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緩すぎた日本のコロナ対策


2020.02.19

新型コロナウイルスへの対策について、政府に批判の声が多くあがっている。

「水際対策」は失敗し、横浜に停泊していた「ダイヤモンドプリンセス号」に対する措置も、集団感染を悪化させたと指摘されている。


*中国に「忖度」原因か

日本では、感染経路のわからない感染例が続出。
19日18時の時点でも、東京・杉並区で1人、相模原の病院で2人、沖縄で沖縄で1人、北海道で1人新たに感染が確認された。
時事通信によると、首相側近は「1月時点で中国人すべての入国を止めるしかなかったが、もう遅い」と述べているとのこと。
中国側から「大ごとにしないでほしい」と要請があったと政府関係者が明らかにしており、これも対応が遅れた要因のひとつだと考えられる。
*ロシアは中国人の入国禁止
中国人団体観光客の受け入れや、国を結ぶ旅客列車の運行を全面的に停止していたロシアは、労働や私用、修学、観光を目的とした中国人の入国を20日から禁止する。
ロシアはこれまでに2人の感染が確認されているが、両者ともすでに退院している。
*緩すぎる日本の対策 
BuzzFeed Japan Medicalは、感染症のスペシャリスト・神戸大学感染症内科教授の岩田健太郎氏に取材。
岩田氏は2月18日に「ダイヤモンドプリンセス号」に乗船し、感染管理が十分ではない現場についてYouTubeで発信(動画はすでに削除されている)していた。

ダイヤモンド・プリンセス号に乗船した感染症専門医、岩田健太郎さん(@georgebest1969)が、専門家の意見が尊重されず、感染対策が徹底されていない状況を証言。

YouTubeでは、乗船するまでのプロセスは異常、安全な場所と危険な場所がごちゃごちゃ、防護服を安全とされている場所で脱ぐ、感染症患者と装備なしの状態ですれ違う、感染症の専門家が駐在していないなどの多くの問題が浮き彫りになった。
source:時事通信、産経新聞、BuzzFeed Japan Medical

 

 



新型肺炎、遅すぎる日本と各国との対応の差

2020.02.18

全世界で猛威を振るう、新型コロナウイルス。日本では先日、一部の企業でテレワークの実施や時差出勤などが推奨され、政府からは「不要不急の外出を控えてほしい」という指示が出たが、対応の遅さに批判の声も多い。
ではいったい、日本以外の各国ではどのような「新型コロナウイルス 」対策が取られているのだろうか。



中国 

国内外の団体旅行を禁止。オンラインで授業を行なうシステムや遠隔医療が普及している。

新型コロナ発生源の中国・武漢市では、空港や鉄道を封鎖し、交通機関の運行が停止された。

香港では、新型肺炎対策に3500億円を拠出すると発表し、マスク増産などの支援あてている。

 

韓国

現地に滞在する国民と留学生の帰国支援を実施。帰国後は一定期間、韓国政府が準備する臨時生活施設に隔離した。

さらにコールセンターを設置し、新型コロナウイルスへの感染疑いがある患者は問い合わせることができる環境が整備された。対応はさほど日本と変わらないようだ。

 

アメリカ

中国全土への渡航禁止を指示。中国・湖北省に渡航した国民は強制的に隔離され、過去14日間に中国に滞在歴のある外国人は入国を拒否される。

また、流行中のインフルエンザに似た症状が確認された患者に対しても、新型コロナウイルスの検査を行なう措置を取っている。アメリカでこうした措置がとられるのはおよそ50年ぶりだそう。

 

マレーシア

新型コロナウイルスの検査は雇用主が負担し、検査や検疫期間中は「有給」の病欠とされる。

また、検疫や隔離命令を受けた場合、給料は全額支給され、体調不良の社員は有給の病気休暇が与えられる。

つまり、有給休暇が消化されることも、無給休暇を取ることもない。

 

ロシア・オーストラリア

ロシアは、国境の検問所をすべて封鎖。武漢から避難させた国民を、シベリアのキャンプで約2週間隔離している。

また、オーストラリアも武漢に滞在する国民を帰国させ、帰国後はクリスマス島で最大2週間隔離している。

 

