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消費増税で中小企業の倒産加速。これが安倍政権の言う「企業の新陳代謝」なのか?

2019年12月10日

らぽーる・マガジン 

民間の調査会社によると、1,000万円以上の負債を抱えて倒産した企業の数が3か月連続で前年同月を上回りました。

ここからさらに倒産は増える見通しです。


この流れは止まらない?来年4月から中小企業も「働き方改革」へ

倒産増加の原因は「節約志向」?

民間の調査会社帝国データバンクによれば、1,000万円以上の負債を抱えて倒産した企業の数は、10月で785件、前の年の同じ月より5%増え、1か月の件数としては今年に入って最も多くなっています。
11月は724件で、3か月連続で前の年の同じ月を上回ることになりました。前の年の同じ月より2.5%増えました。
10月に関しては、消費税率引き上げ後の売り上げの落ち込みや台風による被害の影響があったとの調査報告があります。

業種別には、アメリカと中国の貿易摩擦や日韓関係の悪化で輸出が減ったことなどが影響して、製造業倒産が前の年より30%増えたほか、小売業12%増えました。

消費者行動と企業倒産は繋がっていて、

「消費者の節約志向が強く、消費税率引き上げの影響が一段と懸念されるうえ、夏以降の豪雨被害で事業を再開できずに廃業する企業も出てくるのではないか。倒産はこのあとも増えるおそれがあり、1年間の件数は、2年ぶりに前の年を上回りそうだ…」と民間調査会社は話しています。

11月の倒産に関して業種別にみると、人手不足や人件費の高騰が重なり、ソフトウェア開発を中心にサービス業が9.8%、建設業が7.2%、それぞれ増えました。
また消費者の根強い節約志向を受けて飲食店の倒産は1月から先月までで668件に上り、年間として最も多いペースで増えているということです。


あらゆる業種・地域で倒産は起きている

また、民間調査会社の東京商工リサーチが9日に発表した11月の全国企業倒産件数は、前年同月比1.4%増の728件でした。

こちらの調査でも、やはり3カ月連続で前年同月を上回っています。
6月(734件)以来の高い水準となった11月は、負債総額は前年同月比2.3%増の1,241億1,600万円で、5月以来6カ月ぶりに前年同月を上回ったとあります。
負債1億円未満の倒産が全体の7割超を占めました。
産業別の倒産件数をみると、全10産業のうち5産業で前年同月比で増えました。
「農・林・漁・鉱業」が前年同月比で増えたほか、金融機関の融資姿勢が慎重になっている「不動産業」も前年同月比で増えた一方、「小売業」は6カ月ぶりに前年同月比で減ったとあります。
11月倒産を地域別に見ると、9地域中4地域で前年同月を上回ったとあります。

近畿(210件)はサービス業(55件、前年同月比31.0%増)のほか、卸売業(27件、同50.0%増)が増加し、前年同月比12.9%増。四国(22件、同83.3%増)は建設業や製造業など5業種で増加しました。

 

小規模企業で倒産が目立つ
11月では、

人手不足倒産は14件(前年同月比75.0%増)発生。3カ月ぶりの前年同月比増加
後継者難倒産は48件(前年同月比2.0%減)発生。3カ月ぶりの前年同月比減少
返済猶予後倒産は35件(前年同月比10.3%減)発生。3カ月ぶりの前年同月比減少
とあります。

従業員の離職や採用難等で収益悪化を招いたことなどから経営難に陥った人手不足倒産は、2019年1~11月累計で164件(前年同期比23.3%増、負債総額274億400万円)発生し、調査開始(2013年)以降で年間最多だった2018年(153件)を11月時点で上回ったとのことです。

老人福祉事業や美容業、ソフトウェア開発などのサービス業(46件)のほか、建設業(45件)や道路貨物運送業(27件)といった業種が上位を占め、介護スタッフや美容師、ネイリスト、IT技術者、建築職人、トラックドライバーなど、専門職の確保や定着に窮した小規模企業で倒産が目立ったと分析されています。
負債総額は1,307億9,700万円と、負債100億円超の倒産が2件発生したことから、6カ月ぶりに前年同月を上回りました。
書店「ザ・リブレット」などを名古屋市内中心に20店舗以上展開していた大和書店株式会社(負債約30億円、愛知県、破産)のほか、食品スーパー3店舗を構えていた株式会社あいでん(負債約6億7,200万円、新潟県、破産)や、ピーク時に呉服店「きもの日本橋かのこ」を約30店舗出店していた株式会社かのこ(負債約4億1,600万円、東京都、破産)など、店舗出店時の借入過多や販売不振が影響した小売企業で、負債数億から数十億円規模の倒産が相次いだことも負債総額全体を押し上げた一因となりました。


来年4月から中小企業も「働き方改革」へ

今年4月より大企業でスタートした働き方改革関連法の施行が、1年間の猶予期間を経て来年4月から中小企業にも適用されます。

人手不足感の強い建設業や運送業では、時間外労働の上限規制について5年間の猶予が設けられているものの、労働条件や職場環境の改善が進む企業との格差が一層広がる可能性が高く、好条件での従業員確保が困難な小規模企業を中心に、人材流出などによるさらなる人手不足倒産の増加も懸念されるようです。
直近10月の商業動態統計速報(経済産業省)によると、小売販売額(11兆900億円)は消費税率引き上げや台風19号の影響で前年同月比7.1%減と3カ月ぶりのマイナスとなり、前回消費税率引き上げ時(2014年4月)の減少幅(4.3%減)を上回りました。
11月のTDB景気動向調査においても、「小売」の景況感は判断の分かれ目となる50を大きく下回る36.1と、2カ月連続で10業界中の最低値を記録しており、引き続き注視を要するとあります。
倒産件数全体での2019年1~11月の累計件数は7,646件(前年同期7,436件)と前年同期を2.8%上回り、このうち、飲食店(668件、前年同期比10.6%増)では11月単月で3カ月ぶりに前年同月を下回ったものの、年ベースでは最多を更新する勢いで倒産が発生しています。

また、大手ディスカウントストアやドラッグストアチェーンとの競合が激しい食品スーパーや飲食料品小売店でも、来店客数の減少や各種コスト負担増加による収益悪化などから、前年をすでに上回る件数水準で推移しており、家計の節約志向の高まりによるマイナスの影響が一段と懸念されるようです。

 

企業を追い込む「節約志向」

企業倒産と関係するキーワード「節約志向」は、まさに消費者マインドの表れで、それだけ増税に対する痛みや景気への不安が背景にはあると推察されます。
政府の経済対策の思惑と実際のとのギャップが垣間見られる感じがしますね。

金融庁は11月25日、資金需要が高まる年末を前に、中小企業・小規模事業者に対する金融円滑化の周知徹底を改めて金融機関に要請したものの、収益環境が厳しさを増す中小零細企業を中心に倒産は増加傾向をたどる可能性があり、2019年の年間倒産件数は2018年の前年比3.7%減から一転し、2年ぶりに前年を上回る見通しとなっています。
中小・零細企業の倒産は今後益々増えてくる見込みとなっている状況を、政府はどこまで理解しているのでしょうか。
安倍総理就任時の「企業の新陳代謝」という言葉が頭に残っています。安倍政権は、もともと中小企業淘汰を考えていたと思われます。
この流れはおそらく止まらないのでしょう。

われわれはこのことはかなり覚悟しておかなければならないことだと思います。


喫茶店の倒産が年最多に迫るペース、消費増税後はテイクアウトと競合も

「喫茶店(カフェ)」の倒産が増加している。2019年1-8月累計の「喫茶店」の倒産は42件(前年同期31件)と、前年同期比35.4%増と大幅に増加した。このままのペースで推移すると、過去20年で年間最多を記録した2011年の70件に迫る勢いだ。

 コーヒーの香りに包まれた癒しのひと時。商談で利用。時間つぶし。待ち合わせ場所。喫茶店は、多くの人に様々なシーンを提供してきた。だが、缶コーヒーの進化、大手コーヒーチェーンの出店攻勢、若者の生活様式の変化など、その存在感が薄れつつある。
 さらに、2013年にセブン-イレブン・ジャパンが『セブンカフェ』をスタートすると、瞬く間にコンビニ各社が追いかけ、イートインスペースの広がりで喫茶店はより厳しさを増している。
 もともと喫茶店は体力の乏しい小規模経営が多い。

そこに大手コーヒーチェーンの黒船が来襲し、異業種のコンビニも攻勢をかけている。折しも、時代は少子高齢化が進み、嗜好変化や競合に人手不足、さらに最近は「タピオカドリンク」ブームなど新しい飲料にも押され、廃業や倒産する喫茶店が増えている。
 10月には消費増税が実施されるが、店内飲食が基本の「喫茶店」には軽減税率は適用されない。消費税率8%と10%の2%の差が、さらに喫茶店の倒産、廃業を加速させるかもしれない。





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