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ノートの使い方が全然違う「東大生」凄い思考術


理科三類の学生が語るアウトプットの重要性

 
                                                                              片山 湧斗 : 東京大学学生(理科三類在学中)
 2021年04月24日
東大生のノートの取り方を分析してわかった共通点があります(写真:筆者提供)
東大生は望む結果を得るために、何を、どう考えているのか。その思考回路が可視化されるのが「ノート」です。ノートは情報を自分の中で整理して頭に入れる「インプット」のために活用するのが一般的ですが、「東大生はアウトプットのためのツールとして使っている」と話すのが、東京大学理科三類の学生である片山湧斗氏です。具体的にどういう使い方をしているのか。
東大生のノートから学ぶ 天才の思考回路をコピーする方法』を上梓した、片山氏が解説します。

「東大生たちにとって、そもそもノートとはなんなのだろうか?」「勉強や思考の整理に、どんなふうに役立てているのだろうか?」私はずっとそんなことを考えて受験生をやっていました。私は1浪して千葉大学の医学部に入学しましたが、「それでも東京大学医学部にいきたい!」と再び受験勉強を開始。結果的には6浪し、昨年、東京大学理科三類になんとか合格することができた者です。

そのような経験をしたことから、自分の勉強を見直し、東大生たちがどう勉強しているのかを知りたいと考え、100人以上の東大生のノートを独自調査しました。自分と彼ら彼女らと、どんなところが違うのか、と。

その中で見えてきたのは、「ノートの取り方」の違いでした。頭のいい人は、まったく異なるのです。今回は実際の東大生のノートを見ながら、それを紹介したいと思います。

アウトプットのためにノートを取る

東大生は「アウトプット」のためにノートを取っています。「インプット」というのは、情報を自分の中で整理して頭に入れることです。逆に「アウトプット」というのは、インプットしたことを自分の頭の中から外に出すことを言います。

ノートはたいていの場合、インプットのためのものとして使われます。授業で聞いた内容や人の話を後から見返すためにノートを取るケースが多いのではないでしょうか。私もそうでした。

でも、多くの人が勘違いしていることなのですが、ノートって、インプットのためだけのツールではないんです。              後から振り返って勉強するためだけにノートを取っているわけではありません。それが目的なら、授業の内容が書かれた黒板をスマートフォンなどで撮影すれば事足りてしまうわけです。時間をかけて紙に文字を書いたりする必要は皆無ですし、むしろ効率が悪いといえます。

それにもかかわらず、東大生は自分なりのノートを取っていて、写真に撮って終わりにはしません。                                  工夫もふた工夫もあるノートを日夜作って、勉強に生かしています。それはどうしてなのかといえば、東大生は「ノートをインプットのためのツール」ではなく、「アウトプットのためのツール」として使っているからです。

東大生のノートは 思考の型になっています。後から見返すだけでなく、そのノートを取ること自体が記憶の定着や思考の整理につながる。つまり自分の思考が整理されて、新しいものが見えてくることがあるわけです。

試験で出題されるポイントを考えながら作る

例えば、こんなノートを取っている東大生がいました。

オレンジが覚えたい単語。答えられるか3回に分けてチェックする(筆者撮影)

オレンジで覚えたい単語を書き、赤いシートで隠せるような状態にする。そのうえで、そこの部分がきちんと答えられるかどうかを3回に分けてチェックし、できなかったところには3色でチェックをつけていくノートです。

試験においてどこが出題されるポイントなのかを考えながらノートを作り、後からも解けるかどうかを確認しながら勉強することができるというわけです。同じ授業を受けていても、このノートを作っている人とそうでない人とでは学力に大きな差が出るのは当たり前ですね。

また、こんな暗記ノートを作っている人もいました。

日本語が浮かばなかった単語を正の字でカウントしていく(筆者撮影)

オレンジのペンで英単語を書き、日本語が思い浮かばなかったところをカウントし、自分の弱点を明らかにするというものですね。

いつもどこかに「アウトプット」が意識されている

こんなノートもありました。

問題を上部に貼り、解答を作成。一番下に問題から学べるポイントを書いて整理(筆者撮影)

問題をコピーしてそのまま上部に貼り、その解答を書いていきます。そのうえで、一番下にはその問題から学べるポイントをいくつか整理して書いていくのです。問題を想定してノートを作りつつ、自分で自分に対して授業をするかのように整理することができる、ということです。

このように、東大生のノートは、いつもどこかに「アウトプット」が意識されているのです。                                            多くの場合、試験で点を取るために勉強をすることが多いと思いますが、試験のときに答えられないなら、その勉強って無駄になってしまいますよね。

教科書と3時間にらめっこしてなんとなく話の流れはわかったとしても、その次の日にあるテストで結局0点になってしまったら意味がないのです。

同じように、本を読んだり誰かの話を聞いたりしたとしても、その次の日に自分一人でその内容をアウトプットすることができないのならば、はっきり言ってインプットした意味がないのです。

「試験ではこう問われるのではないか」「あとから使えるように勉強しなければならないという意識を持って、アウトプットできるようにインプットをする。これらのノートからは、そういう姿勢が見て取れます。

関連性を意識して忘れないようにする

また、「アウトプット」というのは試験だけでなく、関連性を意識して忘れないようにする、ということも含まれています。

「Inter」「-mission」の関連性を整理している(画像:筆者提供)

これは東大生がよくノートで使っている、「メモリーツリー」という考え方です。

ノートの中心にテーマとなるワードを書き、そのまわりに、テーマと関連する情報をいくつか記入し、線でつないでいきます。記入した情報に関係する情報を、そのまわりに記入して線でつないでいき、関連性がわかるようにノートを取ることができれば完成、というものです。

「Interactが相互に作用する」「interpretが解釈する」と個別で覚えていても、すぐに忘れてしまいます。でも「interというのは『中』とか『間』という意味で、インターチェンジとかインターネットとかと同じカテゴリーだったな」と考えることができれば、「interactは、『間』から派生して相互に作用する、だった!」とすぐに思い出すことができます。

ノートを取りながら、関連性を整理していくことができ、効率的に学習できるということです。

縦軸に年号や年代、横軸に場所や国を書いて関連性を整理する(筆者撮影)

これは縦軸に年号や年代、横軸に場所や国を書くことで、その年号でお互いの国や勢力がどのように影響しあっていたのかを整理するノートです。

世界史や日本史で有効なノートであり、このノートを作れば一発でさまざまな国々の関係性を整理することができます。これも、「関連性」を知ることで「アウトプット」を容易にするノートだといえるでしょう。

知識はあってもアウトプット能力がないケースも

いかがでしょうか。私たちはよく「インプットしないとアウトプットできない」と考えがちです。

知識量がないからテストで点が取れないとか、理解力がないから頭が悪いとか、そういうことを考えてしまいがちです。

ですが、知識があってもそれを応用してアウトプットする能力がないというケースは、よくあることなのです。試験が想定できていなかったり、関連性を覚えていないからすぐに忘れてしまったり。

だからこそ、必要なのは「アウトプットを想定したノート作り」なんです。

「後でその知識を使うタイミングが来る」「その知識をイチから再現しなければならないタイミングが来る」

そういう意識を持ってノートを取ることで、「アウトプット」できるようになる。それが、東大生のノートに共通した特徴なのです。ということで、ぜひ、アウトプットを意識したノートを作ってみてください。

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