日本

「不要不急の外出」を控えるよう指示しただけで、とくにこれといった対策を取っていない。

感染者も日に日に増えていき、国民からは不安の声が上がっている。

そんな日本への渡航について、国内人口の2割が訪日していた台湾は、注意喚起している。


インドネシアが新型肺炎「感染者ゼロ」の不可解

深センから来たという一家は中国に戻らず、バリ島に延泊している(写真:Nyimas Laula for The New York Times)

バリ島に武漢からも多くの中国人観光客

The New York Times
2020年02月20日

中国で新型コロナウイルスが発生し始めたことを知った上海出身のある一家は先月、シンガポールで休暇を過ごしていた。

その後一家は荷物をまとめ、1人の感染者も報告されていないインドネシアに飛んだ。

多くの中国人観光客の主要目的地であるバリ島に着いたのは1月30日だが、今後出国する予定はない。母親、夫、そして息子の3人と旅行中だった36歳のエヴァ・チンは「バリ島の人々はとても親切で、私たちにとてもよくしてくれる。まだ検査は受けられていない」と語る。



*5000人の中国人観光客が「残った」

医療の専門家は、インドネシア当局が中国からの直行便を止めるのが遅かったにもかかわらず、国内で新型コロナウイルスの症例がまだ1件も報告されていないことについて、疑問視している。インドネシアは年間約200万人の中国人観光客を受け入れており、そのほとんどがバリ島を訪れる。バリ島の中国総領事は先週、ウイルスの発生が始まった武漢からの200人を含む、約5000人の中国人観光客がバリ島に残ったと報告した。
インドネシアの近隣国であるフィリピン、シンガポール、マレーシアとオーストラリアはすべて、感染者の報告をしている。
「これまでのところ、インドネシアはコロナ感染者の報告のないアジアで唯一の主要国だ」と、インドネシアのモハマド・マフフッドMD防衛大臣は14日に記者団に伝えた。「コロナウイルスはインドネシアには存在しない」。武漢から避難し、現在インドネシアのナトゥナ島で検疫されている285人は、誰もウイルスの兆候を示していない、とつけ加えた。
ハーバード大学公衆衛生学部の研究者5名は先週の研究で、症例を1件しか報告していないインドネシアとカンボジアは、可能性のある症例のモニタリングを迅速に強化すべきだと結論づけた。統計分析に基づき、コロナウイルスはすでにインドネシアに到達した可能性がある、と見ている。
研究結果によると、「海外から入った症例の多くは、最近武漢への旅行歴がある人とつながりがあり、航空便数の多寡が中国外での症例増加のリスクを高めるうえで重要な役割を果たしている可能性があることを示唆している」。
インドネシア赤十字の会長であり、同国の前副大統領であるユスフ・カラ氏も、コロナウイルスがすでに国内に入っており、インドネシア人が症状をコロナウイルスであると認識していない可能性があると述べている。
「シンガポールは厳しいシステムで守られているが、そこにもウイルスが侵入した。感染した人がいたとしても、ここインドネシアでは、定期的な発熱にすぎない、あるいは、デング熱だと考えられている」(カラ)

 

*地方の病院が対応できるか不安の声

カラは、主要な医療提供者である資金不足の地域医療センターが群島からなるこの国において、それぞれの島で対処を行わなくてはならなくなった場合、インドネシアがウイルスに対応する準備をどのように行うのか、懸念を示す(インドネシアは世界で4番目に人口の多い国で、6000ほどの点在する島に2億7000万人近くが居住している)。
「インドネシアには多くの島がある」とカラ。「多くの港湾都市があり、それぞれの持つ対応能力はさまざまだ。ジャカルタのいい病院はウイルス検出できると思うが、フローレスの地域医療センターはどうだろうか。スラウェシでは? 対応能力は確実に限られている」。
世界保健機関(WHO)による2018年の報告書によると、インドネシアの医療システムは、施設が不十分で、医師、看護師、助産師の少なさから、国際基準では資金不足と考えられている。
しかし、WHOの代表であるナヴァラトナサミー・パラニエタラン博士は、入国地点で乗客をスクリーニングし、疑わしいまたは感染者と診断された患者のための病院を用意するなど、インドネシアが新しいコロナウイルスに対応するために最善を尽くしていると話す。「インドネシアは、新型コロナウイルスに対するできる限りの準備と予防を行っている」(パラニエタラン博士)。
保健当局はこれまで、感染の疑いのある症例50件ほどを検査したが、すべてが陰性だったとしている。
北スラウェシのセメント会社からの中国人労働者30人は、休暇中に訪れていた中国から戻った後、14日間の検疫の対象になった。対象者のうちウイルスに感染した人はいなかった、とある入国管理官は言う。

