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スタートアップが中小製造業のAI導入をリード、そのために必要なナレッジとは?

2020年03月19日 10時00分 更新
[越智岳人,MONOist]

関東経済産業局は、AIやIoTの分野で優れた技術力を持つスタートアップと中堅・中小企業のマッチング事業を2018年から実施している。その2回目となる2019年度のプロジェクト発表会が行われた。


 人材不足やグローバル競争の激化により、大手を中心にデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の導入を検討、推進する製造業は増えつつあるが、ナレッジ不足から導入に至っていない中堅・中小企業もまた多い。

 経済産業省の地方ブロック機関である関東経済産業局は、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の分野で優れた技術力を持つスタートアップと中堅・中小企業のマッチング事業を2018年から実施している。

その2回目となる2019年度のプロジェクト発表会が2020年3月6日に行われた。発表会は都内で開催予定だったが、新型コロナウイルス(COVID-19)による感染拡大を考慮し、報道陣向けにオンラインで開催された。

 

*生産設備におけるAI導入事例

 今回発表された2つのプロジェクトは、いずれも生産設備におけるAI導入の事例となる。

トリニティ工業の塗装プラント設備のイメージ図(出典:トリニティ工業)

 1つ目のプロジェクトは、自動車の塗装プラントや塗装機器の設計/製作や施工を行うトリニティ工業(愛知県豊田市)と、画像解析システムの研究開発を手掛けるヒューマンサポートテクノロジー(茨城県東海村)による、塗装プラント施設内で使用する画像解析システムの開発だ。


2つ目のプロジェクトの導入対象となる佐橋工業の検査ライン(出典:佐橋工業)

 2つ目のプロジェクトは、自動車向けの防振ゴムや産業用ゴム部品の製造を行う佐橋工業(愛知県小牧市)と、ディープラーニングなどのAIの開発とコンサルティングを手掛けるグリアコンピューティング(東京都千代田区)による、外観検査の自動化システムの開発である。


 両プロジェクトとも、現在は開発/検証フェーズであるため具体的な成果は示されなかったが、2件とも“中小企業側の課題に対して、スタートアップがソリューションを提供する”形になっている。
 佐橋工業 社長付の小林淳氏は、「品質向上や価格競争の圧力が年々強まる中、これまでに講じてきたような企業努力だけでは、対応が難しい状況になりつつある」と述べており、人手不足の影響で人材育成もままならない中小企業にとって、省人化と効率化を一手にカバーできる可能性のあるAI導入は、喫緊のテーマであることがうかがえる。
 また、中小企業にとって“スタートアップのフットワークの軽さ”も好意的に受け止められている様子だ。トリニティ工業 第2設計部 第23設計室 室長の近藤靖氏は「自社は愛知県にあって、ヒューマンサポートテクノロジーは茨城にあるが、打ち合わせはWeb会議で効率的に進め、開発スピードも早く、全体のコストを下げることができた」と手応えを語っている。
 しかし、AIの導入に至っては「発注側(中小企業)のAIに対する理解も深まっているものの、『全く分からない』という企業も多く、スタートアップと発注側の間にミスマッチも発生している」と、グリアコンピューティング 代表取締役社長の田上啓介氏は指摘する。
 こうした両社の不幸を減らすためには、どういった事前知識が必要なのだろうか? 

*そのAIは必要か――中小企業が知るべきAIのこと

 佐橋工業とのプロジェクトにおいて、AIの導入支援を担当するグリアコンピューティングは、2019年8月に設立したスタートアップだ。代表取締役社長の田上氏は、東京工業大学院で機械学習を専攻した後、NTTデータとNTTでシステム開発畑を歩んだ後に、AI系スタートアップの設立に参画。その後、現在の会社を興した。
 田上氏は、中小企業が誤解しがちなAI導入のイメージとして、「期待されている担当範囲と、受注側が実際にカバーしている担当範囲とのギャップが大きい」と指摘する。
 発注側である中小企業は、AIの開発だけでなく、分析に必要なデータ収集などを担うシステムの開発やパッケージの導入、ITインフラの開発までを受注側に期待するケースもある。

