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みずほ銀システム障害は「接待漬け」の結果

2021.09.27

今年に入って実に7回ものシステム障害に見舞われている、日本3大メガバンクの一角「みずほ銀行」。前回、「みずほ銀トラブル多発は「絶好のビジネスチャンス」当事者意識の欠如、トップ無理解どう克服?」で、読者からの質問に答える形でみずほ銀トラブルの背景や原因を考察した 米シアトル在住の中島聡さん。今回、ネットメディアが掲載したみずほ銀システム障害に関する検証記事を読みながら、その原因と思われる日本のITゼネコンのあり方と丸投げ体質を批判し、根本原因を分析。 



 私の目に止まった記事:みずほ銀システム障害の背景

これから「みずほ銀行」に起こる、ヤバすぎる現実…システムの「爆弾」を誰も処理できない(週刊現代)

 

みずほ銀行が起こしているシステム障害についての分かりやすい解説記事です。重要なのは以下の点です。

統合時、みずほは旧3行が使っていた複数の異なるシステムを生き残らせたまま、「ゲートウェイ・システム」と呼ばれる中継プログラムでそれらを繋ぎ合わせるという方針を打ち出した。

だが、この建て付けそのものに難があった。当時の事情を知るみずほ行員が言う。

「勧銀は富士通製のメインフレーム(大型コンピュータ)の『STEPS』を’88年に導入していました。また興銀は日立製のシステム『C-base』を、富士銀行は日本IBM製の『TOP』をそれぞれ持っていた。

普通、銀行が合併してシステムを統合する時は、顧客や預金などの情報をどれか一つのシステムに全て移行する『片寄せ』という方法を取ります。

しかし、みずほは合併後も『同じ担当の役員が3人いる』と揶揄されるくらい、よく言えば旧3行が対等、悪く言えばバラバラだった。そのため、各行のシステム、ひいてはベンダーとの取引を温存しようとしたのです」

 ゲートウェイ(Gateway)とは、コンピュータネットワークにおいて、通信プロトコルが異なるネットワーク同士がデータを

    やり取りする際、中継する役割を担うルータのような機能を備えた機器やそれに関するソフトウェアを意味します。

統合前にそれぞれの銀行が、別々のITゼネコンにシステムを作らせていたので、本来ならば一つのシステムに統合すべきだったのに、それぞれのシステム部門とITゼネコンが強く癒着していたために、どれも切ることが出来ず、ゲートウェイを通じて3つのシステムも無理矢理繋げて使い続けることを決めたとのことです。

 

ITゼネコンが銀行のシステム部門の人を接待漬けにしたり、天下り先を提供することにより、強い癒着関係を築いていたようです。これは決して、金融業界に限った話ではなく、日本ではこんな慣習は、政府を筆頭にあらゆるところにはびこっており、これが国全体の生産効率を下げており、ITゼネコンから国際競争力を奪っているのです。 

私の学校の同期でも、理工学部の修士号を持ちながらも銀行のシステム部門に就職し、プログラムも書かずに

接待営業や下請けベンダーの管理ばかりしている人間がいますが、本当にもったいない話です。

ちなみに、2019年には4000億円の費用をかけてシステムを全面改定したそうですが、

事実、全面改修を経たはずの MINORI のシステム構成は、不自然なほど複雑怪奇だ。

普通預金を司る機器は日本IBMが作るが、その上で走るソフト富士通が作る。

他行との接続を司るシステムは、機器を日立と富士通が作ってソフトNTTデータが作る。

各業務のシステムをベンダーが分割して作り、さながら怪物「キメラ」のようになっている。

これが意味するのは、おそらく’11年に金融庁から業務改善命令を受けた時点で、みずほのシステムは根本的な再構築がもはやできない状態だった可能性だ。古い部分と新しい部分が幾重にも折り重なり、さらに開発元も複数のベンダーにまたがっていた。

しかも、この時すでにみずほは延べ3000億円近くをシステム改修に投入していた。

20年以上も二人三脚を続けてきたベンダーを切り捨て、一から作り直すわけにはいかなかったのだ。

いまや、システムの全容を知る者はみずほにも、ベンダーにもいない。

とのことです。

ソフトウェアはこんな風に、古いシステムを無理矢理統合したり、その上に改修を重ねて行くと、どんどん複雑化してしまい、「全体を把握できる人が一人もいない」状態になってしまいます。

そのため、「リファクタリング」と呼ばれる「ソースコードをメンテナンスしやすくするための変更」を繰り返しかけることにより、古いものを排除し、より小さくて分かりやすいコードに直し続けることがとても重要です。

 

しかし、そもそもシステムの開発をITゼネコンに丸投げしている上に、複数のITゼネコンが関わっている状態では、まともなリファクタリングなど出来ず、結果として(いまはエンジニアを探すことすら難しい)COBOLで書かれたプログラムがいまだに残っており、まともにメンテナンス出来る状態ではないのです。


中国が香港を併合したくてもできない決定的理由

香港は、中国経済にとってきわめて重要な役割を果たしている。

香港経由の迂回輸出とすると、関税を回避できる場合がある。さらに重要なのは、金融面での役割だ。

中国政府が今後も香港で強権的な弾圧を続けるなら、海外の投資家は、香港を捨て、シンガポールなどの

信頼度が高い金融センターに取引を移す可能性がある。



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