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シリコンバレー「厳しい外出禁止令」出た事情


不要な外出をした場合、罰金などの厳罰も

2020年03月20日

アヤコ・ジェイコブソン : ジャーナリスト(在米)

17日からの3週間の外出禁止に備えるために、スーパーなどには人が殺到した(筆者撮影)

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、アメリカでも多くの都市が住民に外出禁止を求めるなどの対策に乗り出している。グーグルやアップルがあるシリコンバレー、セールスフォース・ドットコムなど多くのIT企業が集まるサンフランシスコでも、4月7日まで3週間、外出できないことになった。



シリコンバレーに感染者が多い理由

この措置は、3月16日月曜日午後 、サンフランシスコのロンドン・ブリード市長らを含む6郡の当局者たちが、ベイエリアのウイルスの震源地となっているサンタクララ郡で、共同記者会見した際に発表。

1日には数えるほどもいなかった新型コロナウイルス感染者は、17日にはシリコンバレー356人カリフォルニア州全体では740人)に急激に増えていることから、人々の動きを制限し、医療崩壊を防ぐために手を打った。
なぜ、パロアルトやサンノゼ、マウンテンビューを含むサンタクララ郡に罹患者が多いのか。

シリコンバレーには「IC」こと、インド人中国人のエンジニアが多いが、製造関係で中国に多くある工場に出張したり、中国出身のエンジニアたちが旧正月で中国に戻ったりしたのがその一因だ。
2010年5月にカリフォルニア州立大学サンフランシスコ校医学部で、「Prevention of the Next Pandemic(次のパンデミックを防ぐ)」というシンポジウムを主催したシリコンバレー在住のUSジャパンフォーラム設立者の井手祐二氏によると、「同シンポジウムではウイルスの早期発見と、早期治療が結論だった。アメリカの感染者数は来週で2万人を超え、3月末には10万人に達するのではないか」と予想する。
外出禁止令に先駆け、15日にはカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が、同州にあるすべてのバーとナイトクラブを閉鎖。

ロサンゼルス郊外のディズニーランドは3月12日から、ユニバーサル・スタジオは14日から臨時休園している。
シリコンバレーでもフェイスブックの年次開発者会議のF8が中止、グーグルはエンジニアに人気の主要開発者会議「I/O」の開催を5月に予定していたが中止を発表し、徴収した参加費を返金した。オンライン会議の開催を検討しているという。
サンタモニカの店舗で働く従業員の感染が判明し、中華圏以外のアップルストアをすべて閉鎖したアップルは、例年6月にWWDCこと開発者向け会議を開催するが、いまだに開催に関する発表がない。すでに数週間前からこうしたITやソフトウェア開発などコンピューター関連企業では在宅勤務が当たり前になっていた。

だが、外出禁止令以降、コンサルタント業など各種サービス業も同様の働き方にシフトしている。
シリコンバレーの各都市からサンフランシスコへの交通も影響を受けている。公共交通機関の中には、サービスを中止したり、運行数を減らすところも出てきた。

サンフランシスコと郊外のリッチモンドや、ハーバーベイをつなぐフェリー航路の運航はストップ。

観光で人気のフィッシャーマンズワーフのあるピア41への路線でサービスが中止され、4月7日までは全航路で週末の運航はしない。


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