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アルツハイマー病の兆候


人生100年時代の最大の脅威の1つが、脳の健康を損ねることだろう。そんな中、脳の健康維持に役立つ、科学的に実証済みの10のルールをまとめた本が翻訳出版された。
ジョン・メディナ博士による『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』だ。博士の既刊本は、世界累計で100万部を突破しているという。同書の内容を紹介した「ベストセラー脳科学者が強くダンスを推す理由」「脳科学者が教える良質な睡眠のための9の習慣」に続き、今回は、同書からアルツハイマー病について取り上げよう。

アルツハイマー病の10の兆候

メディナ博士は本の中で、それを見分ける最善のリストとして、アルツハイマー協会が示す「アルツハイマー病の10の兆候」を紹介している。

その内容を、ここで簡単にまとめておこう。

【1】日常生活の妨げになる記憶喪失
たまに忘れるのは心配ないが、頻繁に大切な約束を忘れたり、メモや付箋に異常に頼る、同じことを何度も尋ねるなどの記憶喪失は注意。
【2】慣れているはずの作業ができなくなる
オセロやモノポリーなどの名前が「ほら、あれ、あれだよ」とすぐに出ない程度は大丈夫だが、大好きだったそのゲームの遊び方までわからなくなっていたら問題。いつも通っていた道順を忘れるなども要注意。
【3】話し言葉や書き言葉に問題が生じる
ちょっと単語や漢字を忘れるぐらいは大丈夫だが、どんな単語も浮かんでこなくなり、言葉につまったり、話についていけなくなったり、何を話していたのかを忘れるなどは注意。
【4】ものの置き場所を間違える、来た道を引き返せなくなる
置き間違えは誰にでもあるが、香水を冷蔵庫に入れてしまうなど、異常な間違いには注意。また、アルツハイマー病の患者は、物を失くした際に、誰かが盗んだと責めることもある。
【5】計画を立てたり、問題を解決したりするのが難しくなる
レシピ通りに料理を作ったり、家計の予算計画を立てるといったことが次第にできなくなるのは赤信号。集中力が低下し、日常のタスクに異常に時間がかかることもある。
【6】判断力の衰え
アルツハイマー病になると意思決定能力が急速に衰え、お金に関する決定、歯磨き、身だしなみまであらゆることがうまくできなくなる。
【7】仕事や社会活動をやめる
仕事や、よく馴染んで楽しかった社会活動をやめてしまうのは、初期の兆候とされる。認知症を自覚し、それを人に知られたくないために引きこもってしまうケースは少なくない。
【8】気分と人格の変化
気分の変化も1つの兆候。妄想を抱きがちで、不安や恐怖心が強く、過剰反応が増えたり、感情が乱れやすいなど気分と人格の変化がある。とりわけ、不慣れな環境にいるときの反応は激しい。
【9】視覚映像と空間的関係がわかりにくい
高齢になると視力が衰えるが、アルツハイマー病では視覚認知力が失われる。距離、色、コントラストや、物と物との空間的位置関係がわからなくなる。
【10】時間や場所の混乱
一時的に曜日を忘れたり、散歩中に自分のいる場所が一瞬わからなくなるのは異常ではないが、真夜中に近所を徘徊し、自分がどうやってそこまで来たのかがわからず狼狽するのは異常。

※ ・・・「言語的密度」「複雑さ」「一文に含まれるアイデアの数」などを解析すると、ある基準よりも言語能力が低かった修道女の80%がアルツハイマー病を発症。反対に、言語能力の高かった修道女で発症した例はわずか10%だった。


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