しかし、「AI」を標ぼうするパートナー企業(以下、AI企業)であっても、実際にはAI開発だけに特化していたり、既存の機械学習プラットフォームに接続するためのシステム開発だけに特化していたり、導入コンサルティングだけに特化していたりなどと、AI企業によって対応できる範囲、得意分野が異なるケースが見られる。
また、AI企業の出自や事業モデルによっても、対応できる範囲は異なる。
 SIerがAIをサービスとして組み込むケースもあれば、クラウド系サービスと連動してAIを活用するシステム系企業と、ディープラーニングを用いない機械学習」ディープラーニングを用いた機械学習」によるAIを開発するAI企業とでは、対応できる業務範囲も異なってくる。
 加えて、特定の業界や分野に特化したAI企業もあり、発注側である中小企業は“どこまでを外部に期待するか”によって、パートナー(AI企業)を見極めて、選択しなければならない。

AI導入までの企業間の関わりについて(出典:グリアコンピューティング)

 例えば、自社にシステム管理部門があり、AIに必要なデータも用意できるのであれば、AI技術に特化した企業に開発を委託する選択肢もあるだろう。

しかし、自社にシステム管理部門もなく、これまで目視で判断していたような作業へのAI導入や、そもそもデータ収集が全くできていない企業であれば、AI導入のためのワークフロー構築から発注する必要がある。その場合、AI開発に特化した企業では対応し切れないだろう。
 業務の役割分担と並行して、発注側である中小企業が抱える課題と、それに適応できるAI企業側の技術とのマッチングも重要だ。
 画像認識による異常検知が課題であれば、専用のAIが組み込まれたソフトウェアもあるので、対象のデータとの相性が良ければ開発することなく導入できる。

また、AIを使わなくても固定のルールを基に決め打ちで処理することで解決できる場合もあり、AIに必要な学習データを用意しなくても導入可能なケースもある。
 いずれの場合も、開発コストを削減できる可能性はあるが、課題によってはオープンフレームワークの活用や研究論文をベースとした専用のAIを開発する必要も出てくる。そうなった場合、最適な技術を提案できる研究/開発型のAI企業との連携が不可欠だ。


ヒューマンサポートテクノロジーが今回のプロジェクトで使用した画像認識技術の一例(出典:ヒューマンサポートテクノロジー)

 トリニティ工業は、大規模な塗装プラント設備内に使用する画像解析システムの導入に当たって、SIer系企業や既存の取引先にも相談したが、難易度の高さからスケジュールに落とし込むことができず、断られ続けていたという。
 そんな中、同社と組んだのがヒューマンサポートテクノロジーだ。ヒューマンサポートテクノロジーは、さまざまな業界向けに画像解析を活用したAIを開発する画像認識特化型の企業として知られており、「トリニティ工業から相談を受けた際、エックス線技師用に開発した、撮影する位置決めを正しく行うシステムを応用すれば実現できると思った。レントゲン室とプラント施設では規模や形状が大きく異なるため課題は多いが、トリニティ工業と共同で取り組めば開発できると考え、挑戦した」と、ヒューマンサポートテクノロジー 代表取締役の小野浩二氏は語る。


*中小企業のAI導入、最低限押さえておくべき3つのポイント

 このように、自社が抱える課題の解決に合致するAI企業の技術力、対応力を把握することが、ミスマッチを防ぐ上で重要となるわけだが、現実問題として発注側である中小企業がこれらを正確に把握することは難しい。
 そこで、グリアコンピューティングの田上氏は、“AI導入を検討する上で、最低限押さえておくべき3つのポイント”を紹介した。
 「1つ目は、自社の課題を明確にしておくこと。2つ目は、事前に必要なデータを蓄積しておくことだ。データがないことにはAI導入は実現できないので、まずは現状で収集できるデータの蓄積や収集方法を検討、準備しておく必要がある。そして、3つ目が100%の精度を求めず、過度な期待をAIに抱かないことだ」(田上氏)