 

*MERSでウイルス対策には慣れている

症状のある患者が入国していたのであれば、発見されていただろうと、保健省の予防管理秘書であるアフマド・ユリアントも主張している。
「私たちは大規模なウイルス感染に直面する準備はないが、それを防ぐ用意はできている」とユリアントは言う。「新型コロナウイルスの発生を待っているわけではないし、予防を強化している」。
インドネシアは、別の危険なコロナウイルスである中東呼吸器症候群(MERS)に対して長期間にわたる警戒体制をとっているため、旅行者の感染症を監視してきた実績はある。毎年約140万人のインドネシア人がサウジアラビアへの巡礼に出かけ、そこでMERSにさらされる可能性があるので、対象者は帰国時にスクリーニングされる。
ユリアントは、「私たちはこういったケースを何度も経験している」と述べ、「おそらく他の国はこの状況に対処することに、インドネシアほど入念ではないのだろう」とつけ加えた。
インドネシアには、首都のジャカルタに2つ、そしてインドネシア第二の都市である東ジャワのスラバヤに1つ、新型コロナウイルスの検査が可能な研究所があります。ユリアントによると同研究所では、1日に1200人分の検査が可能だ。新型コロナウイルスの疑いのある症例を扱うセンターは、全国で100の病院が指定されている。
2月5日にインドネシアと中国間の航空便が停止する前には、中国からバリ島への便が週に134便あり、1日あたり約5000人が利用していた。
外国人旅行者に大きく依存しているバリ島の経済にとって、新たな中国人観光客の損失は壊滅的なものになりえる。それでも、すでにバリ島にいる観光客の中には、より長く滞在するためにできる限りのことをしている人も多くいる。
バリ島の中国総領事であるグー・ハオドンは、残留している中国人観光客の多くは、検疫やウイルス感染の可能性のある国に帰るよりも、残留するためのビザの延長を希望している、と話す。移民当局によると、残留中の中国人観光客の数は5000人ではなく1500人で、30人以上が14日に観光ビザの延長を申請したとしている。

 

*残ることを選んだ広州から来た家族

ジュンソン・グオと彼の家族もバリに残ることを選んだ。広州でオンラインビジネスのマネジャーを務める42歳のグオは、家族とオーストラリアでの休暇を過ごしていたと言う。しかし、新型コロナウイルスの発生後、彼らは休暇を延長し、バリ島で1週間過ごすことにした。同氏は、到着時に健康診断を受けなかったが、全員が健康だとしている。
720個のマスクを持ち帰り用に購入し、22日に帰国した際に故郷の病院に寄付するというグオは、「ウイルスについて心配している」と話す。「しかし、仕事に戻らなければならないので、帰国はしなければならない。広州は中国のほかの地域ほど状況は悪くない」。
上海からの旅行者、ソン・イーとその友人、ヤン・ユジアの27歳の2人は、1月中旬に8人の友人と一緒にバリ島に到着した。「滞在していた20日間元気だったので、健康診断は受けていない」と、クタビーチ近くのショッピングモールで衣料品を買い求めていた銀行員のソンは話す。
ソンによると、バリ島の人々はとても親切だったが、一緒に来ていた中国人の友人は新型コロナウイルスに対する恐怖からお互いを避け始め、すぐにバリを離れる決断をしたという。バリ島での滞在を延長した後、2人は来週帰宅する予定だ。「私たちはウイルスを恐れ、長く滞在することを選んだ」とソンは話している。
(執筆:Richard C. Paddock記者、Dera Menra Sijabat記者)


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