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108兆円の緊急経済対策、財政支出は39兆円だけ?

澤田聖陽

2020年4月9日

ついに7都府県に緊急事態宣言が出され、政府は108兆円規模の緊急経済対策を決定しました。

実はこの政策、わかりにくいですが財政支出は最大で39兆円です。

<著者プロフィール>
新卒で証券会社に入社。その後、投資銀行事業、Fintech事業を手掛ける。2013年から2019年までSAMURAI証券株式会社の代表を務める。



*GDPの約2割に相当「108兆円規模」の緊急経済対策

政府は7日、新型コロナウィルス感染が急速に拡大している事態を受けて、特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を行いました。東京の他、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県が対象となり、来月6日までの1か月の期限となりました。
同時に政府は、事業総額108兆円(財政支出39兆円)の緊急経済対策を発表すると報道されています。

これは過去最高水準の規模であり、事業規模が108兆円というのは、日本のGDPの約2割に相当します。
事業規模が108兆円で財政支出が39兆円というのが分かりにくいと思いますので、ここで解説します。


*実際に政府が支出するのは最大39兆円?

108兆円というのは、この金額を政府が財政支出すると誤解されがちですが(誤解を狙っているのではないかという感もありますが)、実際に政府が支出する金額は39兆円であり、これも実は確実に支出する額という訳ではなく、最大で39兆円規模になるということです。

政府による財政支出が39兆円(何度も繰り返しますが、最大でこの金額です。なおこの政府の財政支出の部分は真水と呼ばれます)で、それに財政投融資(政府が特別な国債を発行して集めた公的な資金を貸し付ける制度等を加えたものが政府による財政措置になります。
政府による財政措置に政府系金融機関による融資民間の負担分を加えたものが、事業規模と呼ばれるものです。
簡単に言いますと、政府は最大39兆円の財政支出真水をすることを呼び水として、108兆円規模の事業を作り出そうというわけです。決して政府が108兆円を財政支出するわけではないのです。

 

*一律ではなく「貧困世帯の救済」が狙い

それでも最大39兆円の財政支出というのは、過去最大規模の額ではあります。
ただその内訳を見ますと、39兆円のうち26兆円法人の社会保険や納税の猶予に充当されると言われています。

法人の社会保険や納税の猶予というのは、あくまで猶予であり、どこかでは納めなければいけなくなります。(報道では1年間の猶予と言われていますが)これは実体的には、金利が無いということ以外には、1年返済で納税資金を借りて納税するのとほぼ変わりませんし、純粋に民間の資金が26兆円増えたということにはなりません。
また、6兆円強を低所得者中小企業に給付すると報道されています。
低所得者への給付ですが、年収換算住民税非課税水準まで落ち込む世帯が主な対象であり、収入が半分以下となった場合も一定の要件を満たせば対象となる可能性があります。
年収換算で個人住民税非課税の水準まで落ち込む場合、東京23区内に住む会社員で単身世帯は年収100万円以下専業主婦と子ども2人の4人世帯では年収約255万円以下であれば住民税が非課税となると言われており、アメリカで行われる国民一律の給付とは異なり、貧困世帯の救済という色彩が強いようです。

また収入が大幅に減った中小企業に最大200万円、フリーランスを含む個人事業主に最大100万円の現金を給付するようです(減収幅などの条件はこの原稿を書いている4月7日現在では調整中の様です)。

 

*現金給付は6兆円規模に達しない?

上記の個人向け、中小企業、個人事業主向けの給付はともに申請制です。
現実にはいろいろな理由で申請しない個人や中小企業、個人事業主は結構多く、6兆円の規模には達しないのではないかという人もいます。
この申請制にするというのは役所がよく使う手であり、申請書自体が複雑だったり、エビデンスを求められたりして断念してしまう人も結構います。
このような役所の申請制による給付は、必ずと言っていいほど複雑な申請内容になります(なぜかと言いますと、虚偽申請等の問題が起こった時、公務員は自分たちの責任にならないようにちゃんと厳しい制度で申請を受けて審査したというエビデンスを残したいためです。今のような危機に瀕した状態でも、このような役所の常とう手段を使ってくるのかと残念な気持ちになりますが…)。

また申請制なので、申請後に確認して、給付するまでは時間がかかってしまいます。

まさに今必要なのに、給付されるのは1か月半後、2か月後という形になってしまいます。

 

*政府は財政出動をしたくない?