 今後、DXの事例が増えていくことで、ミスマッチを防ぐためのノウハウや仕組みが充実していくことは予想されるが、どれだけ環境が整ったとしても、双方が正しくお互いを理解し合うことは重要なポイントだ。
 関東経済産業局では、次年度以降もこうした取り組みを継続し、スタートアップとの連携を推し進めることで、中堅・中小企業のDXを支援していきたいとしている。


仕事が速い人の工夫とは

 

*工夫とは、速くすることだ

リーダーの仕事は、時間を生み出すことです。仕事をすることは、工夫をすることです。

工夫とは、具体的には速くすることです。工夫をするといっても、目的がないと、どうすればいいか分かりません。目的は速くすることです。
 コピー1枚とるにも、速くする方法があります。どちら向きにすればいいとか、最終ページからとった方が後で並べかえなくて済むとか、いろいろ考えることができます。最終的には、きれいなコピーのとり方、分かりやすいコピーのとり方など、いろんなことに気付くキッカケが生まれるのです。
 工夫の仕方が見つからない時は、とにかく速くすることを考えます。

昨日と同じスピードだったら、工夫はゼロです。

会社の仕事は、そんなに変わりばえのするものではありません。昨日も、一昨日も、3年前も同じ仕事をしています。ベテランも新入社員と同じ仕事をしているのです。
 そこにどう工夫を加えるかです。そこに評価が入り、自分のモチベーションも生まれます。

結果、工夫する人は速くなり、速い人はますます工夫するという正のスパイラルに入るのです。
 同じことを、昨日より速くすることです。

 

*メモまでの時間が速い人が、行動も速く、ミスしない

 仕事が速い人と遅い人は、仕事を頼んだ時にメモするスピードで分かれます。

ペンを出すスピード、メモ帳を出すスピード、書くスピードが速いか遅いかで、その後のスピードが決まるのです。
 仕事が遅い人は、メモをしないで頭で覚えようとします。

「ハイ、分かりました」と言いますが、依頼している側は「本当に分かっているのかな」と、心配になります。
 あるレストランで注文した時のことです。

5つ頼もうとして、3つ目を頼んだ時に、ウエイターの人がメモをとっていないことに気付きました。

「メモをとらなくて大丈夫?」と聞くと、私がいくつ頼むか分からないのに、「大丈夫です」と言ったのです。それで私は続けて5つ頼みました。その人は、「ハイ、分かりました」と言って、やっぱりメモをとらないのです。
 結果、間違ったものが来ました。
 私は「メモをとらなくて大丈夫?」を「メモをとりなさいよ」というつもりで言ったのに、その人はそれを理解できなかったのです。メモをとらない人は覚える能力のある人です。
 それでも、お客さまの安心感はメモをとってもらうことです。

これで「キャッチされた」と分かるのです。メモをとっていないと、「自分のオーダー、大丈夫かな」と、相手にずっとストレスを与え続けることになります。
「仕事が速い」イコール「相手のストレスを減らす」ということです。

たとえ覚えることができても、メモをとった方がいいのです。
 メモをとる人は間違いません。万が一、間違えたとしても、相手はイラっとしません。メモをとらないで間違えたらイラっとします。
 チャンスをもらえる人は、メモをとる習慣のある人です。

あるレストランで「料理はいかがでしたか」と聞かれて、私は「ポーションはもうちょっと小さくてもいいかもしれないね」と答えました。この時、「シェフに伝えておきます」と、ただ口で言うだけの人と、メモをとってくれる人とに分かれます。
 メモをとってくれた人は、後で伝えていなくても勝ちです。メモをとらなかった人は、後で伝えたとしても、「あいつ、本当に伝えたのかな」という印象だけが残ります。
 メモをとるスピードを上げることで、仕事も速くなるのです。仕事が速くなることは、生産性の問題ではなく、付加価値を生み出すこともできるのです。



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