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中国に弱腰のWHO 新型コロナ「パンデミック宣言」の不都合な真実


 3/14(土) 

Yahoo!ニュース

新型コロナウイルスが、日本が入国を制限している地域以外から流入した疑いが、ウイルスの遺伝子、ゲノム情報の最新研究で浮上してきた。

研究が明らかにするのは中国・武漢以外の地域からも1月の時点で静かに世界中にウイルスが広がり始めていた可能性。

感染を最初にもたらした各国の「ペイシェント・ゼロ(疫学調査上で集団内最初の患者となった人物)」の解明が進むなかで、各国政府の政策の有効性も問われ始めることは必至だ。


 最新の研究成果をもたらしたのは米国などの研究者がつくるnextstrain.org。

新型コロナウイルスのゲノム情報を世界中から集め、その近似度に応じて樹形図に表した。研究成果は、ほぼリアルタイムでインターネット上に発表されている。

 この樹形図は、どの感染者のウイルスが遺伝的に近いかを示す。
 ウイルスのRNAゲノム情報はC、G、A、Tの4種類の文字で表される約3万基にのぼる情報列で、感染を繰り返すごとに、例えば1万文字目のCがGに変わったりAがTに変わったりするなど、徐々に変化していく。そのことから、文字列が違えば違うほど感染を繰り返したことになり、近ければ近いほど、直近の感染である疑いが強くなる

 愛知県蒲郡市でウイルスをまき散らすなどと称して居酒屋を転々とした50代男性の感染者がいたが、ゲノム情報を辿れば、今後、この迷惑な感染者からどれだけ感染が広がったかを探ることも、できるようになるわけだ。


日本へのウイルスの侵入は5回あった

 この研究が示す日本への感染ルートは多岐にわたる。

 日本の感染者から集められたゲノムは全部で10だが、樹形図を参照すれば、遺伝的には大きく5系統に分かれるのがみてとれる。5系統はその後、日本だけでなく中国にも分岐していることから、日本に入る前に中国で5種類に分岐し、それぞれ日本に入ってきた可能性が高い。つまり、5回にわたってウイルスが日本に侵入してきたというわけだ。


最初期のウイルスは武漢以外から侵入した

 このサイトが収集した日本のウイルスのゲノムはほとんどが2月初旬までに採取されたもの。1月の段階で相当数のウイルスが侵入していたことになる。

当時は中国の旧正月、春節の行楽シーズン真っ盛りで中国人客が押し寄せていた時期だ。日本側が入国制限をようやく始めたのは2月に入ってからで、そのかなり前から複数のルートで感染がすでに広がり始めていたことがわかる。

  問題なのは、最初期に日本に入ったとみられる複数のウイルスが深セン市や広州市など、広東省由来とみられる点だ。

日本が入国拒否地域に指定した湖北省、浙江省以外の地域から流入していたことになるからだ。

 広東省だけではない。別系統のウイルスシンガポールで1月中旬から下旬に発見されたウイルスと極めて近い

シンガポールは感染者数が150人を超え、ビジネスマンの会議などで感染が広がったとみられているが、いまだに入国制限はされていない。そのシンガポール経由でも、日本にウイルスが侵入していた可能性があるのだ。 

 

日本では潜在的な感染は最低限に抑えられている

 ただ、感染が爆発的に広まっている欧州と比べ、日本は感染者を初期の段階で把握できていたこともうかがえる。

日本のウイルスのゲノム情報は、中国で広がったウイルスに極めて近いウイルスまで、ほぼ数珠つなぎに辿れるが、欧米では感染が拡大した時期のウイルスのゲノム情報が、中国のウイルスよりもかなり変化しており、その過程を辿り切れていないからだ。

 たとえばイギリスで3月に採取されたウイルスは1月にドイツで採取されたウイルスに遡れるが、その違いは比較的大きく、その間にどこで変異を重ねたかが不明だ。

その点、日本のウイルスは系統ごとに起源が比較的はっきりしており潜在的な感染は最低限に抑えられていることがわかる。

 一方で、感染を広げた「ペイシェント・ゼロ」がほぼ分かってきた国もある。ドイツだ。


ドイツの「ペイシェント・ゼロ」が欧州各国へ

 ドイツでは1月24日、上海のビジネスマンに会ったドイツ人ビジネスマンが発症

このビジネスマンからウイルスがミュンヘンで広がった。当初はドイツ政府の素早い隔離などで感染拡大は食い止められたかにみえたが、実はこのウイルスが2月に入ってブラジル、フィンランド、イギリス、メキシコ、そして感染が爆発的に広がるイタリアに広がっていたことが明らかになったのだ。

「とても大事な教訓は、たとえクラスターが特定されて隔離されたとしても、次の感染の連鎖を止められたわけではないことだ」
nextstrain.orgの創設者の一人でウイルスの進化などを研究するフレッド・ハッチンソン癌研究センターのトレバー・ベッドフォード氏はツイッターでそう分析した。

 nextstrain.orgは「データはシアトル(米国)でも1月中旬に潜在的に広がっていた仮説を支持している」とし、米国で2月に入ってから感染が急拡大した原因も示している。

 

弱腰の姿勢がウイルスを世界中に広げた

 こうしてみると、世界各国が渡航制限をかける時期、あるいは外出などの自粛を呼びかける時期が遅すぎたということになる。WHOはいまだに中国からの渡航制限を勧告しておらず、この弱腰の姿勢が世界中にウイルスを広げる契機となったのがゲノム情報からも明らかになったわけだ。

