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あなたが「イライラしやすいかわかる」7つの質問

怒りやすい人がやっている最悪の選択とは

安藤 俊介 : 一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 代表理事

2021年08月17日

 怒りやすい人は悪い習慣を続け、怒りにくく軽やかに過ごす人は知らず知らずのうちに最良の選択をしイライラのフラストレーションをためないでいる。そう語るのはアンガーマネジメントの第一人者で、これまで100万人の怒りを鎮めてきた安藤俊介氏。

新著『アンガーマネジメントを始めよう』では、怒らない体質をつくるために82の習慣のアイデアを提案しているが、今回はその中からいい習慣と悪い習慣をクイズ形式で紹介する。


* そのイライラは悪い習慣のせいかも

1つのウイルスをきっかけに私たちの生活はがらりと変わってしまいました。

これまで会社に行って仕事をし、取引のある会社のもとへ顔を合わせに出向く。

そんな日常は急激に変化し、在宅ワークにリモート会議・リモート打ち合わせが推し進められるようになりました。

人とは変化に対してストレスを感じる生き物です。たくさんの人が多くの変化のストレスにさらされている状態が続いていることで、イライラが社会に充満しているのを感じるのです。

私はアンガーマネジメント協会の代表理事としてアンガーマネジメントという「怒りをうまくコントロールする方法」を多くの人に伝えています。そんな中で「怒りをうまくコントロールしたい」と思っていることは年々増えているように思います。

実際8年前から比べても年間の受講者数は今では当時の8倍となっているほどです。

怒りをコントロールする上で大切なことがあります。

それは怒りのもととなる「イライラ」を生むような習慣や行動を起こさないこと、それにつきます。

イライラとは悪い習慣の上に成り立っていますのでその習慣をやめることが先決なのです。

大きな決断や行動力は必要なく、アンガーマネジメントの考え方においての悪い習慣に気づきそれを止めて、いい習慣を取り入れるだけでいいのです。

悪い習慣とは知らず知らずのうちに続けていることも多く、気づきにくいものです。

あなたは知らない間に習慣化していませんか?

 

人の幸せ話や成功体験、あなたはよく聞く? 聞かない?---(1)

人間は「快楽を追求する」と「苦痛から逃れる」のうち、どちらが得意だと思いますか? 実は答えは決まっています。

「苦痛から逃れる」です。

人は快楽を追求するよりも、苦痛から逃れるほうが得意なようにできています。

これはネガティブ・バイアスと呼ばれていて生物としての生き残り戦略に由来するこの性質なのですが、社会生活を送ったり、感情をコントロールしたりする場合には不都合になることが多いのです。

ネガティブなことばかり記憶に残っていると不安になりやすく、自信が持てなくなったり、人間関係の悪化につながったり、健康的な生活ができなくなるからです。

ただ最新の脳科学でわかってきたのは、脳は人の思考に合わせて変化していく性質があることです(神経可塑性)

ネガティブに物事を考える傾向にある人の脳は、物事をよりネガティブに考えやすく変化していき、逆にポジティブに物事をとらえる人の脳は、物事をよりポジティブにとらえるように変化していきます。

このことを知っておけば、ネガティブな人とはつき合わないと決めるだけで、ムダにイライラしなくなります。

イライラしない人は、積極的に誰かの幸せ話や成功体験を聞く習慣があり、脳がポジティブなものに変化している

いい習慣「よく聞く」のほうです。

 

* 「惰性」はとても厄介な存在

毎朝同じテレビ番組を見ている? 見ていない?---(2)

おそらく、ほとんどの人は毎朝、同じテレビ番組を見ているでしょう。ではなぜそのテレビ番組を見ているのか。

何かしらの理由があるでしょうが、それは「惰性」ではないでしょうか。

怒りの感情と上手につき合う上で、惰性とはとても厄介な存在なのです。

基本的に私たちは「変わりたくない」と思っています。

理科の時間に、ホメオスタシスという言葉を習ったことがあると思います。

生命が同じ状態を維持しようとする性質のことです。

気温や湿度など外部の環境が変化しても、この性質があるから私たちは健康を維持できるのです。

ホメオスタシスは本来、生体を一定に保とうとする性質なのですが、生活全体にも大きな影響を与えて「生活パターン」を形成しています。毎朝、同じテレビ番組を見て同じ時間に家を出て出社するというのは、その典型的なものです。

パターンで生きることは効率よい面もありますが、パターンがほんの少しでも崩れるとイライラしやすくなるという大きな欠点があります。

だから、自らパターンを壊す努力をしてパターンが壊れても大丈夫という準備をしましょう。

おすすめのいい習慣は「見ていない」となります。

 

歩いてすぐのコンビニ? 5分かけて行くスーパー?---(3)

コンビニって、本当に便利ですね。とくに用事がなくても、つい入ってしまうこともよくあります。

何気なく売り場をうろうろしているうちに、「そういえば!」とボックスティッシュや、「おいしそう!」と新商品を買ってしまったりすることがあります。

イライラしてしまう人は、お金を衝動的に使っている傾向があります。

たとえば、イライラしたからヤケ食いしたり、ヤケ酒を飲んだりしてしまう。

そこにいくらお金を使っても、イライラさせる環境がある限りイライラは解決しません。

ボックスティッシュはドラッグストアやスーパーに行けばもっと安く買えたはずです。

お菓子もすごく食べたいわけではないことも多いでしょう。

パソコンが遅くてイライラするなら、何回かコンビニに行くのを控えて動作の速いものに買い替えることを考えてみるほうが建設的ですし、お財布にも優しいわけです。

ですのでおすすめは後者で、時間をかけてでもスーパーに目的のものを買いに行くほうがいい習慣といえるでしょう。

 

* 「自分の時間」をコントロールできている?

