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菅総理が心酔する“知日派”アトキンソンの危険な正体

今市太郎

2020年10月7日

菅首相の政策は驚くほどデービッド・アトキンソン氏の提言を丸飲みしたもので、「影の首相」ではないかという揶揄の声も聞こえてくる次第。

安倍政権時とはまた違った危うさを秘めており、とくに競争力を高めるために中小企業を統合・粛清していくという発想は日本を苦しめることになります。


*菅政権の正体が明らかになってきた

パンケーキおじさん、庶民派、秋田のイチゴ農家出身の叩き上げ、苦労人などなど、ご本人の実態とはひどくかけ離れたほぼ虚像的なイメージがメディアで醸成された菅首相。

発足時の内閣支持率も70.7%とあきれるほど高い数字が飛び出していますが、発足から1か月もしないうちに日本学術会議の会員人事に介入し、推薦された学者のうち6人を菅首相が任命拒否するという異常事態が起きるなど、すでに菅政権の実態がいきなり露わになろうとしています。

官邸の意向に合わない者は役人でも学者でも公然と排除するという動きが明確になっていますが、その一方で、盲目的に言説をすっかり信じ込み丸飲みして、自らの政策に取り入れている重要な人物の存在が浮上しています。

それが、デービッド・アトキンソンという人物です。

 

*デービッド・アトキンソンとは?

デービッド・アトキンソン氏はイギリス出身で、オックスフォード大学を出てアンダーセン・コンサルティングやソロモン・ブラザースに勤務したのちに来日。

1992年からゴールドマン・サックスでアナリストとして活動し、いち早く本邦のバブル崩壊後、邦銀に眠る不良債権が巨額に上ることを指摘して一躍有名な存在になりました。

その後、2007年でゴールドマン・サックスを退社しますが、2009年に日本の国宝や重要文化財などを補修している小西美術工藝社の社長に誘われて入社し、2011年には同社の社長に就任。外国人ながら、この会社の経営立て直しにあたって成功を収めています。

このころから国内における文化財政策・観光政策に関する提言などを積極的に行うようになり、著書『新・観光立国論』で第24回山本七平賞を受賞して知名度を高めることになったようです。アトキンソン氏は自著で様々な提言を行っており、ここ2~3年はとくにメディアでのプレゼンスを高めて今日に至っている状況です。

 

*国際金融資本家アトキンソンに心酔する菅総理

このアトキンソンなる人物、経歴的には非常に強い知日派で、日本のことは何でも理解している文化人的経営者に見えます。

しかしその本質は国際金融資本家であり、言説をみればいわゆる新自由主義を主張する人物で、竹中平蔵氏の存在ともオーバーラップするものがあります。

秋田のイチゴ農家の出身で、集団就職で上京し、段ボール工場で働いて夜学に通って立身出世を果たした苦労人という触れ込みの菅首相は、ほどなく昼間の学校にどこも受からず逃げるように実家から上京しただけで、実はかなり裕福な家庭の育ちで、親兄弟も地元では有力な地位にあることがモロバレ状態。

もしや学歴コンプレックスから知を憎み、日本学術会議にもひどい粛清をかけているのではないかと思う次第ですが、それとは裏腹に、このアトキンソン氏に対しては限りなくご心酔の様子。完全な信者と化していることがわかります。

 

*政策はすべてアトキンソンの受け売り

安倍政権時から足元の菅内閣に至るまで、菅氏の政策実施は驚くほどことごくアトキンソン氏の提言を丸のみしている状況です。

観光立国・インバウンド、カジノ立国、最低賃金引き上げと中小企業淘汰、中小企業基本法の見直しといった菅政権の基本政策は、すべからくアトキンソン提言によるものであることがわかります。

自らの政権でまったくアレンジすることなくそのまま政策に適用していますから、アトキンソン氏の書籍を読めば、その意図や詳細戦略は手に取るようにわかります。

一民間企業経営者の提言をここまで心酔して、悪い信仰宗教の信者を彷彿とさせるほど内容をそっくりそのまま取り込むのは、本当によろしいのかどうか。

大きな疑問が湧いてくるのは当然と言える状況です。

霞が関の官僚の間では、すでに今の政権は確実に菅・アトキンソン政権であるという見方が広がっており、アトキンソン氏は実は「影の首相」ではないかという揶揄の声も聞こえてくる次第です。

この人物、単なる政商なのか、作為的に政策を政権に持ち込むフィクサーなのかどこかの国の工作員なのかよく判りませんが、安倍政権時代の妙な経産省出身官僚とはまた別の危なさを放つ存在であることは間違いなさそうです。

 

*中小企業統合・淘汰という「部分最適化」の危うさ

菅義偉氏は、さながら突然にオーナーママが病気でいなくなり、事実上ハコもそのままで少しだけ人を入れ替え、居ぬきで雇われママのように首相の座を射止めたようなもの(さすがに言い過ぎでしょうか?いや、そうでもありません)。

