「優秀なのに不幸になる人」の残念すぎる立ち位置
GAFA部長が直伝「最高の仕事領域」の見つけ方
寺澤 伸洋 : 外資系企業社員、作家
2021年06月23日
「仕事で結果が出ない」「自分に合う仕事が何かわからない」「何をしたら成長につながるのか見えていない」「人間関係が上手くいっていない」などなど、仕事をしているとさまざまな悩みは尽きません。
一方で、同じ仕事でも自信に満ちあふれて仕事をこなし、上司や同僚からの信頼を勝ち取っている順風満帆な人もいます。
この違いは、いったいどこから生まれてくるのでしょうか?
それは、「自分が得意なことを活かせるフィールドで働いているかどうか」。そう語るのは、『GAFA部長が教える自分の強みを引き出す4分割ノート術』の著者であり、GAFAの部長として活躍する寺澤伸洋氏。詳しくお聞きしました。
野球やゴルフで球を最高の打点でとらえ、結果を出すことを英語で「芯でとらえる=スイート・スポット」と呼びます。
ここから転じてビジネスの世界では、自分がもっている専門性やいついかなるときも不安なくこなせる自信、情熱がある領域を「最高の仕事領域(スイート・スポット)」と呼びます。
この「最高の仕事領域」で仕事をすれば不安や退屈を感じることなく、結果の出せる人生が実現します。
これからの時代には必要な要素です。
そして、このフィールドで働くためには「自分は何が得意/好きか」ということをキチンと知っておくことが何よりも重要です。
「立ち位置チャート」でポジショニングを深掘りする
仕事では、必ずしも自分に合ったポジションで働けるとは限りません。
もし、頑張っているのに結果が出ない、あるいはこのままでいいのかな?と不安や焦りに襲われるとしたら「自分の立ち位置」にズレが生じているのかもしれません。
それではまず、あなたの立ち位置を深掘りしていくことにしましょう。
仕事の選択肢は様々。そのあらゆる分岐で必ず必要になるのが「自分の見える化」です。
僕が使っているのは、ノートを4分割にして現在の「自分のポジション」を見える化する方法です。
図のように、A4見開きに今の自分の仕事を得意・不得意/好き・嫌いに分けて下図のように4分割の図を作ってみてください。
僕は4分割にしたマップのそれぞれの領域に、「最高の仕事人(スイート・スポッター)」、「優秀な不幸者」、「下手の横好き」、「空回りの苦労人」と名前をつけました。
今あなたの立ち位置はこの4つの領域のどこにいるのでしょうか。また、将来どのような方向に進んでいきたいですか?
それぞれに課題はありますが、目指すべきは得意な仕事であり、得意なのところでもっと仕事が好きになる、というプラスの好循環を持つ右上の「最高の仕事人」です。
どんな環境、時代、状況でもやりたいことを自由に実行できる、まさに最高の仕事領域です。
そしてこのエリアこそ、これからの時代に最も力を発揮できるポジションであり、結果とやりがいを両方総取りできるエリアです。
「優秀な不幸者」の苦しみ
それぞれのエリアで不安から脱する心構え、対策方法があります。ここではそのひとつ「優秀な不幸者」を取り上げます。
このエリアは好きではないけれど、そつなくできてしまうことを仕事にしている方たちの領域です。
「自分は仕事をきちんとこなしているのに、あまり評価されない、昇進しない……」、こうした不満を抱えがちな「優秀な不幸者」がどのような行動をとるべきかを考えていきましょう。
僕もかつてはここにいました。エクセルやパワーポイントが得意で、まわりからよくエクセルの表作成やプレゼン資料の作成を依頼されたり、質の高いアウトプットを誰よりも早く要求され、それに対応していました。
しかし その仕事をしている本人としては、PCに向かってずっと作業するのはまったく好きではなく、「できるからやっている」という感じでした。
やっていることに情熱が持てず、言われたことをこなすだけ。その結果、仕事はますます増え、きちんと対応しているにもかかわらず、その水準が次第に当たり前とされ、あまり評価されずに便利使いされていました。
なぜ、僕は評価されなかったのでしょうか。
実は、会社で評価される人というのは、単に仕事をこなすだけではなく、自ら新しいことにチャレンジし、モチべーション高くまわりの人を巻き込める人です。
そういう意味では、どれだけ優秀であっても、好きではないことをしている不幸者は、評価されないことが多いうえに自分のモチベーションが持てず前向きにもなれないのが実情です。
