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今こそ円高シフトを


 2019年12月24日

 かつて日本経済が「六重苦」に覆われた時期があった。高い法人税率、電力不足――経営者からみて、最も不満だったのは円高だっただろう。

2009年から13年にかけては1ドル=70円台後半の戦後最高値をつけるなど、超円高が続いた。

 7年前に発足した第2次安倍政権は、日本銀行と組んで大規模な超低金利政策と円安誘導を実行した。その結果、自動車をはじめ輸出産業は軒並み好決算となり、日経平均株価は跳ね上がった

 想定外の効果もあった。円安によるインバウンドの増加で、客数が伸び悩んでいた百貨店などに外国人旅行者が押し寄せたのだ。アベノミクスの効果だと政権は胸を張った。
 だが、09年以降の円高は、その前年に起きたリーマン・ショックという歴史的な経済変動の影響ではなかったのか。

それまで内部留保をためる経営者は無能呼ばわりされていたのが、経済危機に直面すると、お金を蓄積する方針に転換した。その余波で経済活動は停滞した。
 円安は目先の収支をよくするだけで、国際的な競争に伍していける将来投資にはつながりにくい。海外からの企業買収の対象にもされやすい。憂慮すべきことだ。
 逆に円高によって、少子高齢化の進む日本から成長している国に戦略的に投資することで日本企業が成長する道筋ができるのではないか。また、就業人口の6割を占める第3次産業は、原材料の輸入などで円高のメリットを享受できる
 円高で得た利益を最低賃金に近い水準で働く非正規労働者に還元し、賃上げすれば、結婚も増え子供も生まれ、日本経済も再活性化する。

そろそろ円高シフトに舵(かじ)を切ってはどうか。(山猫)


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