申請制ではなく、全対象に手続きなしで配る制度にすべきであったと思うのですが、このような制度にしたということは、やはり財政出動をできる限り抑えたいという財務省の意向が反映されているのではないかと思ってしまいます。
前述のとおり財政支出39兆円という規模は大きいものの、その内容を見ると効果が疑問視されるものが多いのではないかと思いますし、申請制であるものは政府が考えるような金額にはならないのではないかと考えます。

アメリカは、大人ひとり最大1,200ドル(約13万円)、子供ひとり500ドル(約5万5,000円)の現金給付など総額2兆ドル(約220兆円)規模の景気刺激策を議会で可決しました。しかもすでに2回目の現金給付も検討しているようです。
アメリカと単純に比べることが必ずしも良いとは限りませんが、対比するとあまりにも日本の経済対策が内容・規模・スピードの面で劣っていると言わざるを得ません。
これから1か月は緊急事態宣言によって、かなりの経済の落ち込みが予想されます。

その需要の落ち込みを埋めるには、今の日本政府の経済対策では不十分であると考えます。


 3月下旬に日米欧や新興国を含む20カ国・地域(G20)の首脳声明において、計5兆ドル(約550兆円)超の経済対策実施が明記され、既に米国では2兆2000億ドル(約242兆円)に上る対策法が成立し、ドイツでも7年ぶりに赤字国債を発行してコロナ危機の対策にあたると報じられており、日本もその流れに追随したカタチになる。
 しかし、注意しなければならないのは、あくまで「事業規模」として約108兆円ということであり、俗にいう「真水」の金額ではないということだ。「真水」という言葉に明確な定義はないが、政府の財政支出は約39兆円とされ、この金額を「真水」とする向きもある。予算案を見ない限りは正確なことはいえないが、事実上の真水部分はもっと少ない金額になるだろう
 この金額には2019年12月に成立した補正予算の未使用分9.8兆円も含まれている。

また、今回の緊急経済対策には法人税や社会保険料の支払いを猶予するという項目に約26兆円が計上されているが、この部分はあくまで猶予であって、将来的には納めなくてはいけないため、GDPの押し上げという側面からは非常に弱い。

よって、今回の緊急経済対策は108兆円という数字のインパクトほどの効果は期待できないように思われる。

 

*条件付きの現金給付 制度悪用の懸念も

 今回の緊急経済対策のうち、私たちの家計に影響が出るところとしては現金給付がある。

直接現金が給付されるため、即効性の高い経済政策ではあるものの、今回は一律給付ではない。

個人への支援策と給付金の申請方法(首相官邸のWebサイトより)

世帯主の月収(2~6月までのいずれか)が新型コロナの影響で減少し、年収ベースで換算した際に住民税の非課税水準まで落ち込んだ世帯か、世帯主の月収(2~6月までのいずれか)が半分以下に減少し、年収ベースで換算した際に住民税の非課税水準の2倍以下に落ち込んだ世帯に給付するという条件付きの給付とした。
 いま現在、本当に生活に困窮している人たちがニュースを随時確認して、自分が対象になるかを判断し、スムーズに申請をできるか――。おそらく、そんな余裕はないだろう。一方で、現時点で余裕のある人、例えば「ずる賢い」経営者などは、この制度を悪用する可能性すら考えられる。また、19年の収入を証明するということであれば、源泉徴収票などがあれば多少は楽になるかもしれない。だが、今年の一時期の収入減を証明することは非常に難しく、その結果、各市町村の窓口対応が混雑し、かえって感染拡大のリスクすら高まるのではなかろうか。


 一律給付をしない背景には「富裕層や公務員に給付するのは不公平だ」などという意見があるからなのかもしれないが、給付に条件をつけることによってスピード感が落ちることは間違いなく、本来の目的からかけ離れてしまうことを筆者は懸念している。また、一律給付にすることによって、富裕層にまで給付が行きわたり不公平になる、という考えは理解できる。
 だが、生活困窮者が一時的な所得を家賃や水道光熱費の支払いに充ててしまう一方で、経済的に余裕がある人ほど一時的な所得を消費に回す部分も多く、結果としては消費が浮揚することで企業業績が維持され、生活困窮者の雇用が保たれる可能性も考えられる。

 

