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基礎疾患のない未成年がコロナ死。WHO上級顧問「終息まで数年」


2020.04.01

世界中で大流行している新型コロナウイルスは、基礎疾患がある人や高齢者が重症化しやすいといわれてきたが、感染拡大が深刻なヨーロッパで3月末、未成年の死者が相次いでいるとNHK時事通信などが報じた。


*持病のない10代が死亡

時事通信によると、現地メディアの報道では、死亡した少年に持病はなかったという。

新型コロナウイルスの症状が出たあと呼吸困難になり、入院。人工呼吸器を装着したが、意識不明の状態となり30日に亡くなった。ヨーロッパではほかにも、フランスで16歳の少女が、ポルトガルで14歳の少年が亡くなるなど未成年の死亡が相次いでおり、衝撃が走っている。

 

*WHO上級顧問「ピークはこれから」

日テレニュース24によると、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長の上級顧問を務める渋谷健司氏は、NNNの単独インタビューで、ヨーロッパの感染拡大のピークは今後1〜2ヶ月先、イギリスにおいては5〜6月以降になるとの見解を述べた。また、新型コロナウイルスの終息については「パンデミックが終息するまでに人口の6〜8割が免疫を持つまで続く」とした上で「数年かかる」とした。


COVID-19への対策の概念

2月25日、政府は「新型コロナウイルス感染症対策本部会議」を開催し、「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を決定。その中で「新型コロナウイルス感染の流行を早期に終息させるためには、患者クラスター(集団)が次のクラスター(集団)を生み出すことを防止することが極めて重要である」という認識が示されました。
それをうけ厚労省は、国内の感染症の専門家の方々で構成される「クラスター対策班」を設置。対策班は、クラスターが発生した自治体と連携して、クラスター発生の早期探知、専門家チームの派遣、データの収集分析と対応策の検討などの業務を行います。

 

※厚生労働省対策本部クラスター対策班 北海道大学大学院 西浦教授の回答
【夜の街での感染について】

・感染源が分からない患者の確定日別での分析を実施。夜間から早朝にかけての「接待飲食業の場」での感染者が東京都で多発していることが明らかになりつつある。
・発生場所の特定は、東京都内の保健所の積極的疫学調査データを整理し分析している。最近2週間の30%の患者が特定業種の場での曝露が疑われた。
・ただし、保健所の積極的疫学調査に応じない患者も多く、介入が一部困難であることが想像される一方で、積極的に対策を講じなければならない数の伝播が始まっていると考えられる。

 

「夜の接待飲食店という特定業種に絞った根拠は?」

・ 行動履歴は東京都での積極的疫学調査に基づいているので、確実にここで感染したという瞬間自体は見られない。しかし、行動履歴を聞く限り他の店には行ってないケースや、夜の街で複数軒の場所に行かれている人が多い。
・ 繰り返すが、接待飲食業で、夜間から早朝にかけて集中しているのが特徴。

「パチンコや、マージャン店、性風俗などでの感染が疑われる事例は?」

・ パチンコ、麻雀などの遊戯場での報告は今のところない。性風俗に関しても東京都内では報告はない。他の都市では疑われる事例がありそうという情報はある。

 

「今後の感染爆発の兆候を早めにつかむには、具体的にどういった調査をすべきか?」

・ 感染者数を固唾を飲んで見守っているが、現時点で感染者数の爆発的な増加が本格的に始まった証拠はない。夜の街での伝播、特定の業種での伝播を止めれば制御できる可能性があるデータと判断している。

 

「今までどおりのPCR検査を行っていくということか?抗体検査のような大規模な調査を行わないのか?」

・ PCRの患者数は、全感染者中の氷山の一角でしかないが、爆発的な患者数の増加がない、蓋然性が高いことを僕たちで確認している。
・ 抗体調査は、人口の何%が感染してるのかをリアルタイムで理解するために実施するもの。今警戒すべきは2~3日ごとに倍々で感染者が増え始めていないことをしっかりと確認し、もし増えているということがあれば、速やかに対策を実施する必要がある。
・ 例えば、帰国者・接触者相談センターを通じて受診した外来患者数を見ると、発熱し電話相談をして受診した人の数が診断される前の段階で見られる。それが増加傾向にあるかどうかが見られるし、他にも多角的なデータを使って確認しつつ、その報告をする。

 

※国際医療センター大曲医師の回答
「そもそも軽症・重症の基準はなにか?」

・ 基準の決め方で数が全然違ってくるのでとても難しい問題。

 あくまでも私個人の意見ということで聞いて欲しい。

・症状でいえば、微熱が出る、喉が痛い、ちょっとせきが出る程度にとどまり、なおかつ呼吸が苦しくない、酸素の量に異常がない場合は軽症、あるいは中等症。
・ ただし、高齢の人の場合、状態が悪くなる可能性は多少高めなので、慎重に判断をする。


このように専門家の先生の話を聞くととても腑に落ちます。

ひとつひとつが確固たる根拠に基づいているからです。
そして、先生たちはそれを「根拠」にしながらも「完全」ではないという謙虚さを大切にしています。

白と黒、黒とグレー、できることできないこと。そのすべてを「自分の言葉」で発信しているのです。
ところが、それらが政治家や役人の「言葉」に変わると、たちまち「信頼できない情報」になってしまうのが、残念でなりません。
リスクコミュニケーションの不完全性が、さまざまな憶測や不信感につながるということ、メディアや政治家はもっと気に留めて欲しいと思います。


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