おがわの音♪ 第1142版の配信★


日本電産、鴻海とEV合弁

日本電産のEV用駆動モーターシステム製品

モーター開発・生産で検討 「車」核に売上高4兆円へ

2021年7月22日

日本電産は21日、台湾の鴻海科技集団と合弁会社の設立に向け検討に入ったと発表した。

鴻海が参入を計画する電気自動車(EV)向け駆動モーターを開発・生産する。

EV事業に一段とシフトすることで、2026年3月期に売上高を4兆円に引き上げる。

既存の自動車メーカーだけでなく、EVの低価格化を進める異業種との協業も深め主力のモーターの出荷増につなげる。



 「EV向けモーターは成長の最大の柱だ」。関潤社長兼最高経営責任者(CEO)は同日開いた決算説明会で強調した。

鴻海科技は、部材メーカーなど1200社が参加する鴻海グループのEV生産・開発プロジェクトを主導する。

日本電産は既に同プロジェクトに参加。今回の合弁で米アップル向けにEV供給が取り沙汰される鴻海との関係を一段と強化する。

量産時に鴻海向けモーターで高シェアを狙う。

日本電産は30年にEV用駆動ーターの生産台数を1千万台とする目標を掲げるだけに、低価格を武器にEVで量的拡大を急ぐ異業種取り込みは欠かせない。 

鴻海以外の新興メーカーの取り込みも急ぐ。

 15日にはSGホールディングス傘下の佐川急便が国内配送で採用予定の広西汽車集団が生産する小型EVトラックに、日本電産製の駆動モーターとインバーターが採用されたことを発表した。

中国で日本電産製の駆動モーターが先行して普及しており、新たに吉利汽車系のEV車種への採用も明らかになった。

駆動モーターを含めた車載事業は、以前から目標とする30年の連結売上高10兆円に向けた重点事業となる。

同日、発表した中期経営計画では、26年3月期に目指す連結売上高4兆円のうち車載事業だけで1兆円超を見込む駆動モーターはこのうち3千億円程度を占める見通しだ。

課題もある。

 EVは部品の点数が少なくエンジン車より簡単に組み立てができるとされるが、車体枠や車輪駆動などの部位では部品同士の緻密な調整や加工といった「すり合わせ」高い技術がなお求められる。

乗り心地や安全性など自動車としての基本品質を同時に達成できなければ、鴻海でも期待したほど供給が伸びない可能性がある。

さらに欧州などの大手自動車部品メーカーとの競争激化も予想される。

中国や台湾などでも関連サプライヤーの育成が進みモーターでも新規参入が相次ぐ可能性がある。

EVと同様に価格競争が想定以上に激しくなる可能性がある。 

このため永守重信会長や関社長は25年をEV市場が急拡大する「分水嶺と位置づけ、先行の優位性を生かす。

積極投資で量産体制を整え、受注を一気に獲得する戦略を描く。

かつてパソコン普及でハードディスクドライブ(HDD)用モーターの需要を獲得し、永守会長は今日の経営基盤を築いた。

関CEOには同様の成長シナリオをEV駆動モーターで実現することが求められている。 (出典 : 日経電子版)


【関連記事】 日本電産は21日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と同社の電気自動車(EV)製造子会社の3社で、EV用駆動モーターの生産・開発を担う合弁会社の設立を検討すると発表した。

年内の契約をめざす。鴻海はEV用の車台生産に参入するとしており、従来の自動車メーカー以外にも供給を増やす考えだ。合弁会社は2022年の設立を計画しており、本社は台湾に置く。

 日本電産が開発する駆動用モーターインバーターやギアなどを組み合わせたEV向けの「トラクションモーターシステム」を開発・生産し、鴻海側に供給する。 cf. 上述の画像

 鴻海側は昨年10月、EV用プラットフォーム(車台)の生産を始める方針を表明。

車台の調達ができれば、EV参入が取りざたされる米アップルなど異業種がEV製造に参入しやすくなるとして注目されている。

 日本電産中国や欧州の自動車大手などともモーター生産で合弁会社を設立している。

一方、日本電産の関潤社長は6月のインタビューで「異業種はスピード感がとても早いが、変化が早い家電向けモーターを手がけてきた日本電産はついていける」と語り、EV参入を検討する異業種との取引にも意欲を示してきた。今回の合弁会社設立で、戦略が加速することになりそうだ。(出典 : 朝日新聞デジタル)



メール・BLOG の転送厳禁です!!  よろしくお願いします。