル枕の上に寝るだけで、いろいろな身体の悩みが解消されるのでしょうか。

答えは簡単。

骨盤・背骨ストレッチが、背骨と骨盤のつまりやゆがみを取ってくれるからです。

歳をとるにつれ背が縮んだり、やせにくくなったり、身体の調子が悪くなったりする大きな原因となっているのが、背骨と骨盤のつまりやゆがみです。

たとえば、ねこ背の人は、背骨が丸まっているため、背が低くなります。

歳をとり、背骨を支える筋肉の働きが衰えると、ますますねこ背がひどくなり、身長は縮んでいきます。

また、背骨(脊柱)は、合わせて24個前後の骨でできており、それぞれの骨と骨の間には、「椎間板」とよばれる、クッションのような役割を果たしている軟骨があります。

椎間板の約80%は水分だといわれていますが、歳をとると、その水分が少なくなり、椎間板はどんどん硬く、薄くなっていきます。ねこ背の人の場合、椎間板が間違った方向に圧迫され、さらに薄くなります。

一方、骨盤も、加齢や「脚を組んで座る」などの癖によって、少しずつゆがんでいきます。

骨盤がゆがむと、身体はそれに合わせてバランスをとろうとするため、骨盤につながっている背骨や脚の骨などもゆがんでいきます。身長が縮む原因の一つであるねこ背やO脚は、骨盤のゆがみによって生じることが多いのです。

 

* 骨盤のつまりやゆがみによって引き起こされる

さらに、背骨や骨盤がつまったりゆがんだりしていると、そこにくっついている筋肉や血管、神経がゆがんだり圧迫されたりします。すると、必要以上に負担がかかって、一部の筋肉が硬くなる、内臓を支える力が弱くなり、内臓が下がってくる、体内の各部位に必要な栄養やホルモン、神経伝達物質がいきわたらない、老廃物がうまく処理されない、といったことが起こります。

それに伴い、内臓の機能が衰えて代謝が悪くなったり、肩こりや腰痛、神経痛、冷え、むくみ、便秘などが生じやすくなったりするのです。

このように、身長の縮みは骨盤のつまりやゆがみによって引き起こされることが多く、何もせずに放っておくと、年齢を重ねれば重ねるほど背は低くなっていきます。

そして、背骨と骨盤のつまりやゆがみは、やせにくい身体をつくり、さまざまな身体の不調の原因にもなります。

つまり、身長の縮みは、老化や病気のバロメーターであるといえるのです。

もし健康診断のたびに、わずかでも身長が縮んでいたとしたら。それはあなたの体が歪んでいるからかもしれません。 

骨盤・背骨ストレッチに必要な道具は1つだけ。

それが、この「バスタオル枕」。

家庭にあるもので簡単にできるので、さっそく作ってみましょう。

身体の重みで枕がつぶれないよう、できるだけかたくバスタオルを巻いていきます。巻き終わったら、ビニールひもできつく縛ります。

枕がゆるまないようしっかり力を入れて、ひもが食い込むくらいきつく巻きましょう。

 どんな巻き方でもかまいませんが、端から端までグルグルと3往復くらいさせるとよいでしょう。 

* 骨盤ストレッチのやり方

1)バスタオル枕の上に腰を乗せ2〜3分ほどリラックス!

2)枕を腰と肩甲骨の間あたりに移動。2〜3分ほどリラックス! 

3)枕を肩甲骨の下あたりに移動。2〜3分ほどリラックス!

 バスタオルをあてる位置は大体でかまいません。身体の重みで、つまった背骨が自然に伸びていきます。

余分な力を入れず、自然に横たわりましょう。

また、ベッドの上など、やわらかいところでは効果がありません。必ず、硬い場所で行いましょう。

いつでも好きなときにやっていただいて大丈夫ですが、入浴後は筋肉がほぐれ、血行が良くなっているため、より効果的です。

【ストレッチの注意点】
背中や肩、腰にもともと痛みのある方、バスタオル枕の上に寝てみて、激しい痛みを感じる方は、専門医に相談してから行ってください。
また、妊娠中の方は行わないようにしてください。キモチがいいからといって、一日に何度もストレッチを行うのは避けましょう。
代謝が良くなるため、ストレッチの前後には水分を補給しましょう。

ストレッチ中に気分が悪くなった場合は、バスタオル枕を外し、休むようにしてください。

 本書ではほかにも同じ枕を2つ使用した「寝るだけでウエストが細くなる骨盤ストレッチ」や「筋肉をほぐす脚伸ばし体操」もご紹介しています。

 疲れた体がご紹介したストレッチで少しでも癒されるよう祈っております。  

 

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