その菅政権が取る政策は、「スガノミクス」などと自身の名前をかぶせるのはおこがましいほどグランドデザインはまったくありません。

携帯料金の下げの強要、相変わらずカジノ、ふるさと納税の継続、GoToトラベルの強行といった前政権の政策を継続中です。

そこに中小企業の統合問題が出てきて、本当にアトキンソン案のまま突っ走って大丈夫なのか。猛烈に気になるところです。

とくに小泉政権時代から明らかになったことですが、新自由主義者の発言は総論的には正しく聴こえるものの、これを推し進めると必ず不安定雇用が進み、さらに低賃金・長時間労働という労働者にとっては何らメリットのない状況がひどく進行してしまうという事実があります。

競争力を高めるために中小企業を統合・粛清していくという発想は、一見、正しく見えます。

しかし、そもそも中小企業は国際社会でGAFAのような企業と対峙するような位置付けにはなく、国内産業として生き延びる強固な方法を模索することの方がより重要ではないかとも思います。しかし、そうした議論はどこからも起こりません。

むしろ大企業を含めて、本邦国内の産業をどう育てて、新たな事態に対応して成長を図るのかっといった、基本的なプランを考えるべきでしょう。

それがあってはじめて、中小企業論を展開すべきであると思うのですが、現状では大した議論もないままに、アトキンソン提言がそのまま法制化されて実行されかねない状況にあります。

 

*「スガノミクス」が日本株暴落リスクに

菅政権はまだ発足して1か月も経っていませんが、いきなり随所に危ない状況と強引な政策運営の現実が顕在化しつつあります。

金融投資を行う個人投資家の視点としても、相当に注意しなくてはならないところに差し掛かっていることを強く感じさせられます。

安倍政権は消滅したものの、一難去ってまた一難。実に困った政権が発足してしまったものです。

 


スマホを捨てよ、本を読め。このままでは日本は衰退する

 

2020.10.06

スマートフォンが普及し、電車の中ではほとんどの人が、本ではなくスマホを見るようになった現在の日本。そんな現状を憂い、今後の日本を心配する声が一部であがっています。数学者の藤原正彦氏が、スマホや小学生の英語必修化に対して鋭く切り込んだ一冊を紹介。

 

電車内で人々が文庫や雑誌、新聞を開くという場面は、もはや失われたようだ。
藤原さんが夕方の東京で電車に乗ったら、なんと一車両にいる全員がスマホを見ていたという。
隣の40代と思しき男はスマホのゲームに熱中していた。いまやスマホは日本だけでなく、世界中で人間の知能を退化させている。
日本では、じつに中学生3人のうち1人が、高校生2.5人のうち1人が、1秒たりとも新聞に目を通さない
小学生は比較的、新聞も本も読む。
中学から高校になるにつれて加速度的に活字から遠ざかり、大学生ではもうおてあげ。
こんな状況で唯一、活字を読んでいる層の小学生に向けて政府が「英語必修化を施す。
小学生の算数や読書の時間を奪う、という点で犯罪的だと藤原さんは憤る。
もうじきスマホに実用可能な自動翻訳機能が完備される
そのとき機械が話す英語の水準は、現在の日本人の9割の英語レベルを超えているだろう。
現在の小学生に一所懸命、英語を教えても、大学を出るころには不要になる可能性が高い
小学生に英語を教えるのは無意味どころか、読書や算数の時間を奪う、という点で犯罪的です。官民の英語狂騒が祖国の崩壊につながるのです」
  初等教育の目的はただ一つ、「自ら本に手を伸ばす子供を育てること」しかない。
ところが、国語をないがしろにする小学校での英語必修化という愚策に対し、なんと国民の7割が賛成だという。
祖国・日本を蝕む真の敵は国民である、といわざるをえません。
いまや政財界も挙げて「グローバル化に対応して小学校から英語を学ばなければ、国際競争の生き残れない」の大合唱。
何という不明、不見識でしょうか。文部科学省はさすがに英語よりも国語がはるかに重大であることを知っています。
ところが経団連をはじめとする財界、その影響下にある経済産業省などが国語教育を守る声を圧殺しているのです。

で、新内閣の文部科学 教育担当は誰? 
萩生田光一か。趣味は犬の散歩という人。座右の銘は「One for All, All for One」、ラグビーでおなじみの。国語がはるかに重大であることを知っています。経団連をはじめとする財界、その影響下にある経済産業省などが国語教育を守る声を圧殺しているのです。
ネットで知ったが「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という訳は間違いで、「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」だという。
一つの目的とはトライである。
前々からラグビーの人たちは、幼いといっちゃあ言い過ぎだが、よく考えるとアホなこと言ってるなあと思っていた。
藤原さんが「スマホが読書による教養、国語力を破壊する」と言うと、博士号を持つ3人の息子が「現代の若者はメールやSNSで、短いながらさんざん文字を書き、慣れ親しんでいる」と反論してきた。
本当に私のDNAを受け継いでいるのかと、暗澹たる思いがしたという。
どうすれば子供の読書時間を増やせるのか。もう強制しかない。大学入試では面接で読書歴により合否を判断せよ。
「本を読まない子は有名校に受からない」となれば、父母が血眼になって読書させる(だろう)。小中高生のスマホ使用に制限を加えよ。
      加えて初等教育における国語の圧倒的重要性の確認。国を挙げて英語にうつつを抜かしているヒマなど1秒もないのです
その通り!子どもに本を読ませよ!
編集長 柴田忠男


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