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川崎重工、「ロボットPCR検査」に込めた壮大計画

20年3月期は無配、コロナ後の回復をどう描く

高橋 玲央 : 東洋経済 記者

2020年07月31日


ロボットを使ってPCR検査を支援する(写真:メディカロイド)

川崎重工業は鉄道車両や航空機部品、造船、バイクなど「移動」にかかわる重厚長大産業を多く抱える。

新型コロナウイルスによってリモートワークが広がり、人の移動が少なくなる中、近年稼ぎ頭だった航空機関連へのダメージは大きい。2021年3月期は、リーマンショックの影響を受けた2010年3月期以来、11年ぶりの最終赤字が現実味を帯びる。

折しも6月に新社長に就任した橋本康彦氏は、同社が近年強化を進めてきたロボット部門出身だ。コロナ禍の困難な経営環境において、同社をどのように舵取りしていくのか。橋本新社長に尋ねた。


バイクの需要が喚起された

――前社長の金花芳則氏は5月、「(2021年3月期は)全社で最終赤字の可能性がある」と話しました。特に航空機関連は冷え込みが深刻です。

航空機に関しては、5月の決算発表時よりもさらに厳しい状況になっている。新型コロナが収束しないために、国際線はほとんど動いていない。当初思っていたよりも厳しさは増している。ロボットも半導体関連などこれから伸びていく部分もあるが、自動車や中小企業関連はこの1年、かなり厳しいことになるのは間違いない。

プラントは事業としてはそれほど影響を受けていないが、いかんせん商談が進まない案件が消滅しなくても商談の時期がずれると、今年度の売り上げにならない。ただ、バイクはヨーロッパやアメリカで店舗が案外早くに再開した。3~5月はバイクが一番売れる時期。当然影響も大きいだろうと覚悟していたが、機種によっては2019年より売れているものもあった。

――バイクはなぜ持ちこたえたのでしょう。

みんな動きたくて、我慢できないんだろうと思う。その点、バイクは自然の中を3密ではない形で楽しめる。どこへも行けないことの反動が、バイクの需要を喚起している部分があったのだろう。

――2020年3月期は無配になりました。

2021年3月期もなかなか厳しい状態だ。だが、このままではやはりわれわれの株を買って応援してくれる皆さんに申し訳ない。単に「待ち」の姿勢ではいけないと思っている。状況を良くするための動きを取っていくことが大事だ。

仮に2020年の業績が悪くても、2021年以降の回復のスピードが変わってくる。9月くらいまでは急激に変わることは難しいかもしれないが、われわれの技術を生かした提案をしていきたい。

ロボット使い、PCR検査を効率化

――具体的には。

例えば、ロボットを使ったPCR検査の支援だ。(医療機器大手の)シスメックスとの合弁会社「メディカロイド」がPCR検査を自動でできるロボットを開発している。医療従事者を感染リスクから解放できるうえ、検査の時間を大幅に短縮することができる。今(のPCR検査)は結果が出るのが4時間以上だったり、翌日になったりするが、われわれは80分以内で検査結果を出せるよう目指している。

このシステムを空港に置けば、いつもより2時間早く空港に行って検査を行い、陰性だと確認すれば飛行機に乗ることができる。コンサート会場や野球スタジアムでも可能だ。1万円を切るようなコストでこうしたことが可能になれば、経済を止めずに済む場面も多くなるだろう。

――川崎重工のビジネスと、どのように関係してくるのでしょう。

われわれとして一番助かるのは航空機の部門だ。飛行機が飛ぶようになるとJALやANAといった航空会社がみんな助かる。ボーイングなどの航空機メーカーやわれわれのような(部品)メーカーも助かるわけだ。つまり、われわれがやっていることは社会貢献でもあるし、自分たちの事業を助けることにもなっている。

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ダイソー元名物社長がヨーカ堂の創業者から受けた「強烈な印象」