*いま必要なのは「スピード感」

 政府は今回の緊急経済対策を、感染収束にめどがつくまでの「緊急支援フェーズ」と、そのあとの「V字回復フェーズ」の2段階で実施するとしている。具体的には「次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」という項目があり、新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、国民の不安が払拭された後の反転攻勢フェーズとして、「Go To キャンペーン(仮称)」と称する官民一体型の消費喚起キャンペーンの実施など、さまざまな案が記載されている。
 だが、いま最も大事なのはこの瞬間にどれだけスピード感をもって大胆な政策が取れるかであり、将来のことまで同時に考える段階にはないと筆者は考えている。

そこに予算を振り分けるのはまだ先の話であり、今回は現状を少しでも政策に全ての予算を充てるべきだ。
 新型コロナウイルスの影響によって引き起こされた経済苦を理由に経営者が命を落としたり、企業が倒産したりしてしまう事例が現在進行形で増えている。東京商工リサーチによると、4月2日までに新型コロナ関連倒産は全国で17件発生した。

政府は「V字回復」のシナリオとして、問題終息後の計画を立てているが、一度死んでしまった人が生き返ることはないし、倒産してしまった企業が元通りになる可能性は著しく低い。
 V字回復というのは問題収束後に、問題発生前にいたプレイヤー(人・企業)がそのままの状態で経済活動に参加するときに初めて起こる現象だ。問題収束時に多くのプレイヤーがいなくなっていたり、体力を失っていたりしたら当然、起こり得ない。国民の多くは将来の景気よりも足元の生活環境に目を向けているだろう。

 


過去最大108兆円“コロナ経済対策”の評判が悪い「これだけの理由」

4/9(木)

安倍総理が「GDPの2割に当たる事業規模108兆円、世界的にも最大級の経済対策」と自画自賛した経済対策に対する評判がすこぶる悪い。

 事業規模108兆円といっても、いわゆる真水といわれる国が実際に出す財政支出は39兆円に過ぎないこと、自粛要請と休業補償がセットになっていなかったこと、中堅・中小企業には200万円、フリーランスを含む個人事業主には100万円を上限とした給付金の給付基準手続き分かりにくい等の理由からである。

 とはいえ、今回の緊急経済対策が不十分なものだったわけではない。

リーマン・ショック後の2009年4月に当時の麻生内閣が打ち出した事業規模56.8兆円、真水が15.4兆円という経済対策と比較しても、今回の緊急経済対策の事業規模108兆円、真水39兆円というものは、決して小さなものではなくむしろ大規模なものだ。

それでも評判がすこぶる悪いのは、安倍総理の情報の出し方に問題があるからだ。

 

*規模の使い方を間違えている

 基本的な問題は、規模の使い方を間違えていることだ。

経済対策に関しては事前に過去最大といった威勢の良い修飾語に加え、国民一人ひとりに10万円の現金給付を行うかのような大きな期待を持たせた後に尻すぼみする格好の中身のショボい対策を打ち出すことで、過去最大の経済対策が「張子の虎」であるような印象を与えてしまっている。

 経済対策の中身がショボい内容になった裏には財務省との駆け引きがあったのではないかという疑念を抱かせるうえに、緊急事態宣言を発令した後まで営業自粛要請をする業種範囲に関して東京都を始めとした地方自治体ともめている状況を見せられる、過去最大の「108」兆円という経済規模が人間の煩悩を積み上げた結果のように見えてきてしまう。

 その一方で、諸悪の根源である新型コロナウイルス感染対策に関しては、現状を小さく見せて、状況によっては「躊躇なく」次の対策を打ち出すという「出し惜しみ型」になっている。

 7日の記者会見で安倍総理は緊急事態宣言を期間1ヵ月としたのは、外出自粛要請によって人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することで2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、その効果を見極める期間を含めたためだという見解を示している。

 もちろん法的な限界や財政的な現実的な制約があることは十分に理解できるが、補償とセットではない実効性の高くない自粛要請で感染者の増加を2週間でピークアウトさせることができると信じる人はかなり少ないはずである。

 それは、法的措置を伴ったロックダウンに踏み切った欧米でも感染拡大を止めるのに1ヵ月、中国武漢でも2ヵ月半もかかっていることが知られているからだ。

 本来であれば、経済対策は規模だけでなく中身も期待を上回るものにし、感染防止策に関してはできる厳しめな措置をとって効果を見ながら徐々に措置を軽減していくべきであるが、今回の緊急事態宣言発令と緊急経済対策はこれが真逆になっている。