 このゲノム情報が明らかにした最大の安心材料をあえて挙げるとすれば、新型コロナウイルスがまだあまり変化していないことだろうか。

 ウイルスは感染を繰り返すごとに変化するが、より致死力が高いウイルスに突然変異する場合もある。

ウイルスが突然変異する前に、世界は流行を押さえられるか。ゲノム情報の探求はこの最悪の事態も可視化する。

末家 覚三/週刊文春デジタル

 


ついに証明された、新型コロナは空気感染する

3/14(土)
 Yahoo!ニュース
3月9日、「やはり」と言わざるを得ない内容の論文が米医学雑誌に掲載された。
 内容を端的に述べると、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の空気感染はありうる」というものである。
 研究論文を掲載したのは『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』という1812年に創刊された世界で最も権威があると言われる医学誌である。
 執筆者は米国立衛生研究所(NIH)やプリンストン大学、米疾病対策予防センター(CDC)などに所属する計13人の研究者で、実際にコロナウイルスを使用して実験を繰り返し、空気感染によって感染は起こりうるとの結論を出している。
 同誌に論文が載ること自体、信憑性の高さを示しているが、執筆者は他の研究者によるさらなる検証を促すなど、医学者らしい慎重な姿勢を示している。
 これまでコロナウイルスの感染経路は主に接触感染と飛沫感染の2つが挙げられており、空気感染は考えにくいとされてきた。
厚生労働省のホームページでも、「国内の感染状況を見ても、空気感染は起きていないと考えられる」と記されている。
 ただ、閉鎖空間や近距離といった環境下であれば、「感染を拡大させるリスクがある」としてきた。
 これは厚労省がまだコロナウイルスを使った感染実験による確かなデータを得てないということでもあろう。
 空気感染は起きないというのが政府の見解である以上、多くの国民は「空気感染はない」と判断してきたと思われる。
 ただ同時に「空気感染もありうる」との思いを、多くの方は心の片隅に抱いてきたかと思う。そのためのマスク着用だったはずだ。
 今回の論文によって今後、コロナウイルスへの対策が少し変わる可能性がある。
 論文の概要(要旨)の重要部分を翻訳したい。
 「生きたコロナウイルスはエアロゾル化後、3時間まで生存することを突きとめた。銅(製物質)の表面では4時間、段ボール上では24時間、プラスチックやステンレス・スチールの上では2、3日の間、同ウイルスは生存していた」
 「(中略)我々の研究結果によって、コロナウイルスはエアロゾルと媒介物によって感染しうるということが判明した」
 研究論文らしい言葉と表現なので分かりづらいが、主旨は「空気感染はありうる」ということである。
 同時に、様々な物質の表面でコロナウイルスは生き続けることも明らかになった。
論文中にエアロゾルという言葉が出てくる。感染の話をする時などに広義として「空気感染」と解釈されるが、正確には気体に浮遊する液体や固体の粒子を指す。
 コロナウイルスは基本的には体液の中で生きるが、咳やくしゃみなどによってウイルスが空気中に拡散され、地面に落ちないで空気中に浮遊し続けながら生きることが、今回の実験で分かったのだ。
 これが「エアロゾル化後、3時間まで生存する」の意味である。
 しかし、空気感染の可能性が示されても、感染力がどれほど強いかは今回の論文では学究的に示されていない。
 空気感染については2月8日、中国上海市政府が開いた予防と管理に関する記者会見で上海市民政局副局長の曽群氏が、コロナウイルスの感染経路について「主に直接伝播、エアロゾル伝播、接触伝播によって感染している」と述べた経緯がある。
 しかし翌日、中国のWHO(世界保健機関)戦略諮問グループ(SAGE)の感染症専門のメンバーが、「新型ウイルスがエアロゾルによって感染する証拠はない」と否定。
 空気感染の可能性は極めて低くなり、日本でも空気感染はしないとの見方が広がった。さらに前出の曽群氏が医師でなかった点も空気感染の信憑性を低いものにした。
 だが『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』の論文により、コロナウイルスが空気感染することがほぼ示された。論文ではこうも記されている。
「空気中と物質上でのウイルスは安定しており、ウイルスの感染が直接起こりうる。またウイルス保菌者から他者に感染してからもウイルス粒子は生き続ける」
 これまでも接触感染と飛沫感染以外に、空気の流れが淀みがちな閉鎖性の高い空間での空気感染が指摘されてきた。
 ただ今回、医学者による学究的な実験によってコロナウイルスの空気感染が証明されたことになる。
 もっとも、コロナウイルスの感染性はここまでの状況から判断する限り、麻疹のように免疫のない人が同じ部屋にいたらほとんど感染してしまうほど強くはないと思われる。
 ウイルスにはエイズウイルスのように、致死性は高いものの飛沫感染も空気感染もしないタイプもある一方、麻疹のウイルスのように致死性は低いが、感染力が非常に強いタイプもある。
 コロナウイルスは麻疹ほどの感染力は確認されていないが、新型ウイルスであるためワクチンの開発には時間がかかるばかりか、特効薬といえる薬剤はまだない。
 筆者は米首都ワシントンに居住していた時、エイズウイルスの治療薬を開発した医学者についての書籍を執筆した。
 約12年を費やして取材・調査する過程で、ウイルス学や免疫学を紐解いた。
 日本のメディアでは同論文の内容がまだ広く報道されていないが、「コロナは空気感染する」ということだけが大々的に報じられないことを祈りたい。
 中国では収束に向かいつつあるし、日本でも公共交通機関や公共施設で感染が爆発的に広がっているわけではないので、冷静に対応していただきたいと思う。

堀田 佳男

 


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