2020.07.30

100円ショップの代名詞的存在とも言えるダイソーの創業者、矢野博丈氏。

個性的な言動で知られる矢野氏ですが、そんな彼をして「お会いした際の印象は強烈だった」と言わしめたのが、イトーヨーカ堂の創業者、伊藤雅俊氏です。

 

本当の商人の謙虚さ

100円ショップの草分けである大創産業(100円SHOPダイソー)の創業者・矢野博丈氏。

いまから18年前の『致知』にご登場いただいた際、イトーヨーカ堂の創業者である伊藤雅俊氏と会われた際の忘れ得ぬエピソードをお話しくださいました。

 

イトーヨーカ堂の創業者・伊藤雅俊名誉会長とお会いした時の印象は強烈でした。

従来の経営者というのは泰然自若として、見るからに大物というイメージがありましたね。

トップがあまり細かいことに口を出すと、人が育たないから駄目だという観念がありました。

ところが伊藤会長は、社員のやることに対して一から十まで、いや一から百までああだ、こうだと叱っておられる。

当時売り上げが1兆3,000億円だったと思いますが、イメージ的にはそこらの酒屋のおやじとほとんど変わらない。あの姿を見て、日本の経営者理論は間違っているなと私は思いましたね。

日本人は謙虚というものを、お坊さんの謙虚と勘違いしている。

本当の商人の謙虚というものは、生きるために必死になっている姿

それこそが商人の謙虚だと思いました。

だから、私はそれまで社員を怒ったことはなかったんですが、伊藤会長にお会いした日を境に怒れるようになりました。それも必死に。

伊藤会長のお話の中で、いまでも忘れられないのは、「いいですね、潰れる心配のない会社のオーナーは」と言いましたら、「馬鹿やろう、俺だって月に1回は潰れる夢を見るよ!」と。

もしいま全社員が100万円くれと要求してきたら、あっという間に380億円ふっ飛ぶんだと。

もしいま台湾と中国が戦争を始めたら、もし天変地異が起きたら、もしうちが何か事故を起こして新聞で叩かれたら、客単価はすぐに100円下がって赤字になるんだと。

だから、うちは決して安定の中にいるんじゃない。いつ潰れるか分からないんだと怒られました。

あれは、そごうもダイエーもマイカルも突き進んでいた時代でした。

そんな時に、いつ潰れるかも分からんと。そのすごさ。

やはりこれは、売れるプロセスを重視する伊藤会長の、人生観からくる強さですね。



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コメント: 2
  • #1

    佐藤夏樹 (日曜日, 02 8月 2020 10:04)

    「本当の謙虚とは生きるために必死になってる姿」が胸に響きました。いつも有り難うございますm(__)m

  • #2

    OGAWA@OTM Lab. (金曜日, 14 8月 2020 12:24)

    コメントありがとうございます。
    戦国時代に成功した武将を見ると、生き残るのために必死に「知恵」を出して、臨機応変に動き、ヒトの考えもつかないコト(価値ある仕事)で武功を挙げて勝ち抜いた歴史があります。
    価値がある仕事というのは、マニュアル化できない、もしくは出来たとしてもそんなマニュアルはひとつの方針というかガイドラインに過ぎないことが多い。なんとなく大枠で、こんな感じでやるんですよ、くらいのことしか書いていない(そのレベルの記述しかできない)ことが多い。想定外やイレギュラーなことが当たり前のように発生する訳ですからねっ。
    マニュアルにはそんなイレギュラーなことが起こった時に、絶対に踏み外してはいけないNG集とか、どっちの方向に進むべきかが書かれているだけで、後は全部自分で知恵を絞って考えて、やるべきことを決めて、正しいかどうかが分からない闇の中を走り抜けるしかない。
    アタマの柔らかさとか、反応の良さとか、決断力とか、やり抜く意志力とか、困難を打開するための発想力とかって、こういう時に露呈するというか、こういう時に誤魔化しが効かない形で現れることが多いような気がします。 ☞  cf. おがわの音 ♪第1040版のTopics