そんな「優秀な不幸者」がこの環境を改善するためには、次のような対策と心構えがあります。
1. 今の仕事を好きになる
2. 仕事を効率化するだけではなく、空いた時間で自分の好きな新しいことにチャレンジする
3. チャレンジをするときには、上司やまわりに宣言をする
1のように今の仕事を、情熱を傾けられるほど好きになれるならば、すぐに「最高の仕事人」にステージを変えることができます。ですが正直そう簡単にできるなら、すでに今の仕事を好きになっていたり楽しんでいるはずなので、あまり現実的ではありません。
であれば、まわりに対する自分の評価を変えていく必要かがあります。
それには2と3のプロセスが非常に有効です。
まず、2ですが、先に触れたように仕事を効率化するだけで終わってしまうと、ラクをしているように見られてしまいます。
ですから、空いた時間に新しい何かにチャレンジすることをおすすめします。
その際には、今度は自分の好きなことを選んでください。自分の好きなことにドンピシャに当てはまる部署や仕事内容がなくても、それに近いことを見つけたり、提案をしてみましょう。
また、これが3にもつながるのですが、自分が好きな新しいことにチャレンジする際には、上司やまわりの人に「これをやります!」と宣言をしてください。
何かを始める際には「有言実行」をすることが大事です。
周囲と目標を共有し、定期的に進捗を報告し合うと、76%の人が目標を達成できたという報告もあります。(注)注Gardner, Sarah and Albee, Dave, "Study focuses onstrategies for achieving goals, resolutions" (2015). Press Releases. 266.
会社では、横の席の人が何をやっているのかすら、明確にはわからないもの。
ですから、きちんと事前に「こういうことを、いつまでにやりたい」と宣言することで、まわりの上司や同僚に認知をさせるのです。
これは同時に、自分に興味を持ってもらうことや、「あいつはこれをやってるな」とわかってもらえることにつながります。
やっていることが好きなこと、もしくはそれに通じていれば、イキイキと楽しそうに仕事をしているように見えるので、それだけでもまわりの評価はかなり上がるはずです。
現在の立ち位置がこのエリアの人は余力があり、新しいことを創造するチャンスが多くあります。
まずはチャレンジを恐れずに行動していきましょう。
「置かれた場所で我慢してはいけない」
最高の仕事領域から遠いエリアにいる人ほど、そこで何とか成長しようともがいています。
ですが、自分に合っていない領域で成長することは本当に難しいのです。
ですから、今の場所が自分に合わない場合は、そこで苦しんでも「成長しなければ」ともがくのではなく、まずは自分の資質を見直してください。
自分の資質に合った場所に行けさえすれば、今までの遠回りなどすぐに挽回できるくらいのスピードで成長できます。
「置かれた場所で咲きなさい」の原文で有名なラインホルド・ニーバーというアメリカの神学者は、「今いる環境にとらわれず、諦めることなく人生のベストを尽くし、花のように咲きなさい」と説きました。
よく誤解されますがこれは「自分に合わないところでガマンしなさい」という意味ではありません。
彼は「笑顔で幸せになることが『咲く』こと」そして「それをほかの人と分かち合うことが輝ける人」だと述べているのです。
今の状況を変えることには、もちろん怖さも感じるでしょう。
しかし、気づいてもらいたいのは「人生において、自分が咲けないところでずっとガマンすることのほうが、よっぽど怖い」ということです。
「新しい挑戦、動くこと=怖い」と考えている人は、反射的に「動かないこと=怖くない」と考えてしまいがちですが、これは誤っています。
本当は、能動的に動かないことを選択しているのではなく、動けないだけ。
そして、動かないことを選択し続けて、いざ動きたいと思ったときに動けないことこそ、これからの時代はもっとも怖いのです。そのため普段からできるだけ「変化」を意識しておくことが大切です。
変動の激しい時代に、変化を面倒臭がったり怖がったりしていては、成長も成功もありません。
自分の「ポジションを知る」ことで上手に人生に成長を盛り込んでいってください。
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