信号や電車は駆け足で急ぐ? 急がない?---(4)

ずばり正解は「急がない」です。

信号で走らない人はイライラしない習慣の持ち主です。

青信号が点滅している横断歩道を走って渡ったり、閉まりかけている電車のドアに滑り込む人がたくさんいます。

おそらく、間に合ったことで「時間が節約できて嬉しい!」と実感している人もあまりいないのではないでしょうか。

無意識にそのように急いでしまっているのです。

私はこういった行為は、自分の時間をコントロールできていない象徴的な行動だと考えています。

実際には急いでなくても、点滅する信号や発車ベル、あるいは周りの人に影響されて、自分も釣られてしまっている状態です。これは時間に余裕があったとしても起こしてしまう行動でもあるのです。

目の前に点滅している信号があると駆け出したくなったり、閉まりそうなドアがあると飛び込みたくなったりするのは、焦じらされて反射的に行動してしまっているのです。それがイライラを生むのです。

時間に追われない人は、誰かに焦らされたりしません。

落ち着いて行動し、待つということに対しても、ムダな焦りや不安を感じないのです。

 

ネットの口コミを見てからお店に行く? 見ないで行く?---(5)

飲食店だったら実際に行って食べてみる。電化製品なら量販店などに行って実際に触ってみる。

その場で自分の感覚を信じて判断することはとても重要なことかなと思っています。

もちろん失敗するときもあります。とくに海外のホテルは超絶ハズレということもありました。

結構な往生をすることもありますが、それでも他人の意見ではなく自ら体験して知れることは、自分の見る目を養うことにもつながります。

レビューを見て判断するのは楽です。自分が失敗する前に、誰かが失敗しているのを前もって知ることができれば、同じ過ちをせずに済みますし、何より時間とお金の節約になります。しかし他人の意見はどこまでいっても他人の意見です。

他人の意見に振り回される状況はイライラの主原因の1つ。

他人のレビューに頼らず、手間を惜しまず実際の体験や感覚から判断することが、人の目を気にしなくなる練習になるのです。自分が選んだものが、いちばんよい選択だと思える。

そう思えるようになることが自分の人生を生きるということであり、イライラしない方法の1つです。

「口コミを見ない」をいい習慣としておすすめします。

 

* イライラした際に離婚を考える人は?

価値観の違いは合わせる? 受け入れる?---(6)

日本アンガーマネジメント協会が発表した統計によると、イライラした際に離婚を考えたことのある人は、女性が49%に対して男性は30.3%でした。男性の場合、包括的・抽象的なものが大半を占めました。

その一方で、女性は非常に具体的なエピソードとともに離婚を考えた際の理由をあげていました。

人との関係性で重要なのは、価値観を合わせることではありません。

価値観は一緒でなくても、その違いを受け入れることが大切なのです。

価値観とは、長い時間かけて作られるものであり、簡単に合うものではないという前提に立っておいたほうが自然です。

そのため、価値観の違いの差をどこまで許容できるのか決めておくことが大切です。

お互いに何は許せて何は許せないかを話し合い、受け入れる。具体的に伝えていないのですれ違いは起きるわけです。

ということでおすすめするいい習慣は「受け入れる」です。

ちなみに夫婦関係でイライラするのは、お互い目に見えないものが多過ぎる場合がほとんどです。

どちらにも「これくらいはわかるはず」という甘えがあるので、曖昧な表現は避けて、見える化の作業をしましょう。

お互いに相手へのリクエストを具体的に明確化する努力を惜しまないよう、心がけてください。

 

普段から持ち歩く物は多いほう? 少ないほう?---(7)

もし、あなたが自信を持って「自分は持ち物が少ないほうだ」と言い切れるなら、あなたは怒りの感情のコントロールが上手です。つまりいい習慣とは「少ないほう」です。

持ち物が多いと思う人は、ムダにイライラすることが多いかもしれません。

持ち物の数とイライラの感情は密接に関係しているのです。

持ち物の数は不安の数です。

不安が大きい人は持ち物が多くなる傾向があります。

私たちの生活に本当に必要なモノはじつはすごく限られています。

歯磨き粉などの日用品は使い切ってから買えばいいはずです。ところが私たちはいろいろなモノを買い込んでしまいます。

「なくなったときに困る」と、必要以上にモノを買い込んでしまうのです。

旅行のときだってムダに荷物が多くなっているのも「万が一のために」と、いろいろな考えが頭の中をよぎっているのです。

あなたにとって本当に自分に必要なモノはどれなのでしょうか。

まずは財布の中から見直してみてもいいかもしれません。

毎日出かける前に財布の中を見直すことを習慣にすると少しずつあなたの不安も持ち物も減っていくはずです。

 

* 「ちょっとやめてみようかな」の気持ちで

私たちが普段、とくに気にせずやっていることの多くは、じつはわざわざ自分をイライラさせることだらけです。

自ら率先して悪い習慣を続けているようなものなので、まずはそれをやめるだけでイライラしなくなるといえるでしょう。

何か新しいことに挑戦するのは、とてもハードルが高く、腰も重くなると思います。

だから新しい何かに挑戦するのは後回し。ストイックに暮らす必要はありません。

まずは普段とくに意識することもなくやっていること、なんとなくでやっていることをやめるだけでムダにイライラしなくなる習慣は手に入ります。

ぜひ肩の力を抜いて「ちょっとやめてみようかな」と悪い習慣を断ち、いい習慣を始めてもらえればいいと思います。

 

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