 この点が過去最大の経済対策でありながら評判がすこぶる悪い大きな要因になっていると思われる。

 

*自粛要請と補償がセットになっていない

 もう一つ緊急経済対策の評判を落としている大きな要因は、自粛要請と補償がセットになっていなかったことだ。

緊急事態宣言によって営業自粛を迫られた多くの中小零細事業者にとって、最低1ヵ月続く営業自粛は死活問題である。

それゆえに新型コロナウイルス感染拡大防止のためには営業自粛が必要だということが分かっていても、「新型コロナウイルスで死ぬか、飢え死にするか」という究極の選択を迫られた結果、営業を継続するという決断をせざるを得ない事業者が出てくることになる。

 そしてそれが新型コロナウイルス感染のピークアウトを遅らせ、緊急事態宣言の延長、営業自粛期間の延長という負のスパイラルを招く要因となる。

 こうした負のスパイラルを回避するためにも、営業自粛に伴う補償をセットにすることは必要性不可欠である。

 安倍総理は「ある特定の業界にお願いをしても、損失は、その業界にとどまるものではありません。そこと、様々な取引をしている皆さんにも大きな影響が出ていくということを鑑みれば、個別に補償していくということはバランスを欠く」という理由で休業補償ではなく給付金で対応することにしたことを明らかにしている。

 たしかに総理の考え方ももっともなものだが、こうした考えは総理が強調してきた「前例にとらわれない思い切った措置」から遠いもの、つまり「前例にとらわれた措置」である。

 

*だから店舗は休業できない…

 緊急事態宣言発令の効果を上げるためには、できる限り多くの国民に休業補償をする必要がある。

店舗などが休業できない大きな理由は、店を閉めて売上がなくなっても、家賃や借入金の返済が猶予されないからである。

換言すれば、家賃と借入金の返済を例えば3ヵ月といった決められた期間猶予できるようにすれば、営業自粛をする事業者を増やすことができるということである。

 日本の金融機関の貸付残高は、2月時点で544兆6850億円であり、平均貸付金利は約0.6%である。

 つまり、借入金の元利金返済免除に伴う金融機関の逸失利益年間約3兆2000億円~3兆3000億円程度である。

仮に借入金の元利金返済免除期間を3ヵ月だとしたら金融機関の逸失利息収入は8000億円程度、半年に延長されたとしても1兆6000億円程度に過ぎない。

 この金融機関の逸失利益を政府が肩代わりするようにしても、その財政負担は108兆円という事業規模から比べたら微々たるものなのである。

 一方家賃支払いを猶予した場合、家賃収入で暮らしている人達に大きな打撃を与えるという意見もある。

たしかにその通りだが、それは家賃免除に応じた家主に対しては例えば100万円給付するような形で十分対処できるはずである。

 また、借入金でアパート・マンション経営をしている人にとっても、ローン返済免除と給付金とのセットであれば家賃免除は致命的な痛手にはなることはないはずである。

家賃と借入金返済の猶予は、特定の業種に偏ることなく、全ての業種の人たちに広く行き渡るものであると同時に、収入を奪われた人たちから住む場所の心配を取り除くものでもある。

 

*国民が経済的に生き残ることが重要

 今のような緊急時には、収入サイドを守るよりも生活コストを下げることで社会の延命を図ることが時間的にコストパフォーマンスの高い政策のはずである。

 政府が打ち出した真水39兆円という緊急経済対策は、一定の時間が経過すれば効果が表れるはずである。

重要なことは、経済対策の効果が表れるための必要条件は、日本社会が、国民が経済的に生き残っていることである。

経済対策の効果が表れる前に日本経済や国民が致命的な打撃を受けてしまったら、過去最大の経済対策も絵に描いた餅に終わってしまうはずである。

 無人島にお金をばら撒いても何の効果も得られない。

安倍総理には「先入観は、固定観念は」という故・野村克也氏の名言を今一度噛みしめていただき、日本経済と国民が今まで通りの状態を保てるという先入観と、経済対策の規模を拡大すれば問題を解決できるという固定観念を捨てて国難に立ち向かってもらいたい。

近藤 駿介(経済評論家/コラムニスト)



