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日本が秋に襲われる「コロナ第2波」の深刻な事態


傷口を広げかねない日本方式

秋の第2波の危険は全世界的な問題だが、それが日本では特に酷いことになるかもしれない独自のリスク要因がある。

それは「クラスター対策を当てにしてPCR検査の件数を絞り……その結果、政策決定に必要な感染者数を把握できなくなってしまった」(週刊現代5月23日号)という深刻な事態である。
専門家会議の尾身茂=副座長が5月11日の参院予算委員会で正直に答弁したように、「実際の感染者数は10倍か15倍か20倍かというのは、誰にも分からない」。

それは当然で、感染しても潜伏期間が長く、発症しなくてもその間に他人に感染させてしまう可能性があるのが今回の大きな特徴であるのに、検査を発症者や重症者に絞って未発症者や軽症者を見逃せば、たちまち感染経路は不明になってしまう。
だから例えば専門家会議が、緊急事態宣言を解除する判断の基準として「1週間の10万人当たりの新規感染者数が0.5人以下」を示しているが、そもそも何人を検査したら何人が陽性で、その未発症、軽症、重症の割合はどうなのかということを、厚労省=感染症研究所自体がまったく把握できていないという、驚くべき非先進国ぶりを露呈している中では、この「10万人当たり…」という数字はほとんど意味をなさない。

その上で「外出自粛」だけで新規感染者を再び増やさないようにしようとしても無理で、その結果すでに「2020年の秋、冬にやってくる『第2波』の被害が、より大きくなる可能性が高まってしまった」(同誌)のである。
それに関連して、最近言われ出していることに、日本で流行っているのはS型ウイルスで、欧米で流行したL型ウイルスに比べて病原性が低い。
それが日本で感染者数が少ない理由の1つであるけれども、秋の第2波ではL型が入ってくる可能性があり、そうなると「1万人を超える死者が出てもおかしくない」(同誌)とされる。

そういう最悪事態を想定して、すべての対策を「10月」へと集結させていかなければならないはずだが、政権も組織委もそんなことは起きて欲しくないという希望的観測にのみすがりつく姿勢を、ますます強めているように見える。


上記クリストフの記事は、次の言葉で結ばれている。
“Hope for the best while preparing for the worst.”


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