医療者が警告、新型コロナ情報に触れる際に忘れてはいけないこと

2020.04.08

新型コロナウイルスから自分と家族の身を守るために重要となってくるのが、正確な情報を得ること。

しかし流れてくる情報は玉石混淆状態と言っても過言ではなく、どれを取り入れるべきなのか迷ってしまうのも事実です。そんな時我々は、何を指針とすればいいのでしょうか。
かつて薬剤師としての勤務経験もある小原一将さんが、医療者の視点で見た「正確な情報の受け取り方」を記しています。

*落ち着いて、この事態を冷静に対処しよう

社会が見たこともない状況になってきた。コロナウイルスは収束する兆しどころか、ますます拡がりを見せている。
私は一応医療者であり、周りに専門家がいるのでかなり冷静に物事が見られているとは思う。

だからこそ、ウイルスではなくこの異常な状況が気になる。

今回は、私の考えを述べていければと思っている。
コロナウイルスで日本や世界が滅亡するかの如く報道されている。連日増え続ける感染者数に不安な気持ちになる。
確かに致死率は疾患がある方や高齢者の方は高い傾向があるので気を付ける必要があるのだが、それで地球や人類が滅ぶとは思わない。

これだけの事態になる前からマスクが飛ぶように売れて、食糧の買い溜めなどが起こっていた。

はっきり言って私はコロナより人間のパニックの方が怖い。
大物芸能人が、コロナが原因で亡くなったことはとても悲しい出来事であり、私も子どもの頃によく見ていた人なのでショックだった。しかし、それとコロナが危険であるかは別のものだ。
有名芸能人の命を奪ったから危険なウイルスであるというのは、あまりにも論理が飛躍している。
情報は無数に氾濫して、いつも私たちを惑わそうとしてくる。

絶対に忘れてはいけないのが、メディアから発せられる情報は誰かの手が加わっているものだということ。それが正しいと思って受け取るのはもちろんダメだが、無意識に情報として取り入れるのもおすすめしない。

ファクトフルネスという本にも書いてあるが、メディアはなるべく聴衆の注目を集めるためにセンセーショナルなものしか発信しない。「今日は10人の患者が元気に退院しました」という報道よりも「今日も1人の患者が感染しました」の方が注目を集めやすい。
情報を取るのであれば、公的機関や専門家の意見をまず参考にしてもらいたい。
このように書くと、専門家も間違うことがあるだろうと反論される。

その答えとしては、当然専門家も間違うことがあると言わざるを得ない。
とはいえ、一般の方よりは圧倒的に多くの知識を持ち、そこから導き出された考えや答えを持っている。
薬剤師として働いているときによく言われたのが、近所の◯◯さんが言っていたとか、職場の人が言っていたという情報だ。

なぜ医療の専門でもない一般の人間の情報を、目の前の医療者よりも大事にするのだろうと思っていた。
今でもこの答えは出ていないのだが、メディアが陰謀論や秘密を見つけたとか言ったような煽り方をするのが原因の一つではないかと思っている。
大きな迷惑でしかない。
私も陰謀論や都市伝説はとても好きだが、それと情報の正確性は全く違う。

少なくとも一般的な情報源に本当に秘密にしておきたいことが載ることはない。

もし載っていたとしたら、もうそれは秘密にしなくて良いものである。
このメルマガを読んでいただいている方の数はメディアに触れる数に比べればとても少ないのだが、今私ができることとしてここに書くことが良いと判断して書かせていただいた。
まずは落ち着くこと、そして正確な場所から情報を受け取り、自分の身と家族を守ために最善の行動をとってもらいたい。
もし何かお困りのことがあれば、私も医療者として分かる範囲でお答えすることもできる。

私は会社を経営していて、家族もいる。

同じような境遇の人も多いだろう。皆で協力しながら、この事態を乗り越えていきたい。


コロナウイルスの場合は1人が2~3人に移す「基本再生算数(R0といいます)」だと見積もられています。移した2~3人が、また2~3人に移すという形です。

インフルエンザのR0が1.3ほどなので、移すサイクルを10回繰り返す60人弱感染したことになります。しかしコロナウイルスのようにR0を2~3で計算すると、10サイクル感染すると感染者の数は2000人を超えますコロナウイルスの感染拡大が指数関数的に増加するというのは、それだけ恐ろしいものがあります。
 

閉じた空間で大人数が集まるところを避け、頻繁な手洗い、うがい、洗